【チュニジア】

夏

○チュニジアの色ぬられたり青き夏

【アンダルシア、スペイン】

○夏立ちてアンダルシアの種開く
○夏立や闘牛のひと白き壁
○夏立やアンダルシアの道やゆく

【ヴェネツィア、イタリア】

○夏立ちて水の都や魔法の炉
○面影を漕ぐオソレミオ夏の朝
○夏立ちてオーソレミオゴンドラ漕ぐ
○ゴンドラや詩をつづりけり夏の朝

【パリ】

涼し

○外灯の記憶や涼しセーヌ河

【オーロラカナダ】

夜長

○霊鳥の美となりうるや夜長し
○冬深き白馬やふいに支配せり
○オーロラの髪神ながす冬深き
○白馬の浮かぶ行方や夜長し
○霊瑞の甦たるや夜長し
○霊怪の独自の息や夜長し
○気まぐれのノーザンライトや夜長し

【パリ】

秋深し

○マロニエの街や名画の秋深し

【アメリカ】

夏

○マイアミに夏をもどるや７マイル

【クロアチア】

青葉

○オレンジの宅急便や風薫る
○オレンジの風薫りけりドブロブニク
○青葉讃え橙色やドブロブニク

【イタリア】

八月

○八月のカプリブルーや白昼夢
○八月を洞窟に青ナポリから
○新緑を溶かして底やカプリブルー

【ニューヨーク、メキシコ、ガラパゴス諸島、マチュピチュ】

夏

○夏のマンハッタン天空の象徴
○三ツ又のマンハッタン島夏夜景
○夕焼けや林立したり合衆国
○カプセルの夏エメラルドカリブ海
○歌声や夏の陽気にグアナファト
○まだ知らぬ夏つかまえて進化論
○海上の知らぬや夏を天空都市

【グアナファトメキシコ】

秋近し

○楽団や陽気に街を秋近し

【ニューヨーク、バオバブ】

夕焼

○夕焼やひとをつぶさに摩天楼
○バオバブや大夕焼の電波搭

【ウユニ塩湖、ボリビア】

○五月雨や空中都市の塩時計
○五月雨や空中に夏の雨

○天上や鮨一貫の塩の人

【アキレパ、ペルー】

旱

○荒涼のひでりコンドルいわしめる
○コンドルやひでるインカを極みとぶ
○コンドルや即神仏のひでり空

【モロッコ】

新緑

○新緑を淡きはなだやティスーカ山
○新緑に閉ざす水色教徒かな
○神聖の青に閉ざされ新緑なり

【メロウェ、ピラミッド】

夏の果

○夏の果あるや否かの三角墓

【モンゴル】

夏草

○夏草や遊牧民のうえに立
○夏草や遊牧民のなにもなく
○道もなき遊牧民や大草原
○不安なる大草原に道もなき
○夏草に囚われてなほ道のなき

【バガン、ミャンマー】

炎天

○炎天に焼け残してや仏搭群
○仏搭や炎天にいま数千搭
○万緑や日暮てかげの仏搭群
○炎天も青き眺めのバガン王
○万緑に仏の声の遺跡あり
○万緑によせる思ひや過去四仏

【バガンミャンマー】

五月雨

○五月雨や大河に一つ消へにけり

【イースター島】

サングラス

○サングラスかけて乗り継ぎモアイ像
○夏空にかすかにちがふ鼻や耳

【グランドキャニオン】

灼く

○壁灼くるコロラド川と出逢いけり
○灼熱やすすむ浸食壁の色
○灼く谷や先住民の教えなり
○断崖や冥界ながき灼くる陽よ

【モニュメントバレー】

旱

○日昇やひでるはじめの西部劇
○日昇のひでる部族のターコイズ
【ダバブ、エジプト、アラブ】

○紅海の砂の器や万華鏡
○エジプトの海の碧さや水眼鏡

※紅海は無季語なくてもいけるしない方がよいより

【ヴィクトリアの滝、ザンビアジンバブエ】

○アフリカを縦に割るなり大瀑布

【マラケシ、モロッコ】

○イスラムの光陰しづか夏の夕陽
【ギリシャ】

○夏空やサイフォンに淹れナバイオビーチ

【フランス】

○夏空やいくつもの影モンサンミシェル
○夏空や半日語ることもなき

【ナミブ砂漠、ナミビア】

○なめらかに氷菓砂漠やヘラの上
○はるかなる氷解のごとき砂漠かな

【アンコールワット】

暑し

○暑き日の尖塔かげる月の池

五月雨

○五月雨やぬれて腰つき女性像

緑蔭

○緑蔭や樹々侵食し王たどり