星鍵とパンドラの匣




すがっていたかった。
すっとこのまま、木陰の下のような、昼下がりの優しい風の中のような、
そんな穏やかな空間で庇護されていたかった。

行かないでほしい。
置いていかないでほしい。
終わらないでほしい。
(あれ、それは、私は私の人生を生きてるんだろうか。生きてない。)

こどもでいたかった。
のんびり微睡んでいたかった。
どうすればいい?、ってきいたら、
こうだよ、こうすればいいよ、って
示された道標を辿っていたかった。
(うまく、十分には辿れていなかったけれど)

でもダメなんだね
そんなことじゃ、私は救われないんだね。
ずっとこのモヤモヤしたままなんだ。
対症療法続けてても、ガス抜きだけしてても、根治しないものね。

その優しさを理想化してるのかな。
それ救世主にしてるな。
それをするなと言われてるんだ。

好きだけど、心を鬼にしてる。
対症療法を続けても根治しない。
すがらせたところで真には救われない。
真に好きだから、救われてほしいから、根治してほしいから、だから一度リセットするんだね。

魔法みたいに全てを様変わりさせる術はない。
地味に地道に着実に現実的に。

怖い。
こんなに私の足元はぼやけていたか?
こんなに足は頼りなかったか?
怖い。
救世主を探す私がいる。
でも救世主はいない。
そんなもので得られた救いは、救いじゃない。

茨の道が待ち受けている。
怖い。