アプリコットの日常
2017/1/7
Sat
08:10
聖騎士団の非日常。その17(小話)
《太陽の王子さま。》
「ソ、ソル隊長…!!」
いつものごとく、ソルはサボりを決めこみ1人庭をぶらついていると、聖服を纏った団員に声をかけられました。
どこかで見たような顔の男に、すぐに自分の隊の者だと気が付きました。ですが、名前は覚えていません。
切羽詰まった表情で、お話しがあります、と言われ仕方なく聞くことにしました。
「あ、あのソル隊長…!」
「なんだ。」
「いきなりですみません!お願いを聞いて頂けませんか!」
「だから、なんだ。」
「すっ少しで良いんです!…貴方の髪の毛をくださいっ!お願いします!」
「………………頭沸いてんのか。」
「本気です!!ソル隊長の物なら何でも良いんです!ですが出来れば髪の毛をください!!…おっ御守りにさせてくださいっ!」
「…気味が悪ぃっ…!」
「ほんの少しで良いんです!!」
男は、ソルの熱烈な崇拝者の1人で、御守りに持ち歩きたいとソルの髪の毛をせがみました。
当然、ソルは拒みます。
「ど、どうして拒絶するのですか?!僕は…」
「失せろっ…。」
「こんなに慕っているのに…!」
ずっと焦がれていた相手が目の前に居るせいか、男は興奮気味にソルに詰め寄ります。
「ソル隊長…!」
「…てめぇ、それ以上近づくなっ!」
「そっそんなに嫌わないで下さいっ!」
「っ!?」
男は、ソルの肩を掴み強引に引き寄せようとします。
まさか自分相手にこんな暴挙な行動にでるとは思わず、ソルはギョッとして叫ぶように声を荒げました。
「っ…さっ触るな…っ!!」
「…ソル隊長!!」
錯乱したソルは、昔同僚だった"あの男"に触られた事を思い出してしまい、恐怖で力が入らず男を押しのける事が出来ません。
あまり抵抗がないのをいい事に、男はソルに口付けようと顔を近付けました。
「……やっ、」
ソルはぎゅっと目を瞑り顔を背けます。
その時でした。
「そこで何をしている!!」
突然、鋭い声が辺りに響きました。
驚いた男はパッとソルを離し声のした方を見ました。
そこには、サボリのソルを探しにきたカイの姿がありました。
「カ…カイ隊長…!?!」
「っ…!」
すぐさま状況を把握したカイは、男を冷ややかな目で見据えます。
「…貴方は確かソルの隊の者でしたね。」
カイはつかつかと2人に歩み寄ると、ソルを庇うように背を向けて男に向き直りました。
「貴方をソルの隊から除隊します。しばらく自室で謹慎して下さい。その後のことは追って連絡します。…さぁ、早く行きなさい。」
「…は…はあ?!じょっ除隊?!?いきなり何なんですか!!僕が何をしたって言うんですか!!一体何の権限があってそんなっ」
突然のカイの言葉に、男はわめき散らしました。
ビシャッッ!!
カイが無言で指先を上へ向け振り下ろすと、男の足元に雷が落ちました。
「ひっ!!?」
「二度は言いませんよ。」
カイの怒気を抑えた声に本気を感じ取った男は、顔を青ざめさせると未練がましくソルを見つめてから逃げるようにこの場を去って行きました。
ソルは緊張がとけたのか、その場にしゃがみこみました。
「ソル…!大丈夫か?」
カイは慌ててソルに近づき膝をおりました。
顔を覗き込み、ハッと息をのみました。
余程怖かったのか、ソルは泣いていました。零れていないだけで、両目には涙を溜めていました。
が、すぐにカイが視ている事に気付くと慌てて顔を背けました。
「……歩けるか?部屋まで送ろう。」
「………。」
カイが労るように声をかけると、ソルは無言で立ち上がりゆっくりと歩いて行きました。
カイはすぐにソルの後をついて行きました。
ソルの部屋の前まで来ると、ドアを開け中に入ろうとするソルにカイは声をかけました。
「今日はもう何もしなくて良い。ゆっくり休め。」
「……おい。」
「ん?」
「………………助かった。」
「えっ。」
ぽそりと呟くようにそう言うと、ソルは早足で自室に入っていきました。
「………お前が無事で良かった。」
カイは暫く部屋の前に立っていましたが、ドアにそっと手をつき万感の思いで囁くと、踵を返し仕事に戻って行きました。
―――――
モブ絡み大好物です。
ソル泣かせちゃった…。てへ。
私の中で、カイは姫君のピンチに颯爽と現れる王子様のイメージが強いです。もしくはナイト。
…前回からかなり間があいちゃいました。めっちゃ難産でした(吐血)。
もうね…文才ないんだからテキトーに書けばイイんだよ。うん。
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