24/03/19 09:40 (:つれづれ日記)
答辞 視覚障害リハビリテーションセンター 日本ライトハウス
音声ファイルを添付したらはじかれちゃった。
これ、肉声でないと感動は伝わらないかな?


答辞

春の優しい日差しに包まれるこの良き日に、私たちのために修了式を開いて下さり、
そして先ほどは素晴らしい送辞を、ありがとうございます。
修了生を代表して、心より感謝申し上げます。

私たち7名は一年前、期待に胸を膨らませこの職業訓練部に入港いたしました。
「令和五年四月期生」ということで「5色の星」という名前を付けました。
そしてこの「5色星(ゴシキセイ)」は、半分が「きらきら」からの持ち上がりだったことからか、それとも半分がおしゃべり好きの女性だったからか、ともかく、打ち解けあうまでに時間は必要ありませんでした。

 私たちのほとんどは、視力の低下により退職を余儀なくさせられた経験者です。
 侵攻する難病と闘いながら、それでも「視力に頼らないやり方を学ぶ道」を選び、奮闘してきました。
 私たちにとって「職業訓練」とは、なりたい自分を取り戻すための旅のようなものです。だからこの一年間は、これまで生きてきた中で、最も素晴らしい一年だったように思います。

 校外学習(日帰り研修)や他校との交流会など、本来ならここで一年間の行事について語るべきなのでしょうが、私は、諸事情により参加しておりません。
 でも、だからこそ、自習時間に教えあった日々やおしゃべりに夢中になった(お昼休み)、授業の終わった後に質問に答えてくださった先生とのやりとりこそが、最高の思い出であり、貴いものなのです。
 これら貴重な経験を重ねてこられたのも、ひとえに周囲の皆様のご協力とご支援があってこそです。今、感謝の気持ちでいっぱいです。

 まず、これまで私たちを暖かく見守り、導いて下さった市川所長、村田校長、ハロー−ワークの方々。
 校長先生は入校式に「挨拶、共感、感謝の3つを大切にしてほしい」とおっしゃいました。私はそのことをずっと大事にして参りました。就職面接で面接官から「同僚と仲良くするポイントって何だと思いますか?」って聞かれました。私は校長先生のお言葉をお借りして、返答することができました。ありがとうございました。
(先生、覚えてはるか知らんけど、見学に来てくれはった時、私の後ろに立って色々質問した後で、激励の言葉の後にお褒めの言葉を言うてくれはりました。大人なってから褒められることなんてめったにあらへんから、ほんまにうれしかったです。ありがとうございました。) ← 校長先生へのアドリブを入れてしまって、指導員
の先生やケース担当の先生への感謝の言葉を すっぽりと抜かしてしまいました。

 続いて、この一年間最も長い時間を一緒に過ごした(5色星・ゴシキセイ)のみなさん。
 情報共有や日常生活のたわいもない会話など、西館の4階はいつも にぎやかでしたね。
 自分では表情に出してないつもりだったんですが、ちょっとした変化に気付いて声をかけてくれたり、新味になって相談に乗ってくれたり、何気なく心に沁みるメッセージをくれたり・・・。私はこれまで、素晴らしいメンバーに囲まれているのだということを幾度となく感じました。
 「人は人生の中で出会う人数が限られている」といいます。だったら私は、このタイミングでここに入港できたことをとてもラッキーに感じています。

 在校生のみなさん。
 花が咲かない時、実が成らない時、それは地に根を張っている時なんです。少しずつでもいいから、しっかりと根を張って栄養を吸収してください。
(そもそも私の樹は、花も実も成らない柳の木だったのかもしれません。それでも、いつかだれか疲れた人が寄りかかってきたときに、支えになれるよう、これからも根を張り続けたいと思います。)

 就活はね、身の程を知ってからがスタートなんです。
(大企業やなくても ええやん。自分が退職するまでの間だけ潰れんともってくれたら、そんで充分やんか。)
 高望みして、しんどくなる。それよりも、ずっと楽しく続けていけれる そんな進路を選んでください。
 みなさんのご活躍を 心より祈願しております。

 今、私たちの前には新しい扉があります。それぞれ違う扉です。
 職業講義で先生は「まだまだ視覚障碍者が働くには、厳しい環境だ」とおっしゃっていました。
 だからたぶん、これからも壁にぶつかり、思い悩むことが出てくると思います。
 そんなとき私たちは、キーボードをたたく音や修繕工事の轟音、雨天体操場の独特のにおいやお昼休みのコーヒーの香り、そういった職業訓練部での楽しい思い出にひきつけられるかもしれません。
 それでも私たちはきっと「なりたい自分になるための歩み」は止めません。
 明日、私たちは新しい扉の向こうへ進んでいきます。

 長くなりましたが、最後にこの職業訓練部のさらなる発展を願って、答辞といたします。

令和6年3月15日
修了性代表  ビジネス科電話交換コース  金光 弓子


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