ゲバラ&カストロというタイトルだけど実際はカストロが主人公なお話

しかもゲバラの性格が私の中のイメージとあまりに違っていて驚いた
医者である彼が南米の医療制度の厳しさを目の当たりにし、革命の道を歩む決意をした経緯を考えると
とにかく「殺しときゃいんでない?」という暴君的発言が多いのが目立って気になってしまった

でもラスト付近でゲバラは誰にも相手にされない鼻つまみ者として退場しなきゃいけなかった
カストロが彼を軍に誘ったときの言葉

「まずは僕の革命、次は君のだ」

ゲバラの革命はアメリカが終わらせてしまったけれど
この映画の制作はアメリカ、と聞いて納得した

「早く撃て。人が一人死ぬだけだ」

最期のシーン、ゲバラがとても孤独に見えて苦しかったのは
キューバの英雄ではなくアメリカの敵として描かれてしまったせいだろうね


こういう映画は視点が変わると輪郭まで変わってしまうのが怖い
倒れた政府と成し遂げた革命、どちらも流れた血の重さは変わらない
今のキューバも決して幸せでないことを思うと、心と身体のあちこちがズキズキ痛んだ

暗いとか重いとか、ネガティブな形容詞はたくさんあるけれど
痛い、は最上級なんじゃない?


革命のすぐ隣にある痛みをのんびり想像することができるのは、不景気とはいえ平和な日常に身を浸しているからで
オリンピックでもワールドカップでもなく、革命に命を懸けた男たちの存在を忘れてはいけない、そんな気がした


追伸
ガエル・ガルシア・ベルナルのゲバラは目が吸い込まれそうになる


話題:実話を元にした映画。