あの日から一ヶ月が経ちました。
あの日、母はいったいどんなことを思いながら最後のその時を迎えたのだろう。
最近はそのことばかりを考えています。
もう、時間の問題ですと医師に言われてから旅立つまでの母とのひとときは実に濃いものでした。
病室に見舞った際には色んな話をし、体調が良さげな日を見計らって生んでくれたことと、しっかり育ててくれたお礼を。
そして最後まで親不孝だったお詫びと。
おふくろさん。
今日までよく頑張ったね、もうすぐ楽になるからね───。
これまでの人生楽しかった?
向こうに行ったら誰に会いたい?
子供の頃に戦死したお兄さんにも会えるよ。
仲良しだったたくさんの友達にも会えるよ。
よろしゅうゆーとって。
でもさ、もう一度おふくろさんが握ったおにぎり食べたいよなぁ。
おふくろさんの作るハヤシライスも食べたいよなぁ。
だからおふくろさん。
せっかくここまで頑張ってきたんだからせめてあと少しだけ頑張ってくれよ。
そしてちょっとでも長生きしてくれよこれはオレからの最後のお願いだ─────。
顔から出るもの全部出して決壊したオレの顔を母はただ黙って見つめていた。
おふくろさん。
元気になってオレ等を油断させといていきなり逝くなんてさ、そりゃないぜ
おふくろさん。
新しいお位牌、作って貰ってきたよ。
だからさおふくろさん。
なんでもいいから声を聞かせてくれよ