Flavor of you.




 

「る、かわ…くん…」

 

掴まれた腕は、動くはずも無く。

自分より40センチも遥か頭上の彼の顔が、ゆっくりと近づいている。

 

腰を抱かれ、引き寄せられた。

 

首筋に顔を埋め、肺いっぱいに紫絵の香りを吸い込んだ流川は、そのまま彼女を抱き締めた。

 

 

 

「…あ、の…」

 

「いー匂い」

 

抱き締めたまま、流川の指が紫絵の項をなぞった。

 

「…っ」

 

耳たぶを甘噛みすれば、びくんと揺れる。

その反応が可愛くて、ぺろりとひと舐めするとさすがに離れようと身を捩った。

 

素直に離れてやった流川は、顔を真っ赤にした紫絵を見て一瞬全身の震えを覚えた。

 

当の紫絵は一体何が起こったのか理解するまでに至らず、ただただ呆然と立ち尽くし心臓の音が収まるのを待つ。

 

 

「やっとアンタに触れた。」

 

「…え…」

 

「またすんだろ、インタビュー」

 

「…する、けど…」

 

「じゃあ、またヨロシク」

 

 

それだけ言って、流川楓は帰って行った。

 

 

 

からかわれた。

 

 

 

 

紫絵は、ただそう思うほか無かった。

 

 

 



04/24 23:20
[SLAM DUNK]

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