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「る、かわ…くん…」
掴まれた腕は、動くはずも無く。
自分より40センチも遥か頭上の彼の顔が、ゆっくりと近づいている。
腰を抱かれ、引き寄せられた。
首筋に顔を埋め、肺いっぱいに紫絵の香りを吸い込んだ流川は、そのまま彼女を抱き締めた。
「…あ、の…」
「いー匂い」
抱き締めたまま、流川の指が紫絵の項をなぞった。
「…っ」
耳たぶを甘噛みすれば、びくんと揺れる。
その反応が可愛くて、ぺろりとひと舐めするとさすがに離れようと身を捩った。
素直に離れてやった流川は、顔を真っ赤にした紫絵を見て一瞬全身の震えを覚えた。
当の紫絵は一体何が起こったのか理解するまでに至らず、ただただ呆然と立ち尽くし心臓の音が収まるのを待つ。
「やっとアンタに触れた。」
「…え…」
「またすんだろ、インタビュー」
「…する、けど…」
「じゃあ、またヨロシク」
それだけ言って、流川楓は帰って行った。
からかわれた。
紫絵は、ただそう思うほか無かった。