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サイト移転しました。


本日より、このブログサイトは移転することにしました。

移転先はこちらです。
新、非道いや

このブログを購読してくださっている方、お手数ですが新サイトにてまた購読登録をしていただけたら嬉しいです。

今までこのサイトに来て下さった皆様には、本当に感謝しております。
この機会を節目にして、また新しい気持ちで、よろしくお願いいたします。

新しいサイトでは、ブログ形式ではなく小説サイトとしてやっていくつもりです。
このブログを続けている間に、本当に色んなことがありました。
ブログを始めた頃は、私は引きこもりで、孤独を紛らわすために書いていましたが、今はなんとか高校生になり、前向きに生きています。
それもその間に支えていただいた、沢山の方のおかげです。
本当に、ありがとうございました。

私の文章を好きと言ってくれる方。
ありがとうございます。気に入らないと言ってくださった方も、私にとって進歩する大事な言葉でした。

これからも私は精一杯頑張っていきたいと思っています。

そしてもしよろしければ、またこうして見ていただけたらいいなと思います。


本当に、ありがとうございました。
これからも、よろしくお願いいたします。

奈彩 2010.08.17

保育園児の雨子ちゃん

保育園児の雨子ちゃんは
この世のすべてを知っていた
保育園児の雨子ちゃんは
宇宙の神秘、花の名前、
汚れた道路、世界の仕組み
このすべてを知っていた

だから雨子ちゃんに怖いものはなかった。
仲良しだった笑子ちゃんにいじわるされても。

花いちもんめは雨子ちゃんが大嫌いな遊びである。
保育園の先生に花いちもんめに誘われると、心の中がずんと、重くなる。
もちろん雨子ちゃんはその気持ちを知っていた
だから時には逃げ出した
雨子ちゃんにしかしらない、秘密の秘密の場所に。
保育園の一番奥にある、押し入れの、ダンボールと壁にできた狭い隙間。
薄暗く、ドアの外側で園児のきゃあきゃあという笑い声が、うんと遠くに、くぐもって聞こえた。
そんなときには決まって、親指を強く、強くちゅうと吸うと、安心できるのだった。

「あら、雨子ちゃん、こんなところにいたの」
がちゃり、と扉を開けられて、そう先生に言われるのも、雨子ちゃんには楽しみの一つだった。
だからそこにいるときは、ドアを開けられる瞬間を、いつも待っていた。

なのに何回かすると、先生はドアを開けても
「またこんなところにいる。あっちへ言って、皆と遊んできなさい」
と、怖い声で言ったのだ。
雨子ちゃんはそれにびっくりしたし、不満だった。
だから顔にぐっと力を入れた。
そうすると、涙が出ないことを、雨子ちゃんは知っていたからだ。

雨子ちゃんは自分の名前の
雨がすごく好きだった
雫がぽたぽた落ちる音
いつもは違う町なみと
キラキラ光る雨あがり
だから雨の日は嬉しくて
窓の外ばかりを見ていた

だから他の子供たちが、
「雨の日はいやだなぁ」
と話しているのを見ると、
雨子ちゃんはキッとにらんだ。

雨子ちゃんは知っている
自分に未来があることを
雨子ちゃんは知っている
大人になるとおっぱいが
大きくなるということも
雨子ちゃんは知っている
楽しいことも苦しいことも

ある日、雨子ちゃんが保育園に来ると、先生たちがお掃除をしていた。
しばらくぼうっとして立っていた雨子ちゃんに、先生が気付いて言った。
「雨子ちゃん早いのねぇ。年末だから、先生たちでお掃除をしているのよ」

そこで雨子ちゃん思い出して、かけあしで急いで奥の押し入れの部屋へ行った。
そこはがらんどうで、ダンボールはすべて運ばれていた。
雨子ちゃんの隙間は、なくなってしまったのだ。

雨子ちゃんは顔に力を入れて、涙をこらえようとしたけど、失敗した。
あとからあとから涙がこみあげてくる。

雨子ちゃんは初めてわんわんと泣いた。
先生に文句を言ったが、そうしてもあの隙間は帰ってこない。

その日、雨子ちゃんは失うことについて、知った。


おわり
‐‐‐‐‐‐‐‐‐

梅雨も明け、暑い日が続きますね。
最近はね、子供ブームです
子供の頃って、すべて特別だったと思う。
夏休みは、高校生の作文コンクールに、三つほど挑戦します。
日々は使い捨てで、夏も秋も冬も春も、ただ過ぎるだけなんです
私は面白いことも個性的なことも、書けないけれど。

追記は拍手レスです
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現代地球の短篇


おはじきの一枚一枚の
模様がすべて違うように
いくつか指から滑り落ちる
うつくしいものも含めて


あの子の瞳はクリーム色
誰が流したか知らないが
あの子の家の横の川にも
アイスクリーム流れてる


6月22日のキャベツ畑では
今日も知らない歌声が
小さな音で流れてる
ぼくとぼくの内臓しか
聞こえない暗い暗い歌


かかとをこつんと鳴らします
もひとつこつんと鳴らします
もひとつこつんと鳴らします
もひとつこつんは音だけ


キャベツ畑の少年は夢の中で
クリームの瞳に恋をした
彼女は夢の中でこう言った
キャベツ畑なのに
りんごが落ちているのねと


彼女がかかとを鳴らすことを
やめてからはもう会えない
二人それぞれ大人になって
おはじきのような毎日過ごす
時々りんごを食べるとき
ふと思い出しては懐かしむ


彼女はというと
あの時の彼に会いたいと
6月22日だけに
かかとを鳴らしては
歌をうたっているのです
彼の耳に届けばいいのにと。

‐‐‐‐‐‐‐‐

現代で短篇っぽく書いてみたかったのですが
難しいものです
読んでいてその情景が
思い浮かんだらいいなと
いつも思います。
少ない字数ですが。

6月22日 1年記念

向こうの道の

蓮の葉っぱの厚さを計る
てんとう虫の数を数える

向こうの道の紫陽花の
零れる花弁は道のその
暗い私の部屋の中
ひらりと入り恥じらう様子

長靴の中に旅に出た
三日三晩数え切れぬは
あの子の薄い手の平の上
まるい地球が溢れ出す

向こうの道の紫陽花の
青く雨に濡れた葉と
向こうの道の電線に
絡まる誰かの風船が
静かに視線を交わしてる
僕たちここから出られない
この濡れた手も繋げない

この雨の中では
猫もにゃあとは鳴けぬわ
風もびゅうとは吹けぬ
沢山何かを探してきた
私の湿った部屋は
今は紫陽花の花であふれてる
嬉しのか悲しのか
しかしどの花も私の名前を
知らないと言うのです

長靴の中は地球が詰まってた
じとりと重く水分を吸って
てんとう虫を沢山這わせて

明日になったら地面も乾き
皆旅に出るでしょう
それでも風の中の風船だけは
今日のことをずっと忘れませんでした


共に生きましょう

お店屋さんごっこ

半信半疑で見つめた腕時計
不慣れなまばたきを繰り返し
ちらばったビーズを集め
美しくもない森へ出かける

大量の銀杏を踏み潰して
石畳の庭を降りると
ところ狭しと並べられた
飴玉がこっちを誘う
いらないいらない

ぱちぱちと
音をたてて飴玉はじける

「ともかく」
ベッドの中は森だったから
水を持っていかなくちゃ
疲れてしまうのよ
わかってない

とん とん とん
上手にバタ足をして
今度は海をおよぐ
忙しい夜だ まったく
金魚のように

魚屋のように

八百屋になった

お勘定もらいます

揺れる揺れる泡の中
息ができなくなった
さっきの飴玉とける
油のように

気がついたら
「いてっ」
と声がして

おもちゃの指輪が
背中の下敷きになって
壊れてしまった

ころころビーズおちて

近すぎる遠くの森へ
まっさかさま

またいつか行けるよね
正夢の森
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