サイトに短時間で打った海堂誕生日文章をアプしましたー
同棲のリョ海なので裏です
内容は全然エロくないんですが、シリーズなんでね
で、それと同時にマジックもかわいいよねって思ったのでまた懲りずに短時間で打ちましたが、なんか違う
かわいいのがかきたかったのに全くかわいくないどうしたらいいの、海堂センパイ
かわいくない…
すみません
久しぶりにリョと海文章かいたな。絵はもうちょっと先になりそうです
海堂センパイ誕生日おめでとう!!
─=≡Σ((( つ
̀ω
́)つ
誰にでもやってくるその日。
差別なくあるその日が、かけがえのない日になるか、なんでもない日になるか
それは、君次第だ
そう、君次第で、その日が、薔薇色にも虹色にも、煌めく星の日にだってなるんだ!!
部活終わりに部室を使い、誕生日おめでとうと祝われた。海堂はホワイトボードに書かれた「海堂誕生日おめでとう」という言葉に目を細める。夕焼けが朱く色付き、青かった快晴の空は最早姿を消していた
まるでそれが先程までの誕生日会のようで、部室に設置された長机を徐に手で撫でた
誕生日会で使った紙皿も紙コップもスプーンもフォークもカラフルで可愛く、でも使い捨てで、一年の三トリオが片付けているのを横目で見ていた
盛大に祝われた誕生日会が終わって尚、海堂は少しその余韻に浸りたくて足を運んだ筈の帰路を覆し、部室へと戻ってきた
先程まで煌々と輝いていた電気も消され、朱い部屋は目映くしゅういろに輝いていた
違う部屋に思えて、足を踏み入れた
まるで、晩餐会が終わった後のような、いや、最初から誕生日会等まぼろしだったかのような
しかし、ホワイトボードの文字は消されずに残っていて、見れば誕生日会で使われた装飾品も幾らかビニール袋に入れて置いてある
さあ、はてさて、海堂は椅子に腰を落ち着け呆然と静かになった部室で考えていた
この、メンバーで誕生日を祝って貰えるのはきっとこの一度きりだと
この青学のこの部室で、全国へと立ち向かう、この最高のメンバーで
海堂、誕生日おめでとうと祝われるのはこの一度きりだ
そして、二度あるなんて事はあり得ない。
きゅっと分厚めの唇を噛み締めて、海堂は思う。絶対に勝つと。絶対に全国制覇を成し遂げる。この、メンバーで、だ
誕生日おめでとうと言ってくれた、このメンバーで、次は全国優勝おめでとうと言いたい。言い合いたい
そんな素晴らしいメンバーに出会えた事を、噛み締めて、誓う。何度も、何度でも
椅子に座って机を撫ぜた手を握り締めれば、カタンとドアから音がして無意識に目がそちらに向かった
あ、と唇だけ動かし、音にはならない音を飲み込み、越前リョーマがドアの前に佇んでいた
「あ?越前?」
「あーー、っス」
「なんだ?」
「や、忘れ、物?みたいな?」
「はあ?俺に聞くなよ」
「っスよね」
まあねーと気の無い返事をして曖昧にし、越前が部室の中に入って海堂へと近付いた
「何忘れた」
「んーーー」
はあ?なんだこいつ。と海堂は首を傾げて越前の様子を伺っていれば、海堂の目の前の椅子に座り、何でも無い様な顔をする
夕焼けの朱い陽に焼かれて越前の顔が朱くなったように見える。それは只の錯覚で、目の前の自分の手も朱い。染められた朱に思考を奪われ次に越前を見た時、息を飲む程に優しく微笑まれ、目を見開いた
笑う理由が分からなくて、越前に声をかけ様にも雰囲気がそれを許さない
そんな雰囲気感じた事も居合わせた事も無かった海堂は息苦しさに吐息を吐く
越前の朱に染められた手が動いて、ゆっくり、傲慢な動きで手にどこにでもある油性マジックの黒が握られた。海堂は頭の端で、忘れ物はそれか、なんて越前に声を掛けていた
「忘れ物、これっス」
「やっぱり、誕生日でないと」
「ねぇ、貸して」
手。と自分よりひくいたいおんの手に手を取られて肩を揺らせた。声がやっと出て、間抜けにもなんだ?とだけ返している。そんな言葉より先に他の言葉があるだろうに
越前がマジックのキャップを咥えて口で外す。そのまま海堂の左手、薬指に黒のそのマジックで輪をゆっくりと画いた
「………………」
「よし、できた」
「………なっ??!テメっ!!」
ぐわっと頭に血が登り、越前の小作りな頭を片手で掴み抑えつけた。机に潰れた越前からカエルの鳴き声が漏れる。海堂の左手の薬指に黒の輪っかが円を画き繋がっている。器用にも繋ぎ目がわからない。そんな事に意外と器用だなこいつなんて呑気な感想で目を瞬き、ラクガキされた指を強く擦った
「ラクガキしてんな!!馬鹿かテメェ!先輩を何だと…!」
「擦ンないでよ、ラクガキじゃないし、ちょっと」
「油性じゃねぇか!」
「取れたら意味ないし」
「意味がわからねぇ!!」
「いつか、分かるよ」
「あ?!くっそ!取れねぇ!」
「ジャーン」
ジャーンと越前が自分の左手を上げて海堂へと掲げて見せた。しゅういろの箱の中で相手の薬指には真っ黒の輪が画かれていた
海堂と同じもので、同じマジックでかいたと思える
海堂は意味がわからなくて、首を横に傾げた。何の遊びだ?中学一年にもなって餓鬼臭い。あの越前がこんなラクガキを自分にも他人にも画くなんて
つい、とラクガキされた手をまた取られて力を込める。これ以上ラクガキされてたまるかと睨み見れば、越前が薬指に唇をつけた
がたん!がた!がん!どす!
全部の音を鳴らして海堂は地べたへ尻餅をつく。椅子から落ちて、机で足を打って椅子で後頭部を打った。からの、尻餅
何が起きたのか全くわからない。越前が海堂の薬指に唇をつけた。唇?なんで?疑問しかない海堂に本人の越前はしてやったりと生意気に笑う
「分かったら、教えてね。かいどーセンパイ」
ひらひらと左手を振りながら、入ってきたドアから越前が出て行こうとしたので待てと叫びかける。その声を遮ったのは
「ハッピーバースデー海堂、センパイ」
とびきりの生意気な笑顔で言われて不覚にも海堂の心の真ん中がほわりと熱くなる
閉まったドアを見つめながら、尻餅をついた海堂はただ呆然と左手の薬指の黒い輪っかを眺めた
誰にでもやってくるその日。
差別なくあるその日が、かけがえのない日になるか、なんでもない日になるか
それは、俺次第だ
そう、俺次第で、その日が、薔薇色にも虹色にも、煌めく星の日にだってなるんだ
そして、始まりの日でもあるその日が
再び、何かの始まりの日にもなる。
油性マジックで画かれたそれが、婚約指輪の真似事だと知るまで、後数時間
俺は誕生日のこの日、とんでもないものを越前から受け取ってしまった。