『まあ…妖怪回収はあかりさん達6人組にしかできないんですけどね…』
「ん?何か言った?」
『いえ、なんでもないです』
とある放課後のこと
あかりは一人、教室で学級日誌を書いていた
「あれから妖怪も現れないし、妖怪らしき事件もない…」
『どこかに潜んでいますよ』
「そうかなあ…」
あかりは窓の外を眺めながら呟く
季節は春。校庭に植えられた桜の花が満開だった
今日も大所帯の野球部が練習をしているのが見える
「いや見えない」
『どうかしました?』
「なんか尋常じゃない花弁のせいで何にも見えないんですけど」
『妖怪の仕業ですね!』
「これが妖怪!!…っていうか妖気を察するとかそういうのないの?」
『この地域には妖気が散らばりすぎていて判別できないんです…』
「不便だ……!!とにかくこの花弁なんとかしないと!」
あかりは校庭へ向かった
そこでは練習をしていた野球部と陸上部が花弁を集めてごみ袋に入れる作業をしていた
「いやー今年はすごいなぁ」
「花弁集めてジャム作ろうか!」
「いいね〜」
「しかし異常気象かなんかか?」
「花弁なんて天気ねーし!!!野球部が花弁集めてジャム作るとかギャップにも程があるううう!!!」
異常な事態だというのに気の抜けた会話をしていた野球部一同にツッコまずににはいられないあかりだった
「どこだ!妖怪!!」
校庭に花弁が降り積もっていくだけで妖怪の姿はない
『これは【花】の妖怪ですね〜。彼女は穏やかな妖怪ですよ。ちょっと困ったこともしますけど…あとは酒豪』
「酒豪…?まさか酔いの勢いで花弁撒いてるんじゃ…」
『ありえますね!』
「迷惑だーーーー!!!」
『あ!あかりさん!屋上から花弁が撒かれているようです!本体は屋上にいますよ!』
「屋上!?立ち入り禁止で鍵が…!」
そう言いかけたあかりの身体を里桜は持ち上げて屋上まで飛んだ
「いやああああぁぁぁ!!」
『高いところはお嫌いでしたか?あ、ちなみにあかりさん一人でも飛べます』
「そ、そうなんだ……」
屋上に着くといきなり疲れた
飛べるのは便利だが実は高い場所は得意ではないあかりだった
「あ…あれが妖怪…!?」
そこにいたのは日本酒一升片手に寛いでいる和服の美人なお姉さんだった
『そうです!彼女は攻撃的ではない代わりに気分で花弁を撒き散らす妖怪なんです!』
「やっぱり迷惑だーーー!!」
【花】の妖怪はこちらに構わずどこからともなく花弁を出し空に撒き続けている
「えーと、【花】の妖怪の回収条件は…!」
『あら、可愛いお嬢さんね。私をまた封印しにいらしたのかしら?』
どうやら妖怪も里桜と同じで普通に話せるらしい
なんだか説得すれば回収できそうな気がしないでもない
「そう!あなたの回収条件はなに!?」
『私を封印したければ……私と飲み比べで勝つことよ〜』
「酒飲めねえええええええ!!」
強気にかかったあかりだったがいきなり条件最悪の事態となった