母と長男を連れて父のいる老人ホームへ行った
介護士に付き添われ車椅子で登場の父
「おお、来たか、来たか」
父の表情は穏やかだ
「今日は正月だよ。1月1日」
「ほう、そうだったのか。いやいや、こりゃこりゃ、はははは」
父が長男に聞いた
「もう何年生になった?」
「もう五年生だよ」
「そうか、そうか、あと一年だな」
リハビリは続けているようで、つかまり立ちも見せてくれたが、まだ歩くまでは程遠い
と、ここまでは普通の面会シーンなのだが認知症の父は、たった今の会話を覚えていない
「もう何年生になった?」
「だから五年生だよ」
「そうかそうか、あと一年だな」
同じ会話を何度か繰り返した後、私たちは帰ることに
「もう帰るのか?。俺も一緒に帰りたいよ、はははは」
母が父に言った
「じゃあ帰るからね。ここから見てるから自分の部屋まで帰ってね」
すると父
「いや、ここにいるよ」
お前たちが見えなくなるまでここにいたいんだよ
〜以前書いていたブログサイトから抜粋した記事を読み返していたら懐かしくなりました。父は今年他界。当時五年生の長男も今は社会人です〜