また、強かにもどした。実家を後にして一人こちらに戻る。家に入るなり覆う無気力感。何一つやれることがないように思う。コンビニにいってお茶と明日の朝食を買う。戻ってきて晩御飯の代わりにチョコレートを食べた。まるであのお姫様のようじゃないか。
 動くこともできずに座り込んだまましばらく携帯を触る。ふと気づくともう二時間もこうしている。チョコレートを十個程食べた。キャリーを開けて中身をあるべき場所へ戻す。エアコンが快適に作動している。布団を敷いた。洗濯物は畳めそうにないのでバスタオルだけを取る。
 そのうち頭の中がお母さんのことでいっぱいになってきて気がついたら嗚咽を零している。マスカラやアイラインが落ちて手の平に黒い水滴がつく。

 あの時、私さえしっかりしていれば。私さえ、私さえ、私さえ、私さえ、私さえ。私さえ、しっかりしていれば、お母さんの左目は見えなくならなかったかもしれないのに。いつのどの時点でも私さえ、しっかりしていれば、お母さんは、こうならなかったかもしれないのに。可能性の問題。机上の空論。意味などない。ただの懺悔だ。あたしさえ、いなければ。出来損ない、ごめんなさい。

 したたかに、嘔吐