「友達なんてものは所詮、自分にとって利益になる人間だけだ」
「そんなもんは友達じゃない」
頭の中で時々繰り返される男の言葉。もう何年も経つが、忘れても、ふとした拍子に思い出してしまう。
いくら学園で世間一般的に友人と呼べる存在ができても、幼い頃に呪いのように縛り付けられた言葉に怯え、疑ってしまう自分がいる。
怖くて、気付けばずっと仮面を被って自分を偽りながら生活する日々を送っていた。
けれど憎い弟と会えば頭に血が上り、素が出てしまう。そんな僕を散々見てきたはずなのに、和彦はこんな僕にも手を差し伸べてくれた。
どんな僕を見ても、和彦は僕から離れたりしなかった。…鼻血は沢山出してはいたが。
「恭夜さん」
笑顔と共に優しい声音で名前を呼ばれると顔に熱が溜まる。
願わくば、彼の友人というカテゴリーから外れたいものだ。
追記はあとがき&愚痴なため閲覧注意
聖なる夜、クリスマス
世の中の子供達は両親からプレゼントを貰い、朝起きるとサンタさんからのプレゼントが枕元に置かれている。
そんなクリスマス
「恭平、恭夜、ごめんね」
母はいつも悲しげな顔をして、俺達二人を残して仕事に出かける。
もちろん、父も不在だ。
毎年クリスマスは家政婦さんの作ってくれた冷めた料理と恭夜と言葉も交わさずに食べて終わる。
両親からのプレゼントも、サンタさんからのプレゼントも貰った記憶はない。
『常盤の場合』
「24日、暇か?」
「ん?」
常盤に誘われるまま常盤の部屋でチョコレートケーキをご馳走になっていれば、突然の問いかけ。
「暇なら、俺にエスコートさせろよ」
左手にそっと右手を重ねられ、そのまま握りしめられた。
真剣な顔で見つめられ、常盤の顔から目を逸らせない。
「最高に良い気分にさせてやるから、な?」
『佐々木の場合』
食堂で偶然会った佐々木に大量の唐揚げを奢ってもらった。食べても食べても山盛りの唐揚げに幸せすぎる…!
「秋、美味しい?」
俺の腰に両腕を回して密着してくる佐々木は正直に邪魔だか仕方ない。
「秋が望むなら、何でもする。だから、24日一緒に過ごそう」
「んむ?」
唐揚げの油でベタベタな俺の唇を紙ナプキンで拭ってくれる佐々木。その表情は一切変わらず、思考が読めない。
でもコイツは、いつも俺が嬉しいことしかしてこない奴だってことは分かってる。
「そばにいて」
鬼ごっこの4ページ目の次の展開を考えていたら浮かんだので書いてみました!
本当お遊びなので、寛大な方だけお読みください