特別支援学校実習二日目。
いきなりプールに入ることになり、慌てて高校生の時のスクール水着を引っ張り出しました。
は、入って良かった…!
つくづく思うことは、もっと前もって連絡してくれってことです。大学ってこんな感じなんやな…って納得するほか無いですね(笑)
あたしをお姉ちゃんって呼ぶあの子と一緒にプールです。
温水で、それどころか室内もあったかくて、かなり快適で綺麗なプールでした。
彼女の言ってることがなかなか聞き取れなくて不安だったのに、一緒にいるうちにだんだん分かるように。
水の中を歩きながら、彼女は隣の席の男の子の話ばっかりするんです。なんだかあたしと似たようなこと言ってるなぁって笑っちゃいました。
そしたら、もっともっと彼女と一緒にいたら、もっともっと言葉が通じるようになるのかなって寂しくなりました。
プールを出ると、風邪を引かないようにってドライヤーまで完備されていました。
お昼のお皿を片付けていると、1人の男の子がもじもじ。
こちらに話しかけようとしてくれてるのか、でも近付いたと思ったら離れたりして、どうしようかと思ったらサッと行っちゃいました。
担任の先生が笑う。
「先生、メアドとか聞かれませんでした?大丈夫?狙ってますよ」
「あっ、それは大丈夫です(笑)」
なんだか笑ってしまう。
男の子は照れ屋な子が多いなぁって。一緒にプールに入った女の子の隣の男の子も、口では悪態吐きながら何かと彼女に世話を焼いてるし。
だから好きなのかな…青春だッ。
昼休み、片付けをしに廊下を歩いていると、昨日気になって仕方なかった彼が…えーと、とりあえずA君(仮名)にしよう。(因みにイニシャルとかあだ名とか何も関係ないです(笑))
あっ、なんか話してみたいな…いやでも何も…なんてちょっと離れた所で考えてたら、さっきもじもじしてた男の子が彼の袖を引っ張ってこっちを指差しました。
うらやま…じゃなかった、なんだろ?と思いながら自然な感じで近付いてみたら、声が聞こえてきて。
「なぁなぁ、あの先生呼んで。バスケしよって誘って」
「自分で誘えよ」
「先生が誘って」
全部聞こえてるんだけど(笑)
笑い出しそうになるのを堪えて、なにも知らないフリでそのまま進んだら、男の子が慌てたような仕草をして。
「〇〇先生、」
結局呼び止めてくれたのは男の子ではなくA君でした。
あたしはというと、彼に先生って呼ばれただけでなんかもう、ときめいてしまって急に焦り出しました(笑)
「先生、体育館で一緒にバスケしよっ」
男の子が慌てて付け足して、あたしの袖を引っ張りました。反対の手でA君の袖を引っ張って。
それはもう、あたしはうきうきでした。
なんてナイスな子!(笑)
2人の後を付いていく。
「何、先生の事好きなんか」
「ちゃうわ!」
2人の会話が可笑しくて、生憎の雨も今日は全然気にならなくなっていました。
体育館でバスケ、バトミントン。運動は苦手だけど、かなり楽しかった。なんかまた一緒に遊んでるだけのような…いや、もう、それはいっか(笑)
今日はこの学校は最終日。バスケに誘ってくれたあの子は、掃除の時も帰り際も何かと傍に来て話しかけてくれました。
「なぁなぁ先生、月の恋人見た?」
「ううん、録画してる。見るん楽しみにしてるから、あんま喋ったらあかんで」
「おれ、北川景子好きやねん。でも新垣結衣が一番好き」
何時までも横にいる彼を見て、担任の先生が部活の時間やろって何回も言いに来ました。
「行かなあかんのちゃうの?ね、遅れたら怒られるよ、また」
「先生、可愛いな」「いやいや、褒めても駄目です」
「まだ大丈夫やもん。もうバイバイやんか。淋しいもん」
「またいつか会えるかもしれへんやん。先生、県内にいるし」
「会えへんよ多分」
「何で?ばったり会っちゃうかもよ」
「会えへんもん…」
ああもう、可愛いな。全ての生徒に公平にっていうのが、実は一番難しいのかもしれない。
「先生、」
「ん?」
「淋しいな」
帰り際彼は何かにつけて何度もそればかり言って、笑ってるのに泣き出すんじゃないかと思ってちょっと焦りました。
「先生、淋しい」
あたしは明日も明後日も実習だし、山のようなレポートが待ってるし、慣れない環境に早くも疲れてきてて。
だから淋しがる隙があまりなかった筈なのに、その台詞にこっちまで淋しい気持ちになってしまいました。
帰ったら記録し終わる前に睡魔に負けて、ぐっすりでした。