「オイ、ドリバル」
ポケモンワールドマスターズ関係者のみが入ることのできる、地下二階通路。
配線が張り巡らされたそこで設備チェックを行っていたドリバルに、ふと背後からかけられた声があった。
「……はい?」
振り返れば、強い視線。腰に手をあてて物言いたげな様子の青年が、赤いサングラスごしにジッとこちらを凝視していた。
「若、どうされたのです? こんな時間に」
そろそろ…そろそろ公表してくれてもいいんじゃないですかね…!
プロデューサーレター公開されて、おっ来たか!?
と思ったらまだだった…焦らされてますね…
めっちゃてのひらの上で踊らされている…!
「まだ起きてたのかい」
だいだい色の明かりが室内をぼんやりと照らす私室。プラズマ団の城とはくらべものにならない質素な一室で、ふとそんな呆れ声が背中にかかった。
「成長期の誰かさんとはちがいますので」
声のする方には振り向かぬまま、手元の本に目を落として冷たく言い放つ。
先日、ようやくボトル二本あけてまだ残ってる的な話を書きましたが、
やっぱ…赤系インク、必要だな! と思い至って買ってきてしまいました。
「心地いい風ですねぇ」
窓から吹き込む南方からの空気に揺られて、ローズはくつろいだ声を上げた。
「もうすぐ夏が近いんだね。なんとなくあったかく感じるよ」
目元をゆるませた彼はしなるデッキチェアから腰を上げ、しおりを挟んだ分厚い本をその上に置いた。
「好きな子が、できてもうたんよ」
それは、ここパシオでお茶会をしている最中、唐突に落とされた爆弾だった。
「それは……おめでとうございます」
いち早く衝撃から戻ったのはズミで、傾きかけたティーセットの器をサッと整える。
対照的に、驚きから復活できない自分は、呆然と彼女に問いかけた。
1月末のオンラインイベ参加を考えるに至って、
(参加条件がポケモン派生作品に関連していること、なので)
今まで気になってはいたけれど手を出してなかった、
ライヤーさん×ドリバルさんをですね…pixivで検索したんですけど…
「……え? ここの前のジムリーダーの行き先?」
「うん。グリーンなら知ってるかな、と思って」
シロガネ山にて修業にあけくれ、はや三年の月日が流れた。精神を鍛え、肉体を酷使し、ポケモンたちとともに山にこもっていた合間、偶然耳にしたウワサがあった。
『ロケット団が復活する』