『本格推理委員会』
日向まさみち 著
産業編集センター
2004/7/31 発行
第一回ボイルドエッグス新人賞受賞作
【内容】
家事スキルlvMAXの強面男子高校生が破天荒な幼なじみやら理事長やらに巻き込まれて本格推理委員会に強制入会させられる(雑用として)
そして小学校で流行る音楽室の怪談を調査してゆく事となった
【感想】
タイトルから見るにミステリーを期待していました
だって
「本格推理」!!!
「本格」で「推理」な「委員会」ですよ
ガッツリと注意深く読めば、解決できる難事件
なミステリー小説なのでしょう
と期待です
でも表紙を見ると…
壱河きづく先生の可愛すぎる美少女が!!!!!
ラノベか
これはラノベなのか!!?
戸惑いながら読み始めると
スルスルと読めてしまいます
本格ミステリーにはあるまじきスルスル感です
ラノベにはあるまじき萌えのないスルスル感です
アッレ?この本ってジャンル何??
文体自体はラノベ調ではないです
ただ、登場人物は属性持ちのキャラみたいな作り込み方をしていて
アンバランス…?
キャラの同一性に難があったり
メインヒロインかと思わせる「勘がいい」幼なじみが勘で事件の肝を語った後フェードアウトという珍現象が発生したり
ちなみにフェードアウトは幼なじみ以外にも発生します
委員会の先輩が二人居る意味は…?
主人公の男友達が二人も出てくる意味は…?
ラノベとしてはどーよ。みたいな箇所がありました
ミステリーとしては…
事件の大体は途中でほぼ分かってしまう
しかも雰囲気で(笑)
これが「勘」で事件を読みとってしまう効果ですかねぇ
それを狙ってるなら凄いですが
やっぱりミステリーじゃないな。という感じです
主人公のトラウマ的なモノが中盤以降明らかになって、やっとこの作品のジャンルが青春成長モノだと判明するわけです
でも
主人公の成長があっさりすぎ
トラウマ克服が大雑把
てか主人公に対する理事長(本格推理委員会の顧問)の発言はあまりにも無神経ではないかと
人の感情の機微が分からない天才の発言と取ればいいのかもしれませんが
教職者としては…
大人としていい味出してるのは美術教師の岡嶋先生ですね
自分の弱さを語りながらも主人公を見守っていた渋い大人です
色んな要素を詰め込みすぎて
作品のテーマが崩壊してしまった…
みたいな空気を漂わせてます
人の心の動きをもっと丁寧に書いてくれたら、青春モノとして読み応えが出たんじゃないか
もしくは、キャラのフェードアウト現象をさせずに巧く絡ませてくれたら、ラノベとして萌えられたんじゃないか
となんだか惜しかったです