児玉さんの書評集です。
あまり読んだことがあるものがなかったので、自分の好みに合うかは分かりませんが、文章力があるので、読んでいて中々楽しいものでした。
『ひたすら面白い小説が読みたくて 文庫解説コレクション』
著者 児玉清
発行所 中央公論新社
ISBN 978-4-12-004492-2
児玉清さんのことは昔から好きだったけれど、どんな風に生きてきたのか分からない人でもあった。
大学の卒業式に母が亡くなったことで、大学院ではなく就職活動をしなければいけなくなり、それが俳優人生の始まりでもあった。児玉清さんの姿を、亡くなってから少しずつ見ていく感覚でした。
洋書がお好きなようで、和書好きの私としては、中々読みたいなと思うところまでは気が進まないのですが、賢い人がゆえ、文章が読みやすく楽しかったです。
語彙力がある人の文章は、どうしてこんなにも引き込まれるのか。
「Win now,Pay later」今やるべきことをやってみろ。ダメだったら、その時に考えればいい。
児玉清さんの好きな言葉は、紳士なイメージからは意外でした。
「安全な道などこの世には存在しない。だったら、安全を掴もうとするな、絶えず嵐の中を突っ走るのみだ、と固く心に誓って…」
俳優として泣かず飛ばずだった児玉清さんは、君を売り出すのをやめると言われたとき、こう思ったそうだ。
人との距離も希薄で、雇用も不安定な世の中で、この言葉が心に響く人が多いのではないかと思いました。
児玉清さんは亡くなってもなお、人に影響を与える事ができるんだなぁ…と感慨深かったです。
日本の政治家について、こう語った文章が印象的でした。
“誰もが御身大事が一番で、国のことを考えていないように見える。当たり前のことに気がつかないからだ。自分の発言が周囲に与える影響にも考えが及ばないから、失言を繰り返す。まずは常識人になること、大人の良識を備えることこそが今の日本の危機を救うことだ。”
『すべては今日から』
著者
児玉清
発行者 株式会社新潮社
ISBN 978-4-10-449502-3