「友達なんてものは所詮、自分にとって利益になる人間だけだ」

「そんなもんは友達じゃない」

頭の中で時々繰り返される男の言葉。もう何年も経つが、忘れても、ふとした拍子に思い出してしまう。

いくら学園で世間一般的に友人と呼べる存在ができても、幼い頃に呪いのように縛り付けられた言葉に怯え、疑ってしまう自分がいる。

怖くて、気付けばずっと仮面を被って自分を偽りながら生活する日々を送っていた。
けれど憎い弟と会えば頭に血が上り、素が出てしまう。そんな僕を散々見てきたはずなのに、和彦はこんな僕にも手を差し伸べてくれた。


どんな僕を見ても、和彦は僕から離れたりしなかった。…鼻血は沢山出してはいたが。


「恭夜さん」


笑顔と共に優しい声音で名前を呼ばれると顔に熱が溜まる。

願わくば、彼の友人というカテゴリーから外れたいものだ。


追記はあとがき&愚痴なため閲覧注意