3月の23の日
2010-3-23 20:31
ニールとライル
「よっ、ライル」
「……なあ兄さん、そこ、2階の窓なんだけど…」
「こらこらっ、会話文だけだからって俺に変なアビリティ植え付けるな!インターホン鳴らしたろ?そんでもってお前がやって来たここは玄関」
「冗談だって。ま、取り敢えず中入れよ」
「これはあれか?先月の仕返しなのか?」
「どうだろうな。珈琲と紅茶どっちがいい?」
「珈琲頼む」
「リョーカイ。入れてくるからリビングで寛いでてくれ」
「ほらよ」
「さんきゅ」
「あと、これは茶菓子」
「と、見せかけて俺の好きなレーズンスコーンを出す、その心は?」
「あ?半額セールの哀れな残りもの。一番安かったんだよ」
「……聞かなかったことにする」
「懸命な判断だ。んで、こっちはアンタにやるよ」
「ん、これは…開けてもいいか?」
「お好きにどうぞ」
「万年筆…」
「兄さんが好きなものとかさっぱり分からないからさ、邪魔にならなそうなもので当たり障りのなさそうなもの選んどいた」
「や、これは普通に嬉しいぜライル…こんな良い万年筆なんて…」
「そっか。そう言ってもらえたら何より」
「ありがとな。んじゃ、俺からはコレ」
「ジッポー…ははっ、禁煙しろとは言わないんだな」
「何だ、電子煙草の方がよかったのか?」
「いやいや、それは勘弁してくれ。うん、手にしっくり来る。有難う兄さん」
「お互いな。ちょっとばっかし遅れちまったが、ライル。誕生日おめでとう」
「有難う。そしてこっちも遅れたが、誕生日おめでとう、ニール」
今年一年、幸多からん事を心より願う。
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