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二つの蝶

-ヒュゥゥン-

-ピシュゥン-

-ギショォン-

-ズゥン-

クラネオンVの脚部が簡易変形を行い、地面に着地する。

「ハア…ハア……、此処は…?」

縁は周囲の景色を見て呟き、VNWSを接続して現在地を確認する。

「岐阜県北部…さっき通過した小川が木曽川だったの…?」

縁は木曽川跡を見て驚く。

先日…、賊徒とレジスタンス、治安警察のゴタゴタに巻き込まれ、成り行きでクラネオンVに乗り込む事になった松平縁(マツダイラ・ユカリ)は、必死の思いで賊徒達の執拗な追撃を振り切り…戦場を離脱。

その際、クラネオンVはパイロットの思念を読み取ってナビゲーションを開始し、戦場になった愛知県周辺を避け、静岡県、山梨県、長野県を経由して岐阜県に入るルートを進んでいたのである。

「…この辺りには汚染獣は現れないみたいね」

縁はほぼ無傷で残っている市街地を見て呟く。

-グゥゥゥ-

「…(うぅ…逃げるのに夢中でお腹が減ってるのも忘れてた…)」

-ゴソゴソ-

縁は忘れてた空腹感を思い出し、持ち合わせを確認する。

「…背に腹は代えられないか…」

縁は持ち合わせの銭を見て溜め息混じりに呟き、クラネオンVのコクピットハッチを開く。

-ビビッ-

-ウゥゥゥゥゥゥン-

「きゃ!?」

レーダー内に何かを捉えたクラネオンVは、緊急回避プログラムを作動させ、縁は再びコクピット内に戻される。

-ビシュゥン-

直後にレーザーがクラネオンVを掠め、クラネオンVの後方にあった建物を破壊する。

-ビビッ-
-カチカチ-

「アンノウン!?」

-ビシュゥン-

縁はクラネオンVのモニターに映し出された正体不明の機体を見て言い、アンノウンの攻撃を回避しつつ戦闘態勢を整える。

『VNWSリンク、裏日本及び表日本にて更新された交戦データの受信完了、戦闘に反映させます』

クラネオンVはVNWSを通じて送られてくるアンノウンのデータを受信し、そのデータを基に戦闘パターンを構築する。

「側頭部レーザーとハイブリッド・ライフルを使っての迎撃が有効…?なら…!」

-ギショォン-

-シュシュシュシュン-

縁は瞬時に流された情報に従い、クラネオンVの両側頭部にある23mm口径のレーザー砲を連射する。

-シュシュシュシュン-

レーザーの散弾はアンノウンのバリアシステムによって偏向するが…

「…動きを鈍らせた所にハイブリッド・ライフルを撃ち込むのね」

-ガシッ-

-ズガァン-

縁は頭に流れてくる情報に従い、ハイブリッド・ライフルの照準を合わせて引き金を弾く。

-バキィィン-
-ズゴォォォォォン-

-ドゴォォォォン-

アンノウンはバリアシステムを発動させたが、強力過ぎるバースト・リニア弾を防ぐには至らず、容易くバリアを突き破られた挙げ句に機体も撃ち抜かれて爆砕する。

-ビシュゥン-
-バチュゥン-

「このくらい!」

アンノウンはレーザー砲を放つが、縁は超電磁蹴加速装置を発動させて回避し、同時に間合いを詰める。

-シャン-
-ゴォォォ-

「…其処ぉ!」

-バシュゥ-
-バシュゥゥ-

二本の両刃型プラズマ・シュナイダーを抜刀したクラネオンVがアンノウンに肉迫し、アンノウンをX字に切り裂いて離脱。

-ズゥン-

-ヴゥゥゥン-

-ドゴォォォォン-

クラネオンVが着地した直後、切り裂かれたアンノウンは空中で四散し、爆砕する。


-グゥゥゥン-

「SKが現れたと聞いて飛び出してきたが…、まさか噂の黒いZWと御対面とはな…」

三木良徳は甲型菊池のコクピット内で呟く。

「三木さんよぉ、俺達は傭兵だ、出撃費用の元取る為に好きにやらせてもらうぜ」

小此木親鸞はそう言うや、クラネオンVに向かって突進する。

「やっぱりこうなりやがるか…仕方ねぇな」

-ゴブゴブゴブ-

良徳は頭を掻きながら呟き、コクピット内にぶら下げている水筒の緑茶をがぶ飲みする。

-ギュゥゥン-
-ガシッ-

「SKを撃退してもらってどうかと思うが、余所者が入るとコッチも色々面倒な事になるんだよな、早々に県外へ退避してくんな!」

-ドドドドドド-

良徳は甲型菊池を操縦し、クラネオンVにアサルトライフルを放ちながら言う。

-ヴゥゥゥン-

-ゴォォォ-

「噂の黒い機体同士…!やり合ってみたかったんだよな!」

親鸞はTA・ハウンドのビーム・ブレイド・烈空六式を展開してクラネオンVに襲いかかる。

「く…!速い…!」

TA・ハウンドのビームブレイドと隠し腕による波状攻撃がクラネオンVを襲う。

「おらっ!」

「くっ!」

-ビシュゥン-
-ヴゥゥゥン-

親鸞のハウンドが至近距離でビーム砲を放ち、縁のクラネオンVは間一髪で回避する。

「援護!」

-ビシュゥン-
-ビシュゥン-

「!」

-ドゴォン-
-ズゥン-

他のハウンドもクラネオンVに援護射撃を加え、縁のクラネオンVを追い詰めていく。

「どうしたよ!動きが甘ぇぜ!」

猛攻を加える親鸞はクラネオンVの回避行動を見て言う。

「大事な機体を失う前に立ち去んな」

-ウゥゥン-

残弾節約の為に良徳は射撃を止め、縁に通告する。

-ズゥン-

-ザッザァァ-

「ジャミング!?」

クラネオンVが回避の為に着地するや、レーダーが撹乱され、縁は驚く。

-シュゥゥン-

「!」

「何!?」

直後にクラネオンVが散布する粒子の影響を受けてか、白い小型ZWの姿が露わになり、親鸞は驚く。

「ちっ、先手必勝だ」

-ビシュゥン-
-ビシュゥン-

突然現れた白いZW…甲乙・白揚羽に対し、親鸞は先手必勝とばかりに攻撃を仕掛ける。

-シュシュン-

「…見つかった以上…静観は無理と判断、応戦します」

揚羽はそう呟き、親鸞のハウンドの攻撃を回避する。

「援護!」

「………」

-ガシッ-
-バキィィン-

-ドゴォォォォン-

傭兵のハウンドが援護射撃を加えようとするが、直前に甲乙・白揚羽の放ったバースト・リニア弾が直撃して爆砕する。

「余所見すんじゃねえ!」

「………」

-ゴォォォ-

-ヴゥゥゥン-

-バチュゥゥ-

親鸞のハウンドは甲乙・白揚羽に猛然と襲いかかるが、甲乙・白揚羽は素早い動きでハウンドのビーム・ブレイドを回避する。

-ズゥン-

「おらっ!」

「………」

-ビシュゥン-
-ズガァン-

親鸞のハウンドと揚羽の甲乙・白揚羽は同時にライフルを放つが、互いに回避して間合いをとる。

二機が互角の戦いをしている最中…

-ビビッ-
-カチカチ-

「空中にアンノウン!?」

-ビシュゥン-
-ビシュゥン-

「「「!?」」」

縁の言の直後に空中からレーザーが降り注ぎ、縁のクラネオンVと親鸞のハウンド、揚羽の甲乙・白揚羽は直ちに回避行動をとってレーザーを回避する。

-シュゥゥン-

「「!?」」

「なっ!?」

またもやクラネオンVのSDS粒子の影響を受けたのか、縁達の前に白い人型機動兵器が出現して縁達と白い機体のパイロットも驚く。

-ビシュゥン-
-ビシュゥン-
-ビシュゥン-

直後に白い機体へレーザーが降り注ぐが、白い機体は容易く回避する。

-ヒュゴォォ-

「ち、其処の白い奴!さり気なく俺の機体に傷をつけやがったな!?」

白い機体が回避したレーザーが親鸞のハウンドを掠め、親鸞は白い機体にビームを放つ。

-シュシュン-

「同業者か…!」

白い機体…ガーデンホワイトのパイロットであるヴォイドは少々呆れながら呟く。

「SKも余所者も纏めて追い出してやる!」

-ドドドドドド-

レジスタンスのZWは縁達とSKの両方に攻撃を仕掛け、SKは無差別に攻撃を仕掛ける。

「五つ巴の乱戦なんて冗談じゃ…!」

縁はレジスタンスとSKの攻撃を回避しながら言う。

-ピーン-

「待って、私は貴女と戦うつもりはないわ」

クラネオンVの動きを見て、揚羽は縁のクラネオンVに直接回線を繋ぎ、不戦の旨を伝える。

「え…あ…私もです!」

「ありがとう」

縁は揚羽のコンタクトに戸惑うが、迷わずに不戦に応じる。

-ギショォン-

「貴方はどうする?」

「…此方も其方と戦う意志はない」

「…(…合成音声に音声のみの対応…用心深そうな人だ…)」

揚羽はガーデンホワイトにも直接回線を繋いで問い、縁はモニターに映る「sound-only」の文字と合成音声に顔をしかめる。

「…互いに訳あり同士、ここは相互不干渉の共同作戦といきたいが、どうする?」

ヴォイドは「sound-only」の表示のまま提案する。

「賛成します、此方も敵が減るに越したことはありませんから」

揚羽は言い、甲乙・白揚羽を方向転換させる。

「此方も賛成です」

縁も直感的に何かを感じ取り、クラネオンVを反転させる。

「決まりだ、さっさと片付けて脱出しよう」

-ドドドドドド-

-チュチュチュン-

-ドゴォォォォン-

ヴォイドはそう言うや、アサルト・ライフルをSK・ソルジャーに放って撃墜する。

三機は互いに共闘姿勢を整え、レジスタンスとSKの双方と戦う。


-ギショョォン-

「…落とします」

-ボォォォ-

-ドォォォン-

揚羽は呟き、甲乙・白揚羽は雲切90式ハイブリッド・ライフルを構えて加速する。

甲乙・白揚羽の後に白い粒子が散り、それが微かに舞う蝶の鱗粉を連想させる。

-ゴォォォ-

-ズガァン-
-ズガガァン-

「…終わり」

-ズガァン-

-ゴォォォ-

甲乙・白揚羽は雲切90式ハイブリッド・ライフルを放ちつつ、甲型紅花の近くを通過・旋回して離脱する。

-ズゥン-

「げ…限界!?クソッ!」

-ボォォン-

-ドゴォォォン-

動力部を撃ち抜かれた甲型紅花は脱出ブロックを強制射出した後に爆砕する。

-コォォン-

-ゴォォォ-

「この!」

-バシュゥゥ-

縁のクラネオンVが大型レーザー・ブレードを構えて甲型紅花に肉迫し、甲型紅花のアサルトライフルを両断する。

「この野郎!」

-ギショォン-

甲型紅花を操縦するレジスタンスは、他の武器を取り出すが…

「抵抗するなら容赦しません」

-ズガァン-

-バキィィン-

-ドゴォォォォン-

揚羽はハイブリッド・ライフルを放ち、甲型紅花はリニア弾の直撃を受けて爆砕する。

-ゴォォォ-

-ヴゥゥゥン-

「ち、チョコマカと…!」

親鸞のTA・ハウンドはビーム・ブレイドでガーデンホワイトを切り裂こうとするが、ガーデンホワイトの素早い動きに翻弄され、親鸞は苛立ちを募らせる。

-ズキュゥン-
-ギショォン-

-ボォォォ-

-ドォォォン-

「…悪いが落ちてもらう」

-ドドドドドド-

TA・ハウンドの死角に回り込んでいたガーデンホワイトは、アサルトライフルのカートリッジを換装・装填した後、上方へと舞い、アサルトライフルを撃つ。

-チュチュチュチュチュチュン-

「何ぃ!?」

アサルトライフルの散弾がハウンドに命中し、親鸞は慌てて回避行動を取るが…

「貰った!」

-ゴォォォ-

ヴォイドのガーデンホワイトは、ブレードを展開してハウンドの背中を目掛けて急降下する。

-バシュゥゥ-

-バチュン-

-ヒュゥゥゥン-
-ズゥゥン-

「な!?俺のTAがぁぁ!!!」

-ボォン-

-ヴゥゥゥン-

-ドゴォォォォン-

ブレードで串刺しにされたハウンドは、機能停止して地に伏し、脱出装置を作動させて親鸞を射出した後に爆砕する。

-ズゥン-

「小此木さん、逃げますぜ!」

-ガシッ-

「クソッ!覚えていやがれ!!白いのと黒いの!」

部下のハウンドに回収された親鸞は、ハウンドの背中に駆け上がり、中指を立てて捨て台詞を吐きながら去っていく。

「あ…あんな状態で捨て台詞が言えるなんて…」

縁は捨て台詞を吐く親鸞達を見て半ば感心した様な呆れた様な口調で言う。

「小此木の野郎…しゃあねぇな、ったく…」

良徳は逃げる親鸞達を後目に呟き、三機を見る。

「しかし、あの白い機体のパイロットは強ぇな…、小此木を軽くあしらうたぁ…かなりの腕だ」

良徳は肉眼でしか見えないガーデンホワイトを見て呟く。

「残るはあのZWね…」

-ギショォン-

-ゴォォォ-

揚羽は良徳の甲型菊池を見て言い、甲乙・白揚羽を加速させる。

「やべぇな、コッチとやる気か…!」

-ヒョンヒョン-

-カシッ-

良徳は甲型菊池のコクピットハッチを閉じ、月牙付きプラズマ・ランサーを構えて態勢を整える。

「………」

-ガキィィィィン-
-グググググググ-

「ちっ、パワー負けしてんのか!?」

甲型菊池の月牙付きプラズマ・ランサーと甲乙・白揚羽のトンファー型プラズマ・シュナイダーが激突し、甲乙・白揚羽は甲型菊池を圧迫する。

「おりゃ!」

-バチュン-
-ヴゥゥン-
-ヴゥン-

良徳は勢いを交わす為に甲型菊池の向きを傾かせて甲乙・白揚羽のトンファー型プラズマ・シュナイダーを受け流し、連続でなぎ払うが回避される。

-ヒョヒョン-

-ギショォン-

「確実に落とします」

-ピシュゥゥン-
-ガォォォォン-

揚羽は甲乙・白揚羽のトンファー型プラズマ・シュナイダーのプラズマを展開し、再び甲型菊池に切りかかる。

-バシュゥ-
-ズゥゥン-
-ヴゥゥゥン-

「消えた!?」

甲乙・白揚羽は甲型菊池の月牙付きプラズマ・ランサーを両断した後、素早く甲型菊池の背後に回り込み、良徳は慌てて回避行動に移るが…

-ギュゥゥン-
-ヴゥゥゥン-

「遅いわ」

-ゴォォォ-
-バシュゥゥ-

甲乙・白揚羽は一気に加速し、トンファー型プラズマ・シュナイダーで甲型菊池を上下真っ二つに両断する。

「ち!止めだ止めだ!あばよ!」

-ボォン-

-ヴゥゥゥン-

-ドゴォォォォン-

良徳は捨て台詞を吐きながら甲型菊池の脱出ブロックを作動させ、味方の甲型紅花に回収されて去っていく。

-ビビッ-

「…敵の退却を確認、どうやら片付いたみたいだな、そう言うことで失礼する」

-ゴォォォ-

ヴォイドはそう言うや、さっさと離脱してしまう。

「…機会があれば…また会いましょう」

-ヴゥゥゥン-
-ゴォォォ-

揚羽もそう言い、甲乙・白揚羽のジャミング・フィールドを展開して去る。

-グゥゥゥ-

「…私もさっさと離脱しよう…お腹が減ってちゃ…」

-ウゥゥゥゥゥン-

-ヒュゥゥゥン-

縁は空腹に急かされ、クラネオンVのジャミング・フィールドを展開して去っていく。

______________________

お目汚し失礼。

死線〜もう一つのクラネオンV

超創機大戦記事です。

今回は前回の続きです。

______________________

「へ…へへへ、こりゃあ良いもん見ちまったぜ…」

高倍率双眼鏡を覗き、フォト動画を保存する情報屋が呟く。

「おい、この情報を周辺にばらまいてこい、高い金でな…」

「「へい!」」

情報屋が部下達に言い、自身も二輪車に乗って移動する。


別の場所にて…

-スッ-

「………」

裏愚椎冴の肩部に乗り、特殊ゴーグルを装着した長い紺髪の少女が、クラネオンVと散っていった情報屋達を見る。

「………」

-カン-

-ドサッ-

-ピシュン-

-ガゴォン-

-ヴゥゥン-

紺髪の少女は裏愚椎冴のコクピットに飛び乗り、裏愚椎冴が起動する。

-ズンズンズンズン-

-ゴォォォッ-

裏愚椎冴はダッシュしてジャンプ飛行をしながら移動する。


「…ハア…ハア…くっ…」

クラネオンVのコクピット内で少女は息を整えながらモニターを見る。

「…解除コード…」

-ポッポッポッ-

-ヴゥゥン-

-ピシュン-

-グゥゥン-

少女はVNWSから流れてくる解除コードを読み取り、クラネオンVのパネルディスプレイに解除コードを打ち込み、コクピットブロックを開放する。

-ウィィィィン-

-ストッ-

少女はコクピットブロックに付いているワイヤーユニットに掴まり、ゆっくりと降下していく。

「………」

着地した少女は、振り返り…眼前に聳え立つクラネオンVを見る。

「こんな…こんなものがあるから…、皆が…」

-ダッ-

少女は怒りと悲しみが混じった口調で呟き、走り去っていく。


『クラネオンV、オートに切り替え、フルステルスモードに移行、擬装鏡面を展開します』

-シュゥゥン-

少女が旧政府軍の施設跡から出ていくや、クラネオンVはオートでフルステルスモードに移行し、瞬く間に風景に溶け込んでいく…。

___________________

「旧政府軍の施設跡にお宝が眠ってるだぁ?」

「ああ、ありゃ紛れもないお宝だぜ…、情報が知りたきゃ…へへ」

情報屋は親指と人差し指で輪っかをつくり、仲間達の様子を見ながら微笑む。

「…なるほどな、上手くやりやがって…」

-ピッ-

賊徒はカードチップを情報屋の端末にスライドさせ、資金を振り込む。

「毎度、おっと…一つオマケだ…、パイロットは年頃の可愛い女の子だぜ、すんなり殺っちまうも捕らえて姦っちまうも勝手だ、なんなら回してから捌いたってちょっとした金んなるぜぇ…?へっへ…」

「…ちっ、お前らの商魂の逞しさにはコッチが参らあ」

情報屋は不気味な笑いを浮かべながら言い、賊徒は情報屋の商魂の逞しさにやや呆れ気味に言う。

「詳細は其処に書いてある、それを見て行動してくれよ」

情報屋は足早に去っていく。

「…女か、最近抱いてねえからな…、同業者に初物を奪われちまう前に…お宝と一緒にいただくとするか…」

賊徒は下品な微笑みを浮かべて呟く。

___________________

-ギショォン-

「治安警察だ!この村に住む者はテロリスト容疑で全員逮捕する!刃向かう者は容赦するな!」

「お宝は何処だ!!大人しく出さねえと村焼き払うぞ!」

東海地方…遠江のとある村にて、治安警察と賊徒が同時に襲撃を仕掛ける。

治安警察は追撃していた少女の身元を割り出しての強硬手段に転じ、金を渋って偽情報を掴まされた賊徒達は虱潰しに村を襲撃しにきた訳である…。


「賊め、わざわざ捕まりにきたか!?」

「治安警察がなんじゃコラァ!!」

治安警察と賊徒のZWが激突し、無遠慮に戦闘行為が行われる。

-ドドドドドド-

-ヒュゴォォ-

-チュドォォォン-

-ガラガラガラガラ-

賊徒のZWがマシンガンを放ち、治安警察のZWを撃破するが、治安警察のZWは数で賊徒のZWを蜂の巣にする。

治安警察は賊徒を数で圧倒していくが、次々と湧いて出る賊徒のZWに治安警察も不利になっていく。

村にはリニア弾やミサイル、実体弾の散弾が飛び交い、村の建物は瞬く間に破壊され、荒らされていく…。

村人達は突然の事に逃げ惑い、治安警察に捕まったり、賊徒に殺害されたりと…所々で凄惨な光景が映る…。


「お宝は何処だ!?」

「パーツ寄越せ!」

「ひゃはは!金だ!」

-ドドドドドド-

-チュドォォォン-

-ドゴォォォン-

「…(…あ…あ…、村が…!?)」

少女が村に駆け付けた時は既に遅く、村は焦土と化し、治安警察は撤退…賊徒達は宝探しとパーツ集めに躍起になって同業者同士で争っていた…。

-ウィン-

-ウィィン-

-ヴゥゥン-

賊徒のZWのカメラアイが左右に動き、少女を見つけるや不気味に光る。

「へへ…喰い頃だなぁ、…クヒヒヒ…」

-ジュルル-

賊徒は少女を見て涎を拭いながら言う。

「ひ…!?…逃げないと…」

少女は危険を察知し、来た道を引き返す。

-ギショォン-

「逃がさねえぜぇ…」

-バチィッ-

-ゴォォォ-

賊徒のZWは超電磁蹴加速装置を使用し、少女が逃げる方向に先回りする。

-ズゥン-

「…!!」

「逃がさ…」

-ドゴォォォン-

「ぐおっ!?」

「きゃっ!」

賊徒のZWが少女を掴もうとした瞬間、賊徒のZWの側面に重戦車砲が直撃し、少女は爆風で吹き飛ばされる。

-ギュゥン-

-ズゥン-

「んの野郎…!俺の商売道具に傷つけやがったな!!」

-ギショォン-

-ドドドドドド-

賊徒のZWは態勢を立て直し、側面のZWにマシンガンを放って応戦する。

「…ったぁ…、………」

少女は打ち付けた箇所を押さえながらも痛みを堪え、旧政府軍の施設跡に向かって走り出す。

-キィィン-

-グゥゥン-

少女の走った後、別の賊徒のZWのカメラアイが不気味に光る。

そのZWの近くでは…賊徒三人が何やら騒いでいる…。

「おう、あいつらの使い心地は悪くないぜ、お前もスッキリしとけよ」

「おし、溜まってたら仕事になんねえからな…、俺もスッキリしてから御仕事すっか」

賊徒は交代して見張り、獲物が来るまでじっとしている。


-コッ-

「…ハア…ハア…」

賊徒同士の抗争の隙をついて旧政府軍の施設跡に到着した少女は、導かれる様にしてクラネオンVが鎮座している場所へと向かう。

『パイロットを確認、コクピットに誘導後、擬装鏡面を解除します』

-グゥゥン-

「…!?」

-チュンチュン-

賊徒の存在を感知したVNWSがパイロットの保護を優先し、少女をコクピットへと導く。

-ピシュン-

-ウゥゥゥン-

「………」

-ドサッ-

-ピシュン-

-ガゴォン-

『パイロットの搭乗を確認、脊椎シート、VNFS接続、ZEAX-14・クラネオンV…戦闘モードに移行します』

VNWSが少女の搭乗を確認し、クラネオンVを再び戦闘モードに移行させる。

「くそっ!お宝を逃しちまったぜ!」

「こうなったら破片の一つでも!」

-シャァン-

-ガォォォォン-

賊徒のZWは日本刀型プラズマ・シュナイダーを抜刀し、クラネオンVに突っ込む。

「先ずは腕一本!」

「俺は武器だぁ!」

「コッチはパーツだ!」

一機が突っ込むや、他の賊徒達もクラネオンVに攻勢をかける。

「うあああああ!!!」

-シャン-
-シャン-

-バシュゥ-
-ズバァァン-

「うおお!?」

少女は怒りと共にクラネオンV操縦し、両刃型プラズマ・シュナイダーの二刀流で賊徒のZWを切り裂く。

-ズシィィン-

「くそったれが!くっ…!?」

-ギショォン-

「へっへ…悪く思うなよ!」

「く…!!」

-ガッキョォォン-

両腕部を失い、倒れたZWのコクピット部分に日本刀型プラズマ・シュナイダーの鞘を突き刺され、賊徒のZWは痙攣を起こした後に機能停止する。

-チュンチュンチュンチュン-

「くそっ!なんて装甲してやがんだ!」

-ピシュン-
-シャン-

「マシンガンは効かねえが、ポン刀は効くだろ!」

「この同時攻撃は交わせまい!」

-ゴォォォ-

賊徒達のZWが三方に展開し、旋回しながら日本刀型プラズマ・シュナイダーを構え、クラネオンVに突進する。

「超電磁蹴加速装置…?上に緊急回避…?」

-ギショォン-
-バチュゥゥン-
-ゴォォォ-

クラネオンVは踵部分にある超電磁蹴加速装置を発動させ、上に緊急回避する。

-ガッショォォン-

「俺を踏み台にしやがった!?」

クラネオンVは賊徒のZWを踏み台にして日本刀型プラズマ・シュナイダーを回避し、ジャンプ飛行する。

直後に…

-バシュゥ-

「「ぷげぁ!?」」

賊徒のZW同士が日本刀型プラズマ・シュナイダーを突き刺しあい、二機が沈黙する。

-ズゥン-

-ドドドドドド-

「ヒャッハァ!金だ金だ!」

「新手…!?」

新手の賊徒が現れ、着地したクラネオンVにマシンガンを放つ。

更に…

-ピピピピピピ-

クラネオンVの広域索敵が数多のZW反応を捉える。

「こ…こんなに居るの…?」

少女はあまりにも多い反応に驚く。

-ズゥン-

-ズゥン-

旧政府軍の施設跡を二重にも三重にも包囲した賊徒達のZWが徐々に包囲網を狭めていく。

-ヴゥゥン-

「え…?この地点を強行突破…?」

少女はVNWSのプランを見て呟く。

-ドドドドドド-

-ドゴォォォン-

「……!!」

賊徒達のZWが放つマシンガンがクラネオンVの装甲を掠め、施設が吹き飛ぶ…。

-チュンチュン-

-ドゴォォォン-

「うぅ!」

-チュドォォォン-

「あぐぅ…!」

マシンガンの回避に気を取られている内に後方から、そして側面からもバズーカの直撃を受け、少女は震動に翻弄される。

-ズゥン-

-コォォン-

-バシュゥ-

態勢を整えるや、背部の大型レーザー・ブレードで賊徒のZWを両断し、周囲にいた賊徒のZWがそれにトドメを差し、ZWを寸断してでもパーツを奪い合う。

賊徒達のZWが一度クラネオンVと交戦し、損傷しようものなら瞬く間に同業者やZW狩り達の餌食になり、それでまた損傷しようものなら別の同業者やZW狩り達の餌食になる…。

「………っ」

奪い合い、殺し合い、男性の搭乗者は容赦なく殺され、女性の搭乗者は散々犯された挙げ句に殺されていくのが少女の目に映る…。

「…ひ…逃げないと…殺される…」

少女は震えながら呟き、VNWSのプランに従う決意を固める…。

-バシュゥ-

-バチュゥゥン-

-ゴォォォ-

クラネオンVは超電磁蹴加速装置を使い、賊徒達の弾幕を櫂い潜って両断しつつ、目標地点に向かう。

倒したZWには賊徒達がハイエナの如く群がる為、それが少女にとっては幸いしたのかもしれない。

殆ど追撃を受ける事なく突破に成功し、少女とクラネオンVは夜の大地へと消えていったという…。

___________________

お目汚し失礼。

起動〜もう一つのクラネオンV


またもや途中からのを垂れ流します。

今回は裏日本編。

興味があればどうぞ。

____________________

-ドドドドドド-

-ドォォン-

「ひっ!?…冗談じゃ…!」

-ヴゥゥン-

-キィィッ-

少女はバイクを器用に動かし、施設跡の入り口に飛び入る。

-ギショォォン-

「ち、旧政府軍の施設跡に逃げ込んだか…!」

治安警察の隊長は舌打ちしつつ言う。

「隊長、この辺は賊も近寄らない危険域です、これ以上の深入りは…」

部下はZWアスラのモニターに映る「working」の文字を見て隊長に言う…。

「治安警察が此処までコケにされて黙っていられるか!突入するぞ!」

「…り…了解」

-ガシュゥン-

-ズガァン-

-ドゴォォン-

隊長は一喝し、アスラ編隊は旧政府軍の施設跡にリニアライフルを撃ち込み、施設跡の塀や壁を破壊して強引に突入する。

-ドゴォォォォン-

「きゃっ!?」

少女が走行した後方で施設の外壁が吹き飛び、鉄骨を失った建物は傾き、折れて崩れ出す。

-ゴゴゴゴゴゴ-

「崩れる…!?」

建物が崩れ落ちていく中、少女が一瞬だけ気を逸らした刹那…

-ガラガラガラガラ-

-ヴゥゥン-

「…!!」

衝撃で地盤沈下が発生し、宙に浮いたバイクは地下へと落下を始める。

-キィィッ-

-ガッシャァァァン-

地下に落下したバイクは、落下の衝撃で損壊し、少女を振り払って瓦礫に激突・炎上する。

「…っ、此処は…?」

受け身を取り、奇跡的に無傷だった少女は、ふらつく身体を壁で支えて言う。

-ピッ-

-グゥゥゥン-

「!?」

壁から階段が現れ、少女は驚く。

…少女が触れた壁にスイッチパネルがあり、偶然にもそれに触れてしまった訳である…。

「…早く…逃げなきゃ…」

-カンカン-

少女は近くなる衝撃から逃れる様にして階段を上る。

-カン-

「…!?」

その階段の上には…


「これって…、旧政府軍の…ZW…?」

保管されてあるZWを見て、少女は驚きつつ呟く。

直後に…

-ドゴォォン-

「きゃっ!?」

-ドサァッ-

爆風に煽られ、少女はZWのコクピットブロックに吹き飛ばされてしまう。

「隊長、レジスタンスを発見しました」

「よし、…ん?」

治安警察の部下が報告し、隊長は少女とZWを見て少し立ち止まる。

「…これは…、旧政府軍のN・E・O・N適合者対応機か…!」

「N・E・O・N適合者対応機…?」

隊長は顔をしかめさせて言い、部下は聞き慣れぬ言葉に疑問を浮かべる。

「特殊なセンスを持った者に対応した機体の事らしい、兎に角…乗り込まれたら厄介だ、破壊するぞ」

「了解」

-ギショォォン-

治安警察のアスラがリニアライフルを構える。

「…!?」

-ガクン-

-ピシュン-

少女は慌てて起き上がろうとしてZWのレバーを捻り、ZWのコクピットが開く。

「っ…!」

-ズルッ-

「うわ!?」

-ドサァッ-

-ガゴン-

少女はバランスを崩してZWのコクピット内に滑り落ち、コクピットが閉じる。

-ズガァン-
-ズガァン-

-バキィン-
-ドゴォォン-

「な…何ぃ…!」

「な…なんて装甲だ…!リニアライフルが効かないなんて…」

治安警察のアスラはリニアライフルを放つが、そのZWには傷一つつけられず、隊長と部下は驚く。

「ったぁ…、何がどうなってんのよ…?」

少女は衝撃を受け、ZWの脊椎シートに触れる。

-ヴゥン-

『パイロット搭乗確認、脳波、心拍数、呼吸、体温、代謝機能、N・E・O・N適性問題なし…N・E・O・N適性Lv2を確認、VNWS起動、VNFS起動、SDSMk-Y起動、ZEAX-14・クラネオンV起動します』

-ウゥゥゥゥゥゥン-

-ゴゴゴゴゴゴ-

旧政府軍の施設跡にて…、政府機構fleeceのクラネオンVとは別に開発されていたもう一つのクラネオンVが大地に立つ…。

-バキィン-
-バキィン-

「ひっ…、このままだと…どうする…?…どうすれば…」

少女はコクピットブロックの中で呟く。

「兎に角動かないと!」

-ガシッ-
-ググッ-

-ズゥゥン-

「…え…、このZWの…操縦方法が…分かる…?」

少女は無意識にクラネオンVを動かしている自分に驚く。

「た…隊長、ZWが動き出しました!?」

「落ち着け!所詮は素人だ!圧倒するぞ!」

「了解!」

治安警察の隊長は、狼狽える部下を一喝し、落ち着かせる。

-ガシュゥン-

「く…来る…!?」

「装甲は良くてもな!」

-ズガァン-
-ズガァン-

治安警察の隊長はアスラのリニアライフルを放つ。

-シュン-
-シュン-

-ドゴォォン-

「何ぃ!?」

クラネオンVは回避運動を取り、リニア弾が外れる。


「ぶ…武器は…、耳辺りにレーザー砲…?腰に両刃型プラズマ・シュナイダー…?背中にレーザー・ブレード…?」

モニターに映されたマニュアルに機体全体図と武器名称が表示され、N・E・O・N脊椎シートを通じて少女の身体の各所に武器の位置を伝達する。

そしてVNWSが戦況を説明し、戦い方を少女に教えていく。

「リニアライフルが駄目なら!ビアンキで直接!」

-シャン-

アスラの腰部からプラズマ・ビアンキが突き出し、アスラはそれを構えて接近する。

「接近戦…、レーザー・ブレードで!」

-コォォン-

-ヴゥゥン-

-バシュゥゥ-

「何ぃ!?」

クラネオンVの背部からレーザー・ブレードが突き出し、クラネオンVはそれを迅速に抜刀し、そのままアスラを叩き斬る。

クラネオンVの大出力レーザー・ブレードはアスラの装甲をまるで溶けたバターの様に切り裂き、瞬く間に一刀両断される。

-ズゥゥン-

「わ、わあぁぁ!?」

-ドドドドドド-

隊長がやられて動揺した部下は、アスラのリニアライフルを乱射する。

「刺突が効果的…?なら…」

-ギュゥゥゥン-

-ヴゥゥン-

-ゴォォォ-

-バシュゥゥ-

「う…うわあああ!!」

クラネオンVは地面を蹴り、一気に間合いを詰めてレーザーブレードをアスラの胴体に突き刺す。

-ボォン-

-ググググググ-

-バシュゥゥ-

-ズゥゥン-

レーザーブレードで貫かれたアスラは、圧倒的なパワーで胴体部分を引き裂かれ、地面に崩れ落ちる。

-キィィン-

-シュゥン-

「はあ…はあ…、やったの…?」

少女は地面に転がっているアスラの残骸を見て言う。

『撃破確認、索敵範囲内に敵影無し』

「う…」

少女は急に吐き気に襲われ、口元を押さえる。

-カサッ-

脊椎シートシステムがパイロットの状態を読み取ったのか、紙の様な袋が少女の口元に添えられる。

鉄拳制裁!バックルフィスト!

先ずは超創機大戦の一部分を投下します。

途中からですが、興味があればどうぞ。

___________________

「これ以上、街をやらせてたまるか!」

辛うじて残っていたZW部隊が出撃する。

-ズガァン-

-バキィィン-


「ぐ…なんて装甲だ!リニアライフルが効かないとは!」

-ギショォォン-

-ブゥゥン-

「ブッコワス!」

グラザーを駆る下級巨人兵は、迎撃に出てきたZW部隊に言う。

-チュドォォォォン-

「ぐわぁぁぁ!!」

-ドドドドドゴォォォン-

グラザーの巨大なハンマーが振り回され、ZW部隊は一撃で撃破されてしまう。


「表日本に到着、迎撃に出たZW部隊は全滅したわ…」

「…遅かったか、やむを得ん」

-ビビッ-

-カチカチ-

「新手もブッコワス!」

-ゴォォォ-

グラザーの正面に銀の巨大ロボットが現れ、下級巨人兵はグラザーを操縦して突撃する。

「クダケチレ!」

-ヒュゴォォッ-

グラザーはハンマーを振り回すが…

「………」

-ガシッ-

-ブゥゥン-

-ズゴォォォォン-

次の瞬間にはグラザーの上半身は消し飛んでいた。

銀の巨大ロボットの正拳突きがグラザーの上半身を貫き飛ばしたのである。

-ズゥゥン-

「…豪天雷巌、ディスクェスツーと共に推参せり…!」

巌は巨人達を睨みながら言う。

「ひゃははは!馬鹿め、小人如きが作った兵器がサイクロプスに勝てる訳が無かろう」

サイクロプスを駆る巨人がディスクェスツーを見て言う。

「止められるものなら止めてみろ!」

-ズガァァァァン-

-ドゴォォォォォン-

サイクロプスを駆る巨人は挑発的に言い、建物を吹き飛ばす。

「…巨人どもの狼藉、これ以上は許すまじ…!」

-ギショォォン-

-ズゥン-

ディスクェスツーが右腕を突き出し、固定の為に脚部バンカーが展開して地面に突き刺さる。

「天が采配に代わり、我が貴様に鉄拳制裁を加える!」

-ギショォォン-
-ガシュゥン-
-ウゥゥゥゥゥン-
-ゴゴゴゴゴォォ-

右拳にバックル(※此処ではメリケンサック型特殊ナックルガード)が展開し、右腕の推進装置がフル稼働する。

「鉄拳制裁!バックル・フィストォォォ!!!!!!」

-ズドゴォォォォォン-

巌の熱すぎる気声と共にバックルを握ったディスクェスツーの右腕が轟音と共に射出される。

「そんなもの、弾き返してやる!」

-ズゥゥゥン-

巨人は堅牢な装甲を展開し、ディスクェスツーの攻撃に備える。

-キィィィィィン-

-ズドォォォォォン-

-ビシッ-

「!!」

ディスクェスツーのバックルフィストがサイクロプスの胴体にめり込み、巨人は思わぬ衝撃を受けて驚く。

-ズガァァァァン-
-ビシシッ-

「うお!?」

バックルフィストの第二推進装置が点火し、サイクロプスの胴体にバックルフィストが更にめり込む。

「ヌオオオオオオォォォ!!!!!!!」

-ズドガァァァァァァン-


巌の気迫とともにバックルフィストの第三推進装置が点火し、バックルフィストがサイクロプスの胴体をぶち抜く。

「ば…莫迦な…!」

「グオオォ…!」

-ヴゥゥン-
-ドドドォォン-
-ボゴォォン-
-ボボボボボボォォン-
-チュドォォォォォォォン-

ディスクェスツーのバックルフィストで胴体に拳型の巨大な風穴を空けられたサイクロプスは、衝撃に耐えきれず爆砕する。

-ヒュンヒュンヒュンヒュン-

-ギシュゥゥン-

「我が拳に、貫けぬ物など存在せん!」

何故か蒼天が広がっていくかの様な雰囲気の中、ディスクェスツーの右腕が元の位置に戻り、巌は御約束の決め台詞を言う。

___________________

お目汚し失礼しました。

朧月夜の戦い〜日常へ


『グオォォォ!』

-ブン-
-ドォォォン-

熊芒霊を倒した直後…近くの鯉芒霊が尾鰭をビルに叩き付け、ユウ・ユミル目掛けて突撃する。

-ゴォォォ-
-ズゥゥン-

「うわぁ!?」
「勇!」

-ドゴォォォォン-

ユウ・ユミルは鯉芒霊の突撃を受けてビルに激突する。

「く…このぉぉ!」
「勇に触れるな!」

-バシシュゥ-
-ガァン-

勇は右手に意識を集中させ、ユウ・ユミルがバリアブル・セイバーを展開して鯉芒霊を斬りつけ、駆けつけたトモ・ユミルも鯉芒霊を斬りつけてユウ・ユミルから鯉芒霊を引き離す。

『オォォォォォン』

-ゴボゴボ-

-ビシュゥゥン-

鯉芒霊が離れた直後に鮭芒霊がユウ・ユミルに向けて魔導弾を放つ。

「ハッ!?」

勇が気付いた時には既に魔導弾が近くに迫っていた…。


しかし、次の瞬間…

-ゴォォォォ-

-ヴゥゥン-

「ドォォォッセェェェェ!!!!!」

-カッキィィィィィン-

勢気の陽炎零式がユウ・ユミルの前に現れ、特殊バッドで鮭芒霊の放った魔導弾を打ち返す。

-バキィィィィィン-

-ズゴォォォォォォォン-

『ギャァァァァァァ!!!!』

-ビシビシビシシシッ-

-ボォォォン-
-ブシャァァァ-

打ち返された魔導弾は鮭芒霊を面影ごとぶち抜き、鮭芒霊は崩壊して泥水になっていく。

-ズゥン-

「勢いと気合いの大馬鹿野郎!!栗坂勢気ぃ!!!此処に見参!!!!!!」

-キラァァァン-

勢気は歯を光らせ、拳を突き出しながら叫ぶ。

「………」

「…えと、ありがとう御座います」

智は勢気を無視してユウ・ユミルを援護し、勇は勢気の暑苦しさと彼の鼻に詰め込まれているティッシュに戸惑いながら言う。

「おう!!ダチの為なら…」

「邪魔だ!」

-ガシッ-
-ブゥゥン-

「うおぁ!?」

勢気は暑苦しいスマイルを贈るが、嫌気が差した智のユミルに投げ飛ばされてしまう。

トモ・ユミルが勢気を投げた方角には熊芒霊が居り…。

-グゥゥゥン-

『グオォォォォォォン!!』

-ゴォォォ-
-ガッキョォォォン-

「痛ぇ!?」

-ドゴォォォォン-

「グホォァ!!?」

熊芒霊に叩かれた勢気と陽炎零式はビルに激突する。

「あ…ま…まともに喰らっちゃったけど、大丈夫かな…兄さん…?」

勢気と陽炎零式がビルに激突していく様を見ていた勇は、どこか他人事の様に言う。

「あれは気にするな、…それよりも戦闘に集中しろ!次が来るぞ!」

「う…うん!」

智の一喝を受けた勇は、迷いを振り払って戦闘に集中する。

『グオォォォォォォン』

-ズゥン-


-ガシィッ-

熊芒霊は鮭芒霊の尾鰭を鷲掴みにする。

-ピシュゥゥン-

『オォォォン』

-バキバキバキィッ-

-ギショォォォォン-

鮭芒霊の目が光り、鮭芒霊は巨大な魔導槍とシールドに変化する。

「ぶ…武器に変化した…?」

鮭芒霊の変異に勇は驚く。

『『オォォォォォォン』』

-ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン-

熊芒霊はシールドに魔力を集中させていき、シールドが眩く光る。

『『グオォォォォォォン!!』』

-ズドォォォォォォォォォォン-

シールドから大出力魔導砲が放たれる。

-ゴゴゴゴゴゴゴゴォォ-

-ガシィッ-

「飛ぶぞ!勇!」

「あ…うん!」

-ゴォォォ-

智は勇に言い、トモ・ユミルとユウ・ユミルは天高く飛翔する。

「雫、魅鳥、光が来る!」

「了解」

「緊急回避!」

-ドォォォォォォォン-

『ギャァァァァァァ!!!!』

-ブシャァァァ-

光の軌道上で戦っていた暦達は、隼芒霊達を誘い込んだ上で散開して回避し、光に呑み込まれた隼芒霊は断末魔をあげて消滅する…。

『『グオォォォォォォン!!』』

-ヒュンヒュンヒュン-

熊芒霊は魔導槍を振るいながら突撃を開始する。

『『グオォォォォォォン!!』』

-ヴゥォォォォォン-

-ギィィン-
-ガラガラガラガラ-

熊芒霊は魔導槍で豪快になぎ払い、真っ二つになった建造物が次々と崩壊していく。

-ドドドドドドドゴォォン-

更に魔導槍から舞った粒子が爆発し、それが連鎖して爆発が広がっていく。

「ぐぅ!!」

「くっ…!」

暦は魅鳥と雫を庇い、智は勇を庇ってダメージを受ける。

「く…舐めるな!」

-カチリ-
-ズドドドドドォォン-

ダメージを受けて闘争心に火がついた暦は、コヨミ・ユミルのコンデム・リヴォルヴァーを連射するが…。

『『グオォォォォォォン』』

-チュチュチュチュチュン-

-ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥン-

熊芒霊はシールドでコンデム・リヴォルヴァーを防ぎ、再びシールドに魔力を集中させる。


-ボコォ-
-ドゴォォォォン-

「漢の気合完全暴走ぉぉぉ!!!」

-キラァァァン-

突然、瓦礫の中から勢気が現れ、熊芒霊に向かってまっしぐらに突っ込んでいく。

「さっきはよくもやりやがったなキィィック!!!!」

-ドゴォォォォォン-

-ヒュゥゥゥン-
-ズドォォォォォォォン-

勢気の陽炎零式のキックが熊芒霊に炸裂し、熊芒霊はバランスを崩してシールドの大出力魔導砲を天に向けて放つ。

「行け!スワロウ!」

-シュシュン-

トモ・ユミルが六つのソードスワロウを放ち、熊芒霊に向かう。

-シュシュン-
-ドドドドドドドゴォォン-

-シュシュン-
-ドドドドドドドゴォォン-

-シュン-
-ビシュゥゥン-

『『グオォォォォォォン!!』』

自在に動き回って攻撃してくるソードスワロウに対し、熊芒霊は瞬く間にボロボロにされていく。

其処へ…

「ホークカリバー!行けぇぇ!」

-バサバサァ-

-ゴォォォ-

ユウ・ユミルの左肩から放たれたホークカリバーが熊芒霊目掛けて突撃する。

-ドシュゥゥゥゥゥッ-

『ギャァァァァァァ!!!!』

-ブシャァァァ-

-バシュゥゥゥ-

『グオォォォォォォン』

-ズゥゥン-

ホークカリバーがボロボロになった魔導槍を焼き貫き、面影を砕かれた鮭芒霊は形態を維持出来ずに崩壊。

更にホークカリバーは熊芒霊の胴体を焼き斬っていく。

「俺様がぶち抜く!!」

-ギショォォォォン-

勢気は熊芒霊の面影に向かって突撃を仕掛けようとするが…

-ズドォォン-
-ビシュゥゥン-

『ギャァァァァァァ!!!!』

-ビシビシビシシシッ-

-ボォォォン-

-ブシャァァァ-

コヨミ・ユミルのコンデム・リヴォルヴァーとトモ・ユミルのソードスワロウが熊芒霊の面影を同時に貫き、熊芒霊は崩壊する。

「うおぉ!?先に取られちまった!?…なら向こうの奴を潰ぅぅぅす!!」

-ゴォォォ-

目の前で熊芒霊を仕留められ、勢気は近くに迫っていた鯉芒霊に向かって突撃する。

『オォォォォォン!』

-ブシャァァァ-

「このまま突っ込ぉぉむ!!」

鯉芒霊は勢気の陽炎零式に炸爆泥を吐くが、勢気は構わずに突っ込んでいく。

-ビシャシャッ-

-ドドドドドドドゴォォン-

「漢の情熱完全燃焼ぉぉぉ!!!」

炸爆泥を浴びて爆発の渦に巻き込まれるが、陽炎零式は爆発のエネルギーを自らのエネルギーに変換し、パワーアップして鯉芒霊に突撃する。

「バァァァニングブレイカァァァ!!!!!」

-ズゴォォォォォォン-

『!?!?!?!?』

-ゴォォォ-

火の鳥と化した陽炎零式が鯉芒霊を貫き、鯉芒霊は空中で猛炎に焼かれていく。

『ギャァァァァァァ!!!!』

-ボコボコボコボコォォォ-

-チュドォォォォォン-

面影を焼き尽くされた鯉芒霊は、身体中を沸騰させながら崩壊し、爆発する。

-ズゥゥン-

「決まったぜぇぇ!!!!」

-キラァァァン-

地面に着地した勢気は、爆発を背に暑苦しいスマイルと共に歯を光らせて決めポーズをとる。

___________________

-ヴゥゥゥゥゥン-

-ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴォォ-

-シュゥゥゥゥゥゥン-

-ヴゥゥゥゥゥン-

芒霊達が全滅し、因果の黄昏が消滅して通常空間に戻っていく。

戦闘で破壊された筈の建造物は全て元通りになっており、それぞれが元居た場所に戻っていく。

「お嬢の誕生日を祝って、乾杯!」

「「「乾杯!」」」

-カァン-

天郷家ではビールジョッキで乾杯する音と豪快な笑い声が聞こえる…。

____________________

その近所にある栗坂家では…

-バァン-

「母ちゃんたでえまぁぁ!!」

勢気は玄関ドアを開けて叫ぶ。

「くおらぁぁぁ!!!!こんな時間までどこで馬鹿やってたんだい勢…ぎ………」

勢気の母は勢い良く駆けつけて叫ぶが、勢気の後ろにいた芙蓉と目が合い、言葉を失う。

「は…は…初めまして、勢気君のクラスメートの敷島芙蓉です」

芙蓉は勢気の母に圧倒されつつも挨拶する。

-ドタドタドタドタ-

「ハゲ亭主!馬鹿息子!勢気が!勢気が女の子を連れて来たのよぉ!!これは何の前触れかしらぁ!!」

「お…落ち着け!母ちゃん!」

突然の事に勢気の母は激しく動揺し、旦那に宥められる。

…勢気の母が落ち着きを取り戻し、ヨウを家に招き入れるのは少し後の事である。

___________________

お目汚し失礼

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