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ここ暫く…

夜勤が続いていたので留守にしておりました。

…三徹半休二徹半休一徹は流石に堪えましたね…。

勢気編入

超創機大戦記事ですね。

今回は短編です。

興味があればどうぞ。

______________________

陰日本創世連合新潟支部のある学園…

朝の教室にて…


「…と言うわけで、転入生を紹介する、入って来い」

「おいおい、この時期に転入生かよ」

「何、このフラグ…」

-バンッ-

「いやあ参ったぜ!!間違えて中等部に行っちまってよぉ!!さっきまで教頭先生に絞られちまってたんだ!」

-ザワザワ-

「ま…間違えたって…」

「い…今時そんな奴居るの?」

教室の扉を勢いよく開け、やけに熱い口調の生徒が言うや、教室内はざわめく。

「静かに。…栗坂、自己紹介をしろ」

「俺か?俺は勢いと気合の大馬鹿野郎!!!栗・坂・勢・気だぁぁ!!四露死苦ぅぅ!!!」

-ババァァァン-

勢気はホワイトボードに無駄に気合いの入った漢字で名前を書くが…

「栗坂、それは粟だ、それに力が抜けている、それでは執になるぞ」

-カッカッ-

斑鳩先生は「粟坂執気」と書かれたボードを見て言い、丁寧に採点しながら赤線で修正する。

「…50点だ、自分の名前くらい書けるようになっておけ」

「細かい事は気にしない!!それが俺様!栗坂勢気だぁ!!」

-スパァン-

「痛゛っ!?」

「そこまでだ、栗坂の席は正面の一番前にする」

斑鳩先生はスリッパで勢気を叩き、勢気はよろめく。

「おいおい、大丈夫かあれ…」

「…わ…わからない…」

「そこぉ!俺様は正真正銘の馬鹿だ!!何たって全力投球で入試総合点が80点しか無かったんだからなぁ!!」

-スパァン-

「ぐあっ!?」

「喧しい」

勢気は再びスリッパで叩かれ、机に突っ伏す。

「先生ぇ!!叩き過ぎだと思いまっす!」

「その辺は栗坂の母君から許可を頂いている、わかったらさっさと席につけ」

「畜生…母ちゃんの御墨付きかよ」

斑鳩先生は拳固を見せながら言い、勢気を大人しくさせる。

-ゴォォン-

「よし、ホームルームを終了する、午前の学業に励め」

-ガラッ-

鐘がなるや、先生は速やかに教室を出て行く。


少しして…

-ガサッ-

「ここだね、今日こそ僕と契約してもらうよ、栗坂勢気」

草むらからミュンリが現れ、彼女は校舎に向かおうとする…。

-ガシッ-

「ヒャ!?」

「ハア、ハア」

ミュンリは背後から抱き付かれる。


「ハアハア…ヤらせろ…!」

「へ?」

男はミュンリをガッチリ抱き締めたまま、荒い息を吐きながら言い、ミュンリは漸く危機感を持ち出す。

「美脚、ニーソ、ミニスカ、絶対領域、並乳、ポニテ、緑髪、美声、オマケにプリップリッの美尻に縞パンまで見せ付けられて我慢できるか…!」

「…ひ…!」

男はミュンリを抱き締めたまま言い、ミュンリに悪寒が走る。

「お前を※※して※※して俺好みの※※※※※※にしてやるう!!」

「い…嫌だぁぁぁ!!!」

男はミュンリをお持ち帰りし、ミュンリは絶叫する。

___________________

数時間後…

「ふう…危なかった…」

元の姿に戻ったミュンリは、疲れた様子で呟く。

「まさか、僕を無理矢理犯そうとするとはね…、全く以て♂は穢らわしいよ…」

ミュンリは毛繕いをしながら言い、先程の校舎へと入っていく。

-ススッ-

「18…ここだね、んしょ」

ミュンリは教室の中心にある空席に移動し、テレパスの準備に移る。

-キィィィン-

『あ〜、あ〜、只今テレパスのテスト中』

『うあ!?なんか頭に響く!!』

席で眠っていた勢気の脳内に声が響き渡り、勢気は頭を抱える。

『えと…音量は並にしてと…、栗坂勢気、君は力が欲しくは無いかい?』

『………』

『欲しいなら君の素質に相応しい力を授けよう』

『…………』

『だから僕と契約し…』

「皆注目!この教室の何処かに緑色のQBもどきが居るぞぉぉ!!」

勢気はいきなり叫び声をあげる。

「「何ぃ!?」」

「「えええ!?」」

-ガタガタガタガタ-

『あ』

皆は一斉に席を立って移動するや、教室の中心にはミュンリだけが取り残される。

「排除開始」

「「おおぉ!!」」

-ドカバキボコ-

「痛たたたた!」

委員長の指揮で皆が一斉に仕掛け、ミュンリはボコボコにされる。

「栗坂!いくぞ!」

「ピッチャァァ小林!振りかぶって投げました!」

「今度は宇宙船に直撃コース!バッタァァァ栗坂!!!」

-カッキィィィィィィィン-

「グュ!?」

「打ったぁぁぁ!!!!!大きい大きい!ホォォォムラァァン!!!!!」

勢気の渾身のスイングがミュンリにジャストミートし、ミュンリは凄い勢いで彼方へ飛んでいく。

「ッシャアアア!!!今日も俺様絶好調ぉぉ!!!!」

勢気はミュンリを星に変えた事で雄叫びをあげる。

しかし…次の瞬間…

-スパァン-

「ほぉぁ!?」

「お仕置きですわ」と書かれたスリッパが勢気の頭に直撃し、勢気は地面に倒れる。

「授業を始める、皆席につけ」

-ガタガタガタガタ-

先生が言うや、クラスの皆は席につく。

___________________

お目汚し失礼。

月満ちる刻(後半)〜蒼月の揺りかご

超創機大戦記事です。

興味があればどうぞ。

_______________________

『グォォォォォォン!!!』

-ズゥゥゥン-

-ズゥゥゥン-


「…!?まだ居るのか!」

「…あ…ぁ…」

他の芒霊達が現れ、魅鳥は再び恐怖に包まれ、気絶する。

「魅鳥、しっかりしろ!」

「………」

暦は魅鳥に呼び掛けるが、魅鳥は気絶したままで反応しない。

『ウォォォォォン!!!』

-ズゥゥゥン-

「…く、ユミル!魅鳥に魔導フィールドを!」

-シュゥゥン-


「飛ぶぞ、ユミル!」


-ヴゥゥゥン-

-ドォォォォォン-

コヨミ・ユミルは魅鳥を左の掌の上で魔導フィールドをかけて保護し、天高く飛翔する。

-シュゥン-

-ビッ-

気絶している魅鳥を魔導フィールドで包み込み、それを庇うようにして飛翔したコヨミ・ユミルは、魔導レーダーで芒霊の反応を捉える。

「鯉芒霊が二匹、あとは…」


-バサバサァ-

『シギャァァァ!!』

「鳥型の芒霊…!」

-ズドォォン-

-ヒュン-

暦は隼芒霊の突撃を回避し、コンデム・リヴォルヴァーで迎撃するが交わされる。

-ズドォォン-

-シュン-

「…そう簡単にはいかなさそうね」

コンデム・リヴォルヴァーの弾を容易く回避する隼芒霊に、暦は気を引き締めて呟く。


『ウォォォォォン』


鯉芒霊達は他の反応を見つけたらしく、上空のコヨミ・ユミルを無視して川を遡っていく。

-ズドォォン-

-シュン-

『シギャァァァ!!』

-ブシャァァァ-

「……!」

-ヒュゴォォ-

隼芒霊は泥水らしきものを吐き出すと共にコヨミ・ユミルに突撃を仕掛け、とっさに反応した暦は寸前の所で回避する。

-ビシャシャァ-

コヨミ・ユミルの装甲に隼芒霊が吐き出した泥水らしきものが降りかかる。

-ジュゥゥゥ-

-チュドォォォォン-

-ドゴォォォン-

「ぐっ!!あぁぁ…!!」

コヨミ・ユミルの装甲に付着した泥は瞬時にして固まり、瞬く間に反応を起こして爆発する。

爆発でコヨミ・ユミルの右肩部分とウィングが破損し、暦の右肩と背中にも激痛が走るが、左手に保護している魅鳥を無意識の内に爆発の影になるように庇っている。

『シギャァァァ!!』

-ゴォォォォ-

ダメージを受けて墜落するコヨミ・ユミルに隼芒霊が迫る。


「…舐めるなぁ!」

-ズドォォン-
-ズドォォン-
-ズドォォン-

-シュン-
-バキィィン-
-ズゴォォン-

「クェェェェ!!!」

先程の痛みで闘争心に火が付いた暦は、迫ってきた隼芒霊にコンデム・リヴォルヴァーを放ち、翼と嘴を打ち砕く。

-ヒュゴォォ-

翼にダメージを受けた隼芒霊は、軌道をずらされ、コヨミ・ユミルから離れる。

-ビシッ-

「く…!…右腕が…痺れる…!」

しかし、多重爆発を受けた右肩部分のダメージが大きいのか、コヨミ・ユミルの右腕部分の動きが鈍くなる。


『…暦、満月の光をユミルに…』

「…!?…姉上…」

暦の御守りから鵺の声が響き、暦は周囲を見回すが…。


「………」


鵺の姿は無く、代わりに暦の御守りが薄く光っており、暦は御守りから鵺の声を感じ取る。


-ヒュヒュン-

-チャク-

-ギショォン-

-ドォォォン-

コヨミ・ユミルはコンデム・リヴォルヴァーを太腿部分に戻し、メインウィングの代わりにサブウィングを展開して再び飛翔する。


『…月の光はユミルの活力の一つ、月光を浴び…回復に集中すれば、治癒力が高まり…傷も癒される…』

「…姉上…」

鵺は暦に言い、暦は鵺の言に従って回復に集中する。

-ウゥゥゥゥン-

コヨミ・ユミルは満月の光を浴び、ユミルが活性化していく…。

月の光を浴びれば浴びる程、暦とコヨミ・ユミルの全身から力が漲ってくる。

-シュゥゥゥン-

ユミルが活性化し、暦が回復に集中した事でコヨミ・ユミルの翼と右肩部分が徐々に修復されていく。

-キュゥゥゥゥン-

「………」


月の光を浴びたコヨミ・ユミルの左手の内側に展開している魔導フィールドが次第に強固なものになっていく…。

-シュゥゥゥン-

それはやがて強力な聖域と化し、聖域の内側で気絶している魅鳥の表情から恐怖と苦しみが消えていき、代わりに安らぎの表情が表面化し、血色も良くなっていく…。

コヨミ・ユミルの発するガルドル呪歌が芒霊達のセイズ呪歌を打ち消し、セイズ呪歌の影響を受けた魅鳥の精神を徐々に回復させていた…。



-バサバサァ-

『ウォォォォォン!!』

回復モード中のコヨミ・ユミルに、翼をほぼ再生し終えた隼芒霊が迫る。


-ブシャァァァ-

「ユミル!」

-ドォォォォォン-

隼芒霊が泥水らしきものを吐き出した直後、暦の言と共にコヨミ・ユミルが天高く飛翔する。

-シャン-

「……!」

-シュン-

-グシュゥゥ-

『ウォォォォォン!!』

コヨミ・ユミルは、獲物を見失って動きを鈍らせた隼芒霊にミスリル・ブレイドを投げ、ミスリル・ブレイドは隼芒霊の背中部分に突き刺さる。

「ハァァァ!」

-ゴォォォォ-

暦は迷わず隼芒霊に向かって急降下する。

「貫け!!」

-ズゥゥゥゥゥン-

-ドシュゥゥゥ-

「砕け散れ!」

-ドゴォォォン-

-ビキッ-


コヨミ・ユミルは突き刺さったミスリル・ブレイドの尻部分を強く踏み込み、ミスリル・ブレイドの刃は隼芒霊の胸部にある面影を貫き通し、コヨミ・ユミルのヤクザ蹴りの衝撃で面影が砕ける。


『ギャァァァァァァ!!!!』

-ビシビシビシビシシィッ-

-チュドォォォォン-

-ブシャァァァァァ-


隼芒霊は内部から爆発して崩壊し、飛散した泥水が大地に降り注ぐ。

「……」

暦は隼芒霊の泥水に備えて魔導フィールドを展開していたが…。


その泥水は特に爆発などを起こす事なく、大地へと還っていく…。


-ピシィィィィン-


「…目覚めたのね、夢に出てきた白銀の巨人が…」

暦は鯉芒霊達が向かったであろう先から聞こえてくる音に反応し、夢と雫の絵に現れていた場面を思い出しながら呟く。


-バサァッ-

「…あの子を見に行こう、ユミル」

-ドォォォォォン-

暦は決意を新たにしてコヨミ・ユミルに言い、コヨミ・ユミルは声の聞こえる方角を向いて飛翔する。

___________________

一方…

川を遡っていった鯉芒霊達は…


『ウォォォォォン!!』

「このぉぉ!!」

-ドォォォォォォォン-

-ズガァァァァン-

-ズゥゥゥゥゥン-

白銀の騎士の如き鎧を身に纏い、背中部分には灼熱の炎の如く、小さくも細く伸びた翼を持ったユミルが、鯉芒霊を吹き飛ばし、一匹は橋に激突。

もう一匹は川の対岸にある河川敷に激突する。

「………」

「戦うって、どうすれば良いの!?」

「………」

「…大切なもののために…ユミルの手足は…僕の手足であって……あれ…?」

「………」

「跳躍を防ぐって…どうすれば…」

「………」

「ビット兵器…?…分かったよ、兄さん」

勇は兄と話し、右肩に意識を集中させる。

-ギショォン-

-ボオッ-

「…行って!ホークカリバー!奴の…」

-バサバサァ-

ユウ・ユミルの左肩アーマーが少し開き、その中から燃え盛る剣の様な鳥が現れて飛び立つ。

『ウォォォォォン!!』

-ヒュゴォォ-

-バシュゥゥン-
-ズバァァッ-

鯉芒霊の突撃を寸前で交わし、擦れ違い様に左胸鰭をフェザーセイバーで両断し、同時に飛来したホークカリバーが鯉芒霊の右胸鰭を焼き切る。

-ズゥゥゥゥゥン-

『グオォォォォォォン!!!!』

-ドゴォォォォォン-

-ゴォォォォ-

墜落した鯉芒霊は怒り狂った様に叫び、尾鰭を大地に叩きつけ、ユウ・ユミルに向かって跳ね飛ぶ。

「え?…ちょっと待ってよ!?」

勇は咄嗟の事に慌ててフェザーセイバーを鯉芒霊に向ける…。


-バシュゥゥ-

-ビキッ-

『ギャァァァァァァ!!!!!』

-ビシビシビシビシシィッ-

-ブシャァァァァァ-

ユウ・ユミルはフェザーセイバーで鯉芒霊の下顎部分にある面影を打ち砕き、鯉芒霊は崩壊して泥水が飛散する。

-ビシャシャァ-

『グオォォォォォォン!!!』

-バキバキバキィッ-

-ビチィッ-


飛散した泥水はもう一体の鯉芒霊に吸収されていき、もう一体の鯉芒霊は胸鰭が巨大化して翼の様なものになり、控えめだった牙が巨大化して剥き出しになり、背鰭が更に巨大化してパワーアップを果たす。

『ウォォォォォン!!!!』

-ズゥゥゥゥン-

-ズゴォォォォン-

「うぐ!!……ゲホッ!ゲホッ!」

ユウ・ユミルはパワーアップした鯉芒霊の強烈な突撃を受け、後方のビルに激突する。

-グググググググ-

「あが…!…ぃ…!」

鯉芒霊の牙がユウ・ユミルの脇腹に食い込んでいき、勇は脇腹に食い込んでいく牙の感触と内臓を抉られる様な激痛に苦しむ。

「この…!は…離れろぉ…!」

-バシュゥゥン-

-ヒュゴォォ-

-ズゥゥゥゥン-

-ドゴォォォォォン-


ユウ・ユミルに食らいついていた鯉芒霊は、側面から現れた黒いユミルにフェザーセイバーで胴体を切り裂かれ、更にホークカリバーの突撃を受けて風穴を開けられ、ユウ・ユミルに背鰭を両断されて離れる。


『ウォォォォォン!!!』

-ジュク-

-ベキベキベキィッ-

「さ…再生した…!?」

しかし、鯉芒霊は暦によって倒された隼芒霊の遺骸と何者かによって倒された芒霊達の遺骸をも吸収し、瞬く間に傷を治してしまう。

鯉芒霊は更なるパワーアップを果たし、竜の様な形をした「水竜芒霊」に変化する。

『グオォォォォォォン!!』

-ゴォォォォ-

-ズゥゥゥゥゥン-

-ザパァァァァァン-

「うわああああ!!?」

水竜芒霊は泥水の竜巻を巻き起こし、ユウ・ユミルとトモ・ユミルを吹き飛ばす。

『グオォォォォォォン!!!!!』

-ザパァァァァァン-

-ザブゥゥゥゥゥン-

水竜芒霊は泥水の海と化した市街地を自在に泳ぎ回り、ユウ・ユミルとトモ・ユミルの先回りをする。


-ザパァァァァァン-

『グオォォォォォォン!!!!!』

『狼狽えるな!飛べ!』

「…!?」

『…!?』

-ドォォォォォン-

-ザブゥゥゥゥゥン-

一際大きな水柱があがった瞬間、水竜芒霊は天高く跳ね飛んでトドメを差そうとするが、ユウ・ユミルとトモ・ユミルは飛翔して水竜芒霊の攻撃を回避する。


-ヒュゥゥゥン-

-ズドォォン-
-ズドォォン-

同時にコヨミ・ユミルが現れ、水竜芒霊にコンデム・リヴォルヴァーを撃つ。

-ボコォッ-
-ブシャァァァ-

『グオォォォォォォン!!!』

コンデム・リヴォルヴァーの弾が水竜芒霊の装甲を容易く貫通し、貫通した箇所から大量の泥水が流れ出し、水竜芒霊はやせ衰える。

水竜芒霊は瞬く間に傷を再生するが、一回り小さな姿になった上に下顎部分の面影が露出し、市街地を包んでいた泥水の海も消滅してしまう。

『…成る程、そう言うことか』

-バシュゥゥン-

-ドバァァァッ-

『グオォォォォォォン!!!』

智は冷静に言い、衰退した水竜芒霊をフェザーセイバーで切り裂く。

傷口から大量の泥水が流れ落ち、水竜芒霊は更に衰弱して元の鯉芒霊に戻ってしまう。

「兄さん、下顎部分を一気に砕くよ」

-ドォォォォォン-

勇は智に続き、フェザーセイバーを構えて鯉芒霊の下顎部分目掛けて突撃する。

『ウォォォォォン!!』

『避けろ!』

「え!?」

-ブシャァァァ-

-ビシャシャァ-

-チュドォォォォン-

-ドドドドドドォォォン-

鯉芒霊が放った泥水はユウ・ユミルを掠め、地面に降り注いだ泥水は反応を起こして爆発する。


旋回したユウ・ユミルは、鯉芒霊の動きに合わせて近づき…。

「ウォォォォォ!!」

-ゴォォォォ-

-バシュゥゥン-

フェザーセイバーを構えたユウ・ユミルが鯉芒霊の下顎部分目掛けて突撃し、面影を貫く。

-ビキッ-

『ギャァァァァァァ!!!!!』

-ビシビシビシビシシィッ-

-チュドォォォォン-

-ブシャァァァァァ-

面影を砕かれた鯉芒霊は耳障りな断末魔と共に崩壊し、爆発して大量の泥水が飛散する。

月満ちる刻

超創機大戦記事です。

今回は暦編+勢気編+魅鳥編のミックス。

ネタが飛び交ってますが…興味があればどうぞ。

___________________

聖マルグリット学院…

-ヴゥゥゥ-

「…お嬢、此処が限界です、若頭を待たせるとまた病気になるかと」

苅藻は酒本の激しい被害妄想のメールを暦に見せながら言う。

「…重症だな、仕方がない、酒本が暴走する前に帰ろう」

「…賢明な判断です、お嬢」

暦は立ち止まり、来た道を引き返す。


「命、帰ろう」

「「はい」」

追ってきた黒田兄妹に言い、暦はその先に視線を移す。

「……?」

「………」

廊下の陰から様子を見ていた魅鳥と目が合う。

魅鳥は恥ずかしそうな表情で言うか言うまいか迷う。

「…魅鳥、一緒に帰ろうか?」

「あ…はい!」

見かねた暦は魅鳥に言い、魅鳥は嬉しそうに言って追従する。

…暦達が学院から出た時は既に薄暗く、月が昇り始めていた…。

___________________

「つっき〜がぁ〜出た出った〜月がぁ〜出た〜」

昇り始めた月を見て楽しげに歌う少年…。

栗坂勢気は米サイダーを飲みながら家の屋根上でのんびりと月を見ていた。

-キラーン-

「おぉ?何か光ったぞ!?」

月から細かい一点の光が煌めき、勢気は跳ね起きる。

-カシャン-

「んおぉぉ!?んだアレ!?」

勢気は高倍率望遠鏡で月を見ると…

某アニメで出て来るウサギみたいな形の魔法生物が映る…。

ただ違うのは…それが緑色をしていて翼状光を発している事だろうか…。


「オッシャァァ!!9Bキタコレ!!」

-カラン-

勢気は奇声を発して金属バットを構える。


「ピッチャァァ9B!!!振りかぶって飛び込んできました!!!!」

「ミュ!?」

「対するバッタァァ栗坂!!!!」

勢気は一本脚打法の構えを取り、緑色の魔法生物は減速する。

-カッキィィィィィィン-

「ヘブッ!?」

「打ったぁぁぁぁぁぁ!!!!大きい大きいホォォォォムラン!!!!!」


勢気のフルスイングが緑色の魔法生物にジャストミートし、緑色の魔法生物はどこかに飛んでいく。


-ガラガラ-

「アンタ!!ちったぁ近所迷惑も考えな!!」

-ベシッ-

「痛で!?」

「さっさと飯食って風呂入って寝る!!」

-グイッ-

「かか母ちゃん!極まってる!極まってる!」

「つべこべ言ってないで入りな!!」

-ガラガラ-

勢気は母親に引きずられながら家に入る。

___________________


-ヒュゥゥゥン-


-ガン-

-ゴン-

-ドサッ-


緑色の魔法生物が道端に落下する。

「…痛たたた…、いきなり僕をぶっ飛ばすなんて信じられないよ…」

緑色の魔法生物は金属バットで打たれた箇所を毛繕いしながら呟く。

「…誰だよ、馬鹿だから楽に契約出来るなんて言ったの…」

緑色の魔法生物は自己再生して愚痴る。

「うーん、このまま帰ったら部長やキューン先輩やアンゼリカ先輩に怒られちゃうな…、代わりになる素質者を探さないと…」

緑色の魔法生物は呟きながら月を見る。


其処へ…


「魅鳥はこの辺だったな?」

「はい、暦さん、苅藻さん、命さん、ありがとう御座います」

家の付近まで送ってもらった魅鳥は、暦達に礼を言い…別れる。


「またな、魅鳥」

「はい、また明日」

暦はそう言い、魅鳥はそのまま応える。



魅鳥は少し歩くと…


「…?」


道端に居る…見た目可愛らしい緑色の魔法生物が目に映る。


「初めましてだね、僕は銀河警察のミュンリ、君の名は?」

「…ふぇ…?」


緑色の見た目可愛らしい魔法生物…ミュンリは魅鳥に言って近づき、魅鳥は警戒する。


「ねえ、君の名を教えてよ」

ミュンリは無警戒に魅鳥に近付いていく。


其処へ…


-ガシッ-

「ぎゅむ!?」


ゴツい手がミュンリの頭を鷲掴みにし、ミュンリの顔が歪む。

「パパ…」

「…おう、他人の娘に何迫ってんだコラ…!」

「…いえ、その…コレは…」

銀髪のワイルドヘアーに強面の漢がミュンリに凄み、ミュンリは視線を逸らしながら言い訳する。


「…事務所行こか、あんちゃん」

-ギリギリギリ-

「…ひ…!」

ミュンリは魅鳥の父の迫力に青ざめ、そのまま連行されていく。


よくよく考えれば、暦はその筋の家柄の出であり…親交の有った魅鳥もその筋の家柄である事は十分に考えられる事である…。

___________________

翌日…


「兄さん、コレ何かな?」

「…勇、そんな馬鹿げたものに構うな、置いて行くぞ!」

「わわ、待ってよ!」

石動兄弟は磔にされているミュンリから離れていく…。



「うーん…昨夜は酷い目に遭った…」


ミュンリは磔にされている十字架に手足を固定されたまま呟く。


「このままじゃ、うわばみのおやつにされちゃうよ…」

ミュンリは固定具を身体に取り込みながら呟く。


「はあ…今年中にA級と契約しないといけないなんて酷な話だなあ…」


ミュンリは道端に出て歩む。


「まあいいや、目星はつけたし、下手鉄砲も数打ちゃ当たるだろうし…契約しちゃえばコッチのもんさ」


ミュンリは極めて前向きに物事を考え、素質者を求めて街を徘徊する。

______________________

付近の街中にて…

「ねえねえ、僕と契約して魔法少女になってよ!」

「うっわ!リアル9Bキター!!」

「そのネタはアッカァァァァァン!!!!」

-ドゴォォォッ-

「ぐふっ!?」

元サッカー部の嘉昌の素晴らしいシュートが決まり、ミュンリはゴミ箱へ吹っ飛ばされる。

-ガッシャァァン-

-カランカラン-

「ゴォォォル!!!」

「………」

嘉昌は拳を握り締めながら叫び、ゴミ箱の中にはまったミュンリは目を回して気絶する。

_______________________


「ねえねえ、僕とS-Xして魔女になろうよ!」

「や…ヤダ!」

ミュンリは股間から茸に似た器官を伸縮させながら言い、少女はミュンリから離れる。

「大丈夫、僕はテクニシャンだから…ね?」

「ヤダ…!来ないで…!」

ミュンリは茸のような器官を大きくさせながら少女に迫る。

-ズン-

「きゅぷぇ」

「はいはい、ウチの妹見て興奮するのは分かるけど、相手見て言うべきじゃないかしら?」

-ギュゥゥゥ-

「ぎ…ギブアップ…」

少女の姉がミュンリの茸のような器官を踏み潰し、ミュンリはその激痛と威圧感にギブアップ宣言をする。

_______________________

「ねえねえ、僕と組んで美少女戦士になろうよ!」

「…興味ない…」

「そんなこと言わずにさ!」

ミュンリは更に少女に迫るが…

「…しつこい汚物は消毒ね…」

-バシャァァァ-

-ジュゥゥゥ-

「熱ちちちちち!!?」

少女は何かの薬液が入った容器の蓋を開けてミュンリに薬液をぶっかけ、ミュンリは体中から煙を出しながら慌てて退散していく。

___________________

「熱ち…何で一般人が対魔法生物用の消毒液なんかもってるんだよ…」

ミュンリはやっとこさ自己再生の終わった箇所を毛繕いしながら呟く。

「こうなったら変身術を使うしかないね…えいっ!」

-シュゥゥン-


「僕は一応女の子なんだからね!女の子が好物なだけさ!」


ミュンリは緑髪の美少女に変身し、どこかに向かって言う。

___________________

刻は再び薄暗い夜…。


-ヴゥゥゥン-


「因果の黄昏」が広がっていく…。


『グォォォォォォン!!!』


「…芒霊!?」

苅藻達と共に帰り道を歩んでいた暦は、セイズ呪歌を聞いて見上げる。


苅藻達を始めとする一般人達は空間から切り離されたのか、因果の黄昏の中には暦しか居ない。

『呼んで…蒼月の巨人を…私達で…かの邪悪を打ち祓わん…』

暦の御守りが暦に話し掛ける。

『胸に手を当て…強く念じて…、…契約した時と同じ…想いを…』

暦の御守りが話し掛け、暦は胸に手を当て…強く念じる…。

『…呼んで…私の名を…』

「…コヨミ・ユミル!」

-ポォォォッ-


暦が力強くコヨミ・ユミルを呼ぶや、暦を中心に大きい魔法陣が現れる。


魔法陣からコヨミ・ユミルが現れ、暦はコヨミ・ユミルの中に跳躍する。


-バサァッ-

-ドォォォォォン-

コヨミ・ユミルは翼を広げ、蒼く輝く翼状光を展開して飛翔する。

満月の光を背に受け、コヨミ・ユミルの蒼月と紺のボディが活性化し、鮮やかに…神秘的な蒼月の如く輝く…。

『グォォォォォォン!!!』

-ドゴォォォン-

-ゴォォォォ-

焼き物の鯉の様な芒霊が、尾鰭を強く地面に叩き付けて跳ね飛ぶ。

『ウォォォォォン』

-ブシャァァァ-

鯉芒霊は口から泥水らしきものを吐き出し、牙を剥いて突撃する。

-ゴォォォォ-

-チャク-

-カチリ-

「その脇腹を…撃ち抜く!」

-ズドドォォン-

コヨミ・ユミルは魔導フィールドを展開しつつ飛翔し、収束魔導銃コンデム・リヴォルヴァーを展開して鯉芒霊の胴体部分を貫く。

『グォォォォォォン!!!!』

「面影は…下顎か!」

鯉芒霊はダメージを受けた途端、微かに下顎部分が動き、暦は面影の位置を看破する。

-ズゥゥゥゥゥン-

鯉芒霊は地面に落下し、ド派手な轟音を出して住宅街を粉砕する。

-ヴゥゥゥン-

「…あれは…魅鳥!?」

-ゴォォォォ-

…コヨミ・ユミルの魔導ディスプレイには…鯉芒霊の他に朋鳴魅鳥の姿が映し出され、暦は考えるよりも先に急降下する。

-ヴゥゥゥン-

『グォォォォォォン!!!』

「!!」

鯉芒霊の目が魅鳥を捉え、セイズ呪歌を浴びせる。

「あ……ぁ……」

魅鳥はセイズ呪歌により、恐怖で腰が抜け、身体が硬直化してしまう。


『ウォォォォォン!!!』

「魅鳥!!」

-ズドドドドォォン-

『ウォォォォォン』

コヨミ・ユミルはコンデム・リヴォルヴァーを連射して鯉芒霊の鰓と胴体部分を貫く。

-ゴォォォォ-

「ウォォォ!!!」

続いて魔導フィールドを展開したコヨミ・ユミルが凄まじい速度で鯉芒霊に迫る。

-バッキォォォン-

-ズゴォォォォン-

コヨミ・ユミルの突撃が鯉芒霊を吹き飛ばし、衝撃で鯉芒霊の胴体を二つに引き裂く。

-シャン-

「このぉ!」

-ドシュゥゥゥ-

コヨミ・ユミルはミスリル・ブレイドを鯉芒霊の下顎部分にある面影に突き刺す。

-ビキッ-

『ギャァァァァァァ!!!』

-ビシビシビシシィッ-

-ブシャァァァァァ-

面影を打ち砕かれた鯉芒霊は耳障りな断末魔をあげ、崩壊して泥水に変わっていく。

「魅鳥、無事か…?」

「…暦…さん…?」

暦は魅鳥に近づき、腰が抜けていた魅鳥は暦の声に反応して呟く。

「…良かった、無事で…」

「………」

暦は魅鳥の無事を確認するや、安堵する。

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お目汚し失礼

見えぬ仮面〜震動と再会

超創機大戦記事です。

今回は「見えぬ仮面」の続きみたいなものです。

少しばかり表現が傾きましたが…興味があれば続きからどうぞ。

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聖マルグリット学院…

修道院棟にある食堂内にて…

「清水学院長、失礼します」

「まあ、よく来たわね…暦さん、適当に掛けてて頂戴ね」

暦は食堂に入ると、白い三角巾にエプロン姿の老婆が鍋の中にある赤いスープの味見をした後に言う。

「…昨夜はすみませんでした」

「暦さん、もう少し待っててね、もう少しでスープの仕込みが終わるから…」


暦は昨夜の件に付いて謝るが、清水学院長は忙しいのか…暦の言を流す。


暫くして…


「失礼します。遅れてすみません、清水…院長先生」

「…(……震動が重なる……)」

先程あったばかりの石動兄弟が食堂に入ってくる。

「…何故、君が居る?」

智は表情に表さなかったが、暦を見る目には驚きと動揺が混じっている。

「…あら?智君と暦さんはお知り合いだったの?」

清水学院長は二人をからかう様な…予め知っていたかの様な笑みを浮かべて言う。

「違…」

「…はい、さっき知り合ったばかりです」

智が否定するよりも早く、暦は肯定する。

「ふふふ…若いって良いわねぇ…、ですが…当学院内での不純異性交遊は禁止していますよ?ねぇ…勇君…?」

「へ?…えぇ…?…と…兄さん?」


清水学院長は若い子達をからかう様に言い、勇に話題を振るが、勇は話題についていけずに智に助けを求める。


「…勇、…心得ています」

「………」


智は一瞬だけ表情を曇らせて言い、暦は智の表情と口調から微かな動揺を感じ取る。


「ふふ…からかってごめんなさいね、さあ…出来上がりましたよ」

清水学院長は微笑みながら言い、出来立てスープを食器に入れていく。


「手伝います」

「…(…震動が大きい…)」

智は食器に入れられたスープを盆に置き、運んでいく。

暦は無言で智と清水学院長の遣り取りを観察しつつスープを受け取りにいく。

「あ、僕もいかなきゃ」

それに続いて勇もスープを受け取りに席を立つが…

「…勇の分だ、自分の分くらい自分で取りにいけ…」

「あ…ありがとう…兄さん」

智は小声で勇に言い、勇は智を見て礼を言う。

「さあ、いただきましょう」

清水学院長は皆を見ながら笑顔で言う。

-スッ-

『安心して、毒なんか入れたりしないから』

「………」

「………」

清水学院長は毒味に忍んでいた苅藻を見ずに呟き、苅藻は指先に付けたスープとサラダを舐め取り、一瞬で食堂から脱出する。

智は重い表情をしながら清水学院長を見たが、直ぐに視線を逸らす。

「いただきます」

「あ、いただきます!」

暦は昼食を食し始め、勇も昼食を平らげ始める。

「………」

智だけは昼食が進まない様子で、複雑な表情のままスープを睨んだり、清水学院長の様子を伺ったりしている。

「…(…震動の影響が現れる…)」

暦は涼しい顔で昼食を食べつつも智と清水学院長の様子を見ている。

「………」

食堂の外では苅藻と黒田兄妹が談笑しつつも食堂の監視を続ける。


四人の間に沈黙の時間が流れる。


勇は三人の沈黙に構わずにスープをお代わりしたり、パンやサラダを取って食べたりしている。


四人はポツリポツリと世間話をしながら食べる。


「ところで学院長、私達を引き合わせた訳をお聞かせ下さい」

昼食を食べ終えた暦は、清水学院長に言う。

「ふふ…若い二人を近付けてみたくなっただけよ」

「……!」

一瞬だったが、清水学院長は暦と勇を見て言い、智の胸元と背筋に冷たい何かが走る。

「…そうですか」

暦は紅茶を静かに飲み、落ち着いた口調で言う。

「………」

暦は智の動揺に気付くが、敢えて気付かないふりをする。


「二年振りの学院はどうかしら…?」

「…以前よりも環境が改善されたと感じました、特に中等部や黒の館あたりが…」

清水学院長は笑顔で言い、暦は平然とした表情で感想を述べる。

「…(…二年振りの学院…?…黒の館…?…どういうことだ…、在学していたのなら俺の記憶に天郷暦の存在があるはず…、それが…無い…)」

智は清水学院長と暦の言に違和感を覚える。

「ふふ…黒の館はね、向こうから来た留学生が使う館だし、前々から提案もあったから増築したのよ」

「そうでしたか、二年前と比べ、施設も充実し、クラスも生徒数も増えていたので驚きました」

「………」

清水学院長と暦は当然の様に話すが、智は二人の会話に付いていけてなかった。

無理もない…彼には「黒の館」は見えないのだから…。

「…兄さん、天郷先輩も学院長も静かな人だね…」

「…(!?…勇には二人の話が聞こえていないのか…?)」

勇は黙々としている二人を見て智に言い、智は二人の会話が聞こえていないらしい勇に驚く。

「あの日は驚いたわね、暦さん」

「はい、震動が起きたあの日は…」

「…(…震動…?…二人が知っていて、俺の知らない歴史があるのか…?…学院長は…俺達にまだ何か隠してるのか…?それとも…俺をかまに掛けようとしているのか…?)」

清水学院長と暦はさも当然の様に話し、智は二人の様子を見て思案する。


「ふふ…そういえば勇君、この学院の環境には慣れたかしら?」

「ふぇ?は…はい!」


清水学院長は勇に言い、勇はいきなりの言に慌てて答える。

「この学院では中等部も高等部と同じ速度で授業が進んでいきますからね、学ぶ事が多くて大変でしょう」

「はい、授業も七時限目まであるし、えと…魔学と超能力も難しくて…、黒の館の先生に叱られて…、えへへ…勉強は…兄さんに助けてもらって…何とか…」

清水学院長は笑顔で勇に言い、勇は照れながら答える。

「…そう、良いお兄さんを持って幸せね、勇君」

「はい!」

清水学院長はそのままの口調で言い、勇は元気良く答える。

「…(…彼は震動の影響を受けながらも身体が認めないのね…、…勇君は無意識に…徐々に受け入れ始めてるけど…)」

暦は震動を感じつつ、清水学院長と石動兄弟の様子を見る。

-ヴゥゥゥン-


「…(…震動が止まった…そろそろ…刻が跳ぶ…)」

暦は冷静に紅茶を飲みつつ、紅茶の入っていない器を置く。


-カチン-

「やめて下さい!そんな話は!」

智はいきなり席を立ち、紅茶の器を返す。

液体が床に流れる…、落ちたり…止まったりを繰り返しながら…徐々に…。

「すみません…拭きます」

「あら、ごめんなさいね…」

「………」

暦は時計を見ると、昼休み時間が終わる少し前であり、食堂に勇の姿は既に無く、廊下に居た生徒達もそれぞれの授業を受ける為に教室に戻っていた。

苅藻達だけはそれぞれ監視を続けている。

「ありがとうね…後はやっておくから、智君は教室に戻りなさい」

清水学院長は智に言い食器を片付けていく。

「…失礼…しました」

智は食堂から去っていく…。


「…暦さんの住んでいた関西とこっちとじゃ…震動の頻度が違うみたいね…」

清水学院長は独り言の様に呟く。

「…学院長も…まだ安定しない様ですね」

暦も独り言の様に呟き、席を立つ。

「…そうそう、智君にも言ったけど…生徒会立候補の件、考えておいてね?天郷暦さん…」

「……考えておきます、…失礼します」

清水学院長は最後に凍てつく様な口調で言い、暦は無表情で答え、食堂から出て行く。

苅藻達がすぐさま暦の傍に駆け寄り、暦達は次の授業に急ぐ…。

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放課後…

「お嬢、クラブの見学ですが、どうします?」

「クラブの見学か…、今日は思う所があってね…止めておくよ」

苅藻の言に暦は答え、後ろでは黒田兄弟が背伸びをする。

「…思う所…やはり夢ですか?お嬢」

「いや、少し美術部の教室を覗きたくてね」

苅藻は暦に尋ね、暦は首を横に振って言う。

「え…お嬢は美術部に興味が?」

「………」

「すいません、お嬢」

黒田命(兄)が意外そうな口調で言うが、暦の表情を見て直ぐに謝る。


「…(…雫は放課後には美術部で絵を描いているらしいが…)」

暦は雫と話した内容を思い出しながら歩いていく。

…その時…

-カン-

「天郷暦さん、また…会いましたね…」

暦達の前に背中まで伸びた美しい銀色の長い髪と紫色の瞳、内気そうな雰囲気が特徴的な女子生徒が声をかける。

「…朋鳴…魅鳥(トモナキ・ミトリ)…?」

「…覚えてて下さったのですね、えへへ…」

暦は魅鳥の顔を見るや驚き…魅鳥は照れながら笑う。

「魅鳥ちゃん…」

黒田命(兄)は魅鳥に見とれてしまい…、思わず呟く…。

「…え…?…み…命さん?」

「………!」

「俺…知らないよ?」

黒田命(兄)の顔色が蒼くなっていく…。

妹が傍にいるので、すり替わりは通用しない…、つまり命(兄)には逃げるしか道は無い。

「ち…違うんだ…、こ…これは…その…」

命(兄)はやむを得ない事情を話す。

「…そ、そうだったんですか…それで…女装を…」

「そうなんだよ…うっ…うっ…」

何とか納得した魅鳥に命(兄)は安堵するが…

「チッ…」

命(妹)は舌打ちする。

「あれ…?そういえば…暦さんは…?」

魅鳥は周囲を見回しながら言う。

「しまった!お嬢は何処に?」

「美術室…だったっけ?」

「行くぞ!命!」

黒田兄妹は駆け出す。

 ・・
「お姉、階段で走るとはみ出るって!もう!」

「見るな!エッチ!」

「ふえ…?えぇ〜!?」

命(兄)は階段を駆け上るや、付いてきていた命(妹)は兄の下着を見て赤面し、兄も赤面しながらスカートを押さえて言い、魅鳥は両手で顔を隠しつつ指の隙間からはしっかりと見ていたという。

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お目汚し失礼。
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