スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

勢気と芙蓉

超創機大戦記事になります。

興味があれば追記からどうぞ。
続きを読む

陰日本のとある朝

超創機大戦記事です。

今回は陰日本編。

暦編と勢気編のミックスになります。

時間軸的には「初陣〜勢気と越後陽炎零式」から少し後になります。

興味があればどうぞ。

_______________________

陰日本…

栗坂家にて…

「朝だぞぉぉぉ!!!クノヤロォォ!!!」

栗坂家の隣の家の屋根で勢気は叫ぶ。

「くぅぅぅ!!!今日も俺様絶好調ぉぉぉ!!!!!」

勢気は毎朝の感触に感動して叫ぶ。

-キラーン-

『栗坂勢気、今日こそ契約を結んでもらうよ!』

勢気が一人叫ぶ朝を狙い、ミュンリは空から急降下してくる。

-ガシッ-

-ブン-

「おおっ!!?来やがったなQB擬きぃ!!今日こそ宇宙船に直撃させてやるぜぇぇ!!!」

ミュンリのテレパシーを感じ取るや、勢気は強化金属バットを構えて叫ぶ。


『ふふん、何度も同じ手は……あれ…?制御が利かない…?』

-ブン-

「期待のバッタァァ栗坂ぁ!!!」

ミュンリは回避しようとするが、スピードが早すぎた為に制御が利かず、そのまま勢気のミートゾーン内に降下し、ミュンリを捉えた勢気のミートカーソルが「強振」になる。


そして…


-カッキィィィィィン-

「プギュッ!!?」

「打ったぁぁぁぁ!!!!!大きい!大きい!!ホォォォムラァァン!!!!!」

ミュンリに強化金属バットがジャストミートし、ミュンリは彼方へと吹っ飛んでいき、会心の打撃に勢気は感涙にむせび泣きながら叫ぶ。

-ガラッ-

「アンタ!!朝から近所迷惑も大概にしな!!!」

-グイッ-

「痛゛ぇ!!?」

「さっさとコッチに来て朝飯食って学校に行きな!!」

-ズルズル-

「痛だだ!?耳が!?耳が取れちまうってばよ母ちゃん!?」

「つべこべ言ってないでさっさと中に入りな!!!」

-ガラガラ-

-ピシャッ-

母ちゃんが勢気の耳を引っ張って勢気を強制退場させる。

___________________

隣の天郷家にて…


「………、…目覚まし要らずね」

-スル-

寝間着姿の暦が目を覚まし、ヘッドホンを取り外す。

「お嬢、お目覚めで?」

「…ああ、お隣さんのおかげで目が覚めたよ」

障子の向こう側からの声に、暦は柔らかい口調で言う。

「ああ……お嬢、この不始末…ワビなら俺がいれさせてもらいます…!」

-シャン-

「若頭、落ち着いて下さい」

-トポトポ-

「若頭!気を確かに!」

「兄貴、若頭からドスを!」

暦の言に酒本の被害妄想が暴走し、障子の向こう側で命×2が酒本を取り押さえるのが暦の目に映る。

-バッ-

「ええい!離せ!お嬢の機嫌を損ねた俺はお嬢の守り役失格なんだ…!かくなる上は切腹して!!」

酒本は命×2を振り解きながら言い、ドスをくわえて腹を露わにする。

-シャァッ-

「私は怒っていないぞ、酒本」

「…だそうです、若頭、お茶でも飲んで落ち着いて下さい」

-スッ-

「………」

暦の言と苅藻のお茶で酒本は一気に冷静になり、場は穏やかになる。

「痛たた…ん…?」

「ふう…一時はどうなるかと思った…」

-フニュ-

「…何処触ってんのよ馬鹿兄貴!!」

-ドゴォッ-

「グホァッ!!?」

-ドサァッ-

酒本に振り解かれた際に命(兄)は、命(妹)の胸に触れていた為、妹のローリングソバットを喰らって隣の部屋の布団に吹っ飛ばされる。

-ズズッ-

「…お嬢、今日は予定があるんで?」

お茶を飲みつつ、酒本は落ち着いた様子で言う。

「ああ、今日は魅鳥と雫の二人と会うんだ」

暦は確信した口調で言う。

「……またお嬢の予知夢が…?」

「ああ、今日ははっきりと見えた」

酒本の言に暦ははっきりと答える。

「…若頭、お嬢は雫様と出会って以来、予知夢の鮮明さが増した様です」

「……………」

酒本は苅藻の助言を受けて理解しようとするが、元々これらの類に恐怖症を持つ酒本は酷く苦しむ。

「…酒本、考えすぎたらまたノイローゼになる、程々に…」

-スッ-

「お嬢、若頭がノイローゼになるのは毎度の事です、此処はそっとしておいた方が良いかと」

蒼くなった酒本の姿を見た暦は言うが、苅藻は首を横に振った後、落ち着いた口調で暦に言う。

「そう…、なら命達に酒本を任せ、私は苅藻と一緒に堤防へと行ってくる」

「わかりました、身辺警護はお任せを」

「うん、お嬢、苅藻、行ってらっしゃい、若頭の事は私と兄貴に任せといて」


暦は黒田兄妹に酒本を任せ、苅藻と共に外出する。


「…さてと、若頭の解凍まで時間があるし、お兄ちゃんの手当てしてから洗濯と掃除しよっと」

命(妹)はフリーズしたままの酒本と気絶したままの命(兄)を見ながら手当てにとりかかる。

___________________

天郷家から少し出た辺りにて…

-ササッ-

「………」

サングラスにマスクを付けた茶髪の少女が暦の後ろを尾行する。

「………」

-コッ-

「羽鳥、其処で何をしているんだ?」

「あ…あら、天郷さん、斯堂さん、奇遇ですね、あははは…」

「羽鳥様…」

夢と気配で既に羽鳥の存在を知っていた暦は、曲がり角に羽鳥を誘い込み、まんまと誘い込まれた羽鳥は少し動揺する。

「お…驚かないのですか?私が此処に居るというのに」

「…羽鳥、尾行が下手ね…」

「びび…尾行なんて…して…ません!」

暦は微笑みながら言い、羽鳥はしどろもどろになりながら言う。

「…羽鳥様、お嬢は既に感づいていましたよ、いくら好きでもストーカー行為は程々にして下さいね」

「な゛っ、わ…私は別に…!…もう!失礼します!」

苅藻の耳打ちでトドメを差された羽鳥は、やや不機嫌そうに去っていく。

「…羽鳥、祖母殿からの言い付けで私を監視しているのだな…」

「…恐らくそうかと、…お嬢も罪な方です」


暦は羽鳥を案じつつ言うが、羽鳥の性格を知る苅藻は微笑みながら呟く。


「…情勢が許す限りだが…、羽鳥には極力気付かないふりをしてやり過ごそう…、私に尾行がバレたとあれば、連合会が変な動きをするだろうからな…」

「…そうですね、私も出来る限りの事はします」

暦は若干表情を曇らせながら言い、苅藻は微笑みつつ呟く。

___________________

十数分後…


暦と苅藻が堤防沿いを歩いていると…

-コッ-

「…もう直ぐ緑色の魔法生物が降ってくる」

「…緑色の魔法生物…ですか…?」

暦は夢で見た位置と同じ位置で立ち止まり、苅藻は迎撃準備を整える。

-ボン-

-ガン-

-ドシャァッ-

直後に緑色の魔法生物…ミュンリが暦達の前に現れる。


「痛たたた…ん…?」

ミュンリは凹んだ顔面を自己修復しつつ、頭部アンテナの反応に声を上げる。

「この反応は…魔法少女…?いや…君は術士かい?」

「私はどちらでもあるが、どちらでもないとも言えるよ」

ミュンリの問いに暦は即座に切り返す。

「…君から魔法少女と術士、超能力…それらの類の力が複雑に絡み合って変化したような波動を感じるね…」

ミュンリは耳の様な器官を暦の方に向けながら呟く。

-サッ-

「あ…」

「………」

ミュンリはどさくさに紛れて暦に触れようとするが、夢で展開を知っていた暦はミュンリの射程外に退避する。

-スゥッ-

「お引き取り下さい」

「へ?」

ミュンリの前に長柄木槌を振り上げた苅藻が現れ、ミュンリは苅藻の眼力に固まる。

-ドゴォォッ-

「へぶっ!?」

苅藻の握った長柄木槌が振り下ろされ、ミュンリは堤防の土の中にめり込む。


「暦さん、おはよう御座います」

-ダッ-

「魅鳥…危ない!」

堤防の向こう側から魅鳥が走ってくるや、暦は走り出す。

-グシャッ-

「痛゛」

「!?」

「ああ!?」

暦は何かを踏みつけてバランスを崩し、魅鳥は手を差し伸べようとして石に躓く。

-グッ-

「…御無事ですか?お嬢、魅鳥様…」

即座に駆け付けた苅藻は、暦と魅鳥の間に立って二人を支えながら言う。

「済まない、苅藻…」

「…ありがとう、苅藻さん」

「いえ、御二人とも御無事で何よりです」

暦と魅鳥は苅藻に礼を言い、苅藻は安堵の表情をしながら言う。

「…それより、私が踏んだのは何だったんだ…?何か声が聞こえたが…」

暦はバランスを崩した原因を探るべく堤防の下にある茂みを見る。

「痛つつ……かぁ……効いたぁ…」

茂みには顔面を押さえながら唸る少年が居り、暦は少年に近付く。

-スッ-

「大丈夫か?」

「…な…何とか…大丈夫です…」

暦は唸っている少年に声をかけ、少年は暦の靴の跡を付けた頭を撫でながら言う。

「済まない、私の不注意で…」

「い…いえ!此方こそ…」

暦は少年の頭を診て手を添えながら言い、掌に精神を集中させる。

「目を瞑ってじっとして、すぐに済む」

-ポォォ-

「……!?」

暦はそう言って治癒術を発動させ、少年の怪我(?)は忽ちの内に回復していく…。

「これで良い筈だ、まだ痛むか?」

「………」

「げっ…あ…いえいえ!ありがとう御座います!…って!もうこんな時間!?ああ…兎に角…スミマセンでしたぁ!!」

-ダダッ-

暦は治癒術を解いて少年に伺い、少年は苅藻のプレッシャーに気付き、礼を言いつつ時間を見て仰天し…慌てて去っていく。

「ふう…」

「ふえ…、もう去ってしまいましたね…」

苅藻はゆっくりと構えを解いて深呼吸し、魅鳥は暦の背中に隠れながら言う。

「…あの慌て様、余程大事な予定でもあったのだろうか…」

「いえ、単に逃げていっただけかと」

少年が慌てて去っていった方角を見て、暦は少しばかり罪悪感を持ちながら呟くが、苅藻は即座に否定する。

「…それよりお嬢、魅鳥様、此からどちらに?」

苅藻は微笑みながら二人に尋ねる。

「雫と会うのは少し後になる、私はTSUT@YAかダ〇ソーに行こうかと思っているが」

暦は微笑みながら言う。

「わ…私はTSUT@YAに行きます」

「なら、行き先はTSUT@YAで決まりですね」

魅鳥は少し恥ずかしそうに言い、二人の言を聞いた苅藻は言うや、三人はTSUT@YAに向かう。

___________________

一方…

「…遅い、栗坂と小林は何をやっている…」

斑鳩先生はクラスで唯一赤点を取った勢気と成績の悪い史彦の補習授業の準備を進めていたが、一向に現れない二人に少々苛つき気味に呟く。


一時間後…


「全く…、私の補習授業をサボるとは良い度胸だ、明日の授業でキツいお灸を据えてやるとするか」

全く姿を見せない勢気と史彦に対し、斑鳩先生は怒りを通り越して呆れ気味に言い、展開していたWRF…越後蟒蛇弐式を全て撤収させる。

「斑鳩先生、お疲れ様です」

「お疲れ様です、磯上先生」

斑鳩先生は磯上先生に一礼し、背後から迫ってきた気配に備える。

「朱花御姉さまぁ〜、肩でも揉み゛っ!!?」

-ガッ-

磯上先生の娘で斑鳩先生の後輩でもある磯上三春が迫るが、斑鳩先生に頭を掴まれる。

「ほほう、三春は相変わらず頭の方が凝っている様だな、私が解してやろう」

-グググググググ-

「しゅ…朱花御姉さま…アイアンクロー…決まってます…ギブアップ…」

斑鳩先生のアイアンクローを受けて早くも生死の境をさまよいかけている三春は斑鳩先生に乞う様に言う。

「もうギブアップか、まあいい…」

-サッ-

「ふぅ…今日も御馳走様です、朱花御姉様〜」

斑鳩先生は三春を解放し、三春はうっとりとした表情で言う。

「それより三春、私に何か用があるのだろう?わざわざあんな回りくどいメールを送ってきおって…」

斑鳩先生は少々呆れ気味に言う。

「…はい、えと…本部から斑鳩先生宛ての手紙を預かっているのでお渡しします」

三春は懐から手紙を取り出し、斑鳩先生に手渡す。

「本部から…?」

「はい、大道寺様からの御手紙です…」

「代表からの…」

斑鳩先生は大道寺代表の名を聞くや、表情を鋭くさせる。

____________________


お目汚し失礼

初陣〜勢気と陽炎零式

超創機大戦記事です。

今回は栗坂勢気の短編物語です。

興味があればどうぞ。

______________________

陰日本創世連合新潟支部…地下格納庫にて…

「栗坂勢気、これが君の専用機になる越後陽炎零式だ、受け取りたまえ」

「グローブ?」

黒服に言われ、勢気は「紅蓮に気合」のグローブを受け取る。

-スッ-

「???、これが俺専用機?」

勢気はグローブをはめながら言う。

「身体は既に理解している様だな、そのグローブは君の思念に反応して越後陽炎零式を呼び出す、…君の気合が鍵になって専用機が召喚される仕組みだ」

黒服はクエスチョンマークを浮かべている勢気に言う。

「なんだかよくわかんねえけど…俺の気合いが鍵になるんだな?」

-キュオ-

勢気は拳を握り締めて言う。

「そうだ、早速だが…呼び出してみたまえ」

黒服は勢気に言う。

「…よぉし、出ろぉぉぉ!!!陽炎ぉぉぉ!!!」

-パチン-

勢気は叫び、指を鳴らす。

因みにこのネタが分かる方は何人居るだろうか…。

-シュン-

-ギショォン-

-ズゥン-

「ほう、一発で呼び出せるとはな…大したものだ」

勢気の気声に反応した越後陽炎零式のパーツが勢気を中心に展開し、やがて本体とパーツが合体して越後陽炎零式が現れる。

「キタコレ!!!凄っぇ!!!マジ凄ぇ!!!これが俺専用機かよ!!!」

勢気は感涙にむせび泣いて叫ぶ。

-ピーン-

「…私だ、何…?」

黒服は携帯端末機と意識をリンクし、情報を読み取る。

「…わかった、丁度一機出撃出来る状態だ、直ぐに向かわせよう」

黒服は越後陽炎零式を見て言い、携帯端末機から意識を切り離す。

「栗坂勢気、出撃要請が来たぞ、実戦で慣らしに移る」

「オッシャァァァ!!!キタコレ!!!栗坂勢気と陽炎の初陣だぁぁぁ!!!」

黒服の言に勢気は無駄に熱く叫ぶ。

「…(この純粋な力…このくらいの馬鹿でなければピーキーな陽炎の性能は引き出せんと言うわけか…)」

黒服は勢気が発せられる気迫と越後陽炎零式の力に彼方を見て思案する。

「…あ!!そういや俺は何処に向かえば良いんだ!?」

勢気は今頃気が付いて言う。

「済まないな、目的地には私が運ぼう」

「げ!?斑鳩先生!?」

黒スーツに身を包んだ斑鳩が現れ、勢気は奇声をあげる。

『栗坂、突然の初陣になったが、お前の様な馬鹿はマニュアルを見ていくより実戦で覚える方が向いているだろう、身を以て覚えろ』

『酷ぇ!?何気に母ちゃんと同じ事を言われた!?』

斑鳩先生は勢気にテレパシーを送り、勢気はオーバーリアクションで応える。

『跳ぶぞ!栗坂!』

-パチン-

-ヴゥゥン-

『おおお!?何だコレ!!?』

斑鳩先生が指を鳴らすと、特殊なフィールドが斑鳩先生と越後陽炎零式を包み込み、斑鳩先生と越後陽炎零式が浮き上がって勢気は叫ぶ。

『空間転送!…跳躍!』

-シュン-

斑鳩先生が念じるや、斑鳩先生と勢気、越後陽炎零式は共に跳躍する。

___________________

-ギショォン-

『敵、11次元と3時方向、7時方向より跳躍せり』

『挟み撃ちか…、不味いわね』

『WRF2、ユミル3、魔導兵器1、何れも新型みたい』

『因果の黄昏か魔空間の卵の孵化が近いってのに…!』

『仕方ないわ、端末をばらまいたらあの三人が来る前に撤退しましょ』

『了解』

新恋、琴織泉、敷島芙蓉の三人は互いにテレパスを送りながら作戦を決める。

『着いたぞ栗坂!』

「先手必勝ぉぉぉ!!!」

-ゴォォォ-

『きゃ!?』

-ドゴォォォォォン-

転移するなり、勢気はアクセル全開で突っ込み、頭から山肌にめり込む。

「や…やりやがったな、効いたぜぇぇぇ!!!!!」

「か…勝手に突っ込んで何か暑苦しく言ってる!?」

『いきなり全開で山に激突する馬鹿者が居るか!!』

勢気は泉の来鳴疾風(クルナリ・ハヤテ)に攻撃を回避され(勝手に突っ込んだだけだが…)、熱い口調で言うが、泉は勢気の暑苦しさよりも常識の通用しない馬鹿さに戦慄、斑鳩先生は勢気の馬鹿さ加減に思わずツッコミを入れる。

-ギショォン-

「今度は当てぇぇる!!!!」

-ゴォォォ-

「また突っ込んで来た!?」

『………』

勢気は瞬く間に態勢を整え、再び来鳴疾風に突っ込む。

『泉、その馬鹿ちん…さっさと落としちゃいなさい』

『い…言われなくてもやるわよ、ただ…』

『ただ…?』

『…なんか調子狂うのよ、この馬鹿さ加減…!』

「オラァァァ!!!!!」

-ゴォォォ-

-ドゴォォォォォン-

勢気は再び来鳴疾風に突撃するが、容易く回避されてまた山に突っ込む。

『全く…あの馬鹿者は…うん…?』

斑鳩先生は激突した越後陽炎零式を見て何かに気付く。

-ズゥン-

「オッシャァァァ!!!痛くも痒くも無かったぜぇぇ!!!」

山には小さな円形のクレーターが出来ていたが、越後陽炎零式と勢気には衝撃は伝わっておらず、越後陽炎零式は素早く態勢を立て直す。

「ディフレクト・スフィア!?」

『…ほう、防御と回避を身体で覚えたか、やはりただの馬鹿ではない』

泉は高度な障壁展開をしてみせた勢気に驚き、斑鳩先生は勢気を少し見直す。

「…コイツ、放っておくと危ない!」

-シシシシシシュン-

泉は予感に似たものを感じ、来鳴疾風のハンドガンを放つ。

「殴り落とぉす!!!」

-ガガガァン-
-ヴゥゥン-

初弾は越後陽炎零式の拳でたたき落とされ、続く弾はディフレクト・スフィアで弾かれる。

「潰すぜぇぇぇ!!!」

-ゴォォォ-

「突っ込むだけの馬鹿に…!」

-ドゴォォン-

「ぐあっ!?」

勢気は来鳴疾風に向かって突っ込むが、泉の来鳴疾風は瞬時に勢気の攻撃を回避し、すれ違い様に超電磁銃を放って越後陽炎零式にダメージを与える。

「墜ちろ!」

-ズガァァン-

-シュン-

「!?」

泉はトドメの一撃を放つが、勢気の越後陽炎零式は身を翻して回避する。

「お前が銃なら!俺様はこれだぁぁぁ!!!!」

-ヒュゴォォォッ-

「猛炎の発火能力!?コイツ!馬鹿なふりしてA級超能力者だったのか!?」

勢気の拳から猛炎が噴き出すと同時に越後陽炎零式の拳から猛炎が噴き出し、泉は超能力者との邂逅に驚く。

「熱き一撃ぃ!!バァァァニング!パァァァンチ!!!!」

-ヒュゴォォォォ-

「単純ね!」

勢気のバーニングパンチが放たれたが、来鳴疾風に回避されてしまう。


しかし…

-ギギギギュゥゥゥン-

-ドロドロ-

「…嘘!?掠っただけで…!」

-ドォォォン-

来鳴疾風のハンドガンとシールドが少し掠っただけで溶断され、泉は勢気の力に驚く。

『端末機、ユミルにより間もなく壊滅、そろそろ撤退する』

『泉、端末はもう保たないわ、撤退するよ!』

恋が戦況を報告し、芙蓉は泉にテレパスを送って撤退を促す。

『…!?、わかったわ!』

「あ!?逃がすかぁぁ!!」

泉は直ちに撤退に移り、勢気は追撃態勢に移る。

『待て!』

-ガッキョォォン-

「ぐあ!?」

-ビシッ-

「痛゛っ!?」

『深追いはするな、戻るぞ』

斑鳩先生は召喚したWRFで勢気を強引に引き止め、フィールドを展開して跳躍準備に移る。

-ヴゥゥン-

『うおおおっ!?』

『跳躍!』

-シュン-

斑鳩先生は勢気に有無を言わさずに共に跳躍する。

___________________

お目汚し失礼。

勢気編入

超創機大戦記事ですね。

今回は短編です。

興味があればどうぞ。

______________________

陰日本創世連合新潟支部のある学園…

朝の教室にて…


「…と言うわけで、転入生を紹介する、入って来い」

「おいおい、この時期に転入生かよ」

「何、このフラグ…」

-バンッ-

「いやあ参ったぜ!!間違えて中等部に行っちまってよぉ!!さっきまで教頭先生に絞られちまってたんだ!」

-ザワザワ-

「ま…間違えたって…」

「い…今時そんな奴居るの?」

教室の扉を勢いよく開け、やけに熱い口調の生徒が言うや、教室内はざわめく。

「静かに。…栗坂、自己紹介をしろ」

「俺か?俺は勢いと気合の大馬鹿野郎!!!栗・坂・勢・気だぁぁ!!四露死苦ぅぅ!!!」

-ババァァァン-

勢気はホワイトボードに無駄に気合いの入った漢字で名前を書くが…

「栗坂、それは粟だ、それに力が抜けている、それでは執になるぞ」

-カッカッ-

斑鳩先生は「粟坂執気」と書かれたボードを見て言い、丁寧に採点しながら赤線で修正する。

「…50点だ、自分の名前くらい書けるようになっておけ」

「細かい事は気にしない!!それが俺様!栗坂勢気だぁ!!」

-スパァン-

「痛゛っ!?」

「そこまでだ、栗坂の席は正面の一番前にする」

斑鳩先生はスリッパで勢気を叩き、勢気はよろめく。

「おいおい、大丈夫かあれ…」

「…わ…わからない…」

「そこぉ!俺様は正真正銘の馬鹿だ!!何たって全力投球で入試総合点が80点しか無かったんだからなぁ!!」

-スパァン-

「ぐあっ!?」

「喧しい」

勢気は再びスリッパで叩かれ、机に突っ伏す。

「先生ぇ!!叩き過ぎだと思いまっす!」

「その辺は栗坂の母君から許可を頂いている、わかったらさっさと席につけ」

「畜生…母ちゃんの御墨付きかよ」

斑鳩先生は拳固を見せながら言い、勢気を大人しくさせる。

-ゴォォン-

「よし、ホームルームを終了する、午前の学業に励め」

-ガラッ-

鐘がなるや、先生は速やかに教室を出て行く。


少しして…

-ガサッ-

「ここだね、今日こそ僕と契約してもらうよ、栗坂勢気」

草むらからミュンリが現れ、彼女は校舎に向かおうとする…。

-ガシッ-

「ヒャ!?」

「ハア、ハア」

ミュンリは背後から抱き付かれる。


「ハアハア…ヤらせろ…!」

「へ?」

男はミュンリをガッチリ抱き締めたまま、荒い息を吐きながら言い、ミュンリは漸く危機感を持ち出す。

「美脚、ニーソ、ミニスカ、絶対領域、並乳、ポニテ、緑髪、美声、オマケにプリップリッの美尻に縞パンまで見せ付けられて我慢できるか…!」

「…ひ…!」

男はミュンリを抱き締めたまま言い、ミュンリに悪寒が走る。

「お前を※※して※※して俺好みの※※※※※※にしてやるう!!」

「い…嫌だぁぁぁ!!!」

男はミュンリをお持ち帰りし、ミュンリは絶叫する。

___________________

数時間後…

「ふう…危なかった…」

元の姿に戻ったミュンリは、疲れた様子で呟く。

「まさか、僕を無理矢理犯そうとするとはね…、全く以て♂は穢らわしいよ…」

ミュンリは毛繕いをしながら言い、先程の校舎へと入っていく。

-ススッ-

「18…ここだね、んしょ」

ミュンリは教室の中心にある空席に移動し、テレパスの準備に移る。

-キィィィン-

『あ〜、あ〜、只今テレパスのテスト中』

『うあ!?なんか頭に響く!!』

席で眠っていた勢気の脳内に声が響き渡り、勢気は頭を抱える。

『えと…音量は並にしてと…、栗坂勢気、君は力が欲しくは無いかい?』

『………』

『欲しいなら君の素質に相応しい力を授けよう』

『…………』

『だから僕と契約し…』

「皆注目!この教室の何処かに緑色のQBもどきが居るぞぉぉ!!」

勢気はいきなり叫び声をあげる。

「「何ぃ!?」」

「「えええ!?」」

-ガタガタガタガタ-

『あ』

皆は一斉に席を立って移動するや、教室の中心にはミュンリだけが取り残される。

「排除開始」

「「おおぉ!!」」

-ドカバキボコ-

「痛たたたた!」

委員長の指揮で皆が一斉に仕掛け、ミュンリはボコボコにされる。

「栗坂!いくぞ!」

「ピッチャァァ小林!振りかぶって投げました!」

「今度は宇宙船に直撃コース!バッタァァァ栗坂!!!」

-カッキィィィィィィィン-

「グュ!?」

「打ったぁぁぁ!!!!!大きい大きい!ホォォォムラァァン!!!!!」

勢気の渾身のスイングがミュンリにジャストミートし、ミュンリは凄い勢いで彼方へ飛んでいく。

「ッシャアアア!!!今日も俺様絶好調ぉぉ!!!!」

勢気はミュンリを星に変えた事で雄叫びをあげる。

しかし…次の瞬間…

-スパァン-

「ほぉぁ!?」

「お仕置きですわ」と書かれたスリッパが勢気の頭に直撃し、勢気は地面に倒れる。

「授業を始める、皆席につけ」

-ガタガタガタガタ-

先生が言うや、クラスの皆は席につく。

___________________

お目汚し失礼。

月満ちる刻(後半)〜蒼月の揺りかご

超創機大戦記事です。

興味があればどうぞ。

_______________________

『グォォォォォォン!!!』

-ズゥゥゥン-

-ズゥゥゥン-


「…!?まだ居るのか!」

「…あ…ぁ…」

他の芒霊達が現れ、魅鳥は再び恐怖に包まれ、気絶する。

「魅鳥、しっかりしろ!」

「………」

暦は魅鳥に呼び掛けるが、魅鳥は気絶したままで反応しない。

『ウォォォォォン!!!』

-ズゥゥゥン-

「…く、ユミル!魅鳥に魔導フィールドを!」

-シュゥゥン-


「飛ぶぞ、ユミル!」


-ヴゥゥゥン-

-ドォォォォォン-

コヨミ・ユミルは魅鳥を左の掌の上で魔導フィールドをかけて保護し、天高く飛翔する。

-シュゥン-

-ビッ-

気絶している魅鳥を魔導フィールドで包み込み、それを庇うようにして飛翔したコヨミ・ユミルは、魔導レーダーで芒霊の反応を捉える。

「鯉芒霊が二匹、あとは…」


-バサバサァ-

『シギャァァァ!!』

「鳥型の芒霊…!」

-ズドォォン-

-ヒュン-

暦は隼芒霊の突撃を回避し、コンデム・リヴォルヴァーで迎撃するが交わされる。

-ズドォォン-

-シュン-

「…そう簡単にはいかなさそうね」

コンデム・リヴォルヴァーの弾を容易く回避する隼芒霊に、暦は気を引き締めて呟く。


『ウォォォォォン』


鯉芒霊達は他の反応を見つけたらしく、上空のコヨミ・ユミルを無視して川を遡っていく。

-ズドォォン-

-シュン-

『シギャァァァ!!』

-ブシャァァァ-

「……!」

-ヒュゴォォ-

隼芒霊は泥水らしきものを吐き出すと共にコヨミ・ユミルに突撃を仕掛け、とっさに反応した暦は寸前の所で回避する。

-ビシャシャァ-

コヨミ・ユミルの装甲に隼芒霊が吐き出した泥水らしきものが降りかかる。

-ジュゥゥゥ-

-チュドォォォォン-

-ドゴォォォン-

「ぐっ!!あぁぁ…!!」

コヨミ・ユミルの装甲に付着した泥は瞬時にして固まり、瞬く間に反応を起こして爆発する。

爆発でコヨミ・ユミルの右肩部分とウィングが破損し、暦の右肩と背中にも激痛が走るが、左手に保護している魅鳥を無意識の内に爆発の影になるように庇っている。

『シギャァァァ!!』

-ゴォォォォ-

ダメージを受けて墜落するコヨミ・ユミルに隼芒霊が迫る。


「…舐めるなぁ!」

-ズドォォン-
-ズドォォン-
-ズドォォン-

-シュン-
-バキィィン-
-ズゴォォン-

「クェェェェ!!!」

先程の痛みで闘争心に火が付いた暦は、迫ってきた隼芒霊にコンデム・リヴォルヴァーを放ち、翼と嘴を打ち砕く。

-ヒュゴォォ-

翼にダメージを受けた隼芒霊は、軌道をずらされ、コヨミ・ユミルから離れる。

-ビシッ-

「く…!…右腕が…痺れる…!」

しかし、多重爆発を受けた右肩部分のダメージが大きいのか、コヨミ・ユミルの右腕部分の動きが鈍くなる。


『…暦、満月の光をユミルに…』

「…!?…姉上…」

暦の御守りから鵺の声が響き、暦は周囲を見回すが…。


「………」


鵺の姿は無く、代わりに暦の御守りが薄く光っており、暦は御守りから鵺の声を感じ取る。


-ヒュヒュン-

-チャク-

-ギショォン-

-ドォォォン-

コヨミ・ユミルはコンデム・リヴォルヴァーを太腿部分に戻し、メインウィングの代わりにサブウィングを展開して再び飛翔する。


『…月の光はユミルの活力の一つ、月光を浴び…回復に集中すれば、治癒力が高まり…傷も癒される…』

「…姉上…」

鵺は暦に言い、暦は鵺の言に従って回復に集中する。

-ウゥゥゥゥン-

コヨミ・ユミルは満月の光を浴び、ユミルが活性化していく…。

月の光を浴びれば浴びる程、暦とコヨミ・ユミルの全身から力が漲ってくる。

-シュゥゥゥン-

ユミルが活性化し、暦が回復に集中した事でコヨミ・ユミルの翼と右肩部分が徐々に修復されていく。

-キュゥゥゥゥン-

「………」


月の光を浴びたコヨミ・ユミルの左手の内側に展開している魔導フィールドが次第に強固なものになっていく…。

-シュゥゥゥン-

それはやがて強力な聖域と化し、聖域の内側で気絶している魅鳥の表情から恐怖と苦しみが消えていき、代わりに安らぎの表情が表面化し、血色も良くなっていく…。

コヨミ・ユミルの発するガルドル呪歌が芒霊達のセイズ呪歌を打ち消し、セイズ呪歌の影響を受けた魅鳥の精神を徐々に回復させていた…。



-バサバサァ-

『ウォォォォォン!!』

回復モード中のコヨミ・ユミルに、翼をほぼ再生し終えた隼芒霊が迫る。


-ブシャァァァ-

「ユミル!」

-ドォォォォォン-

隼芒霊が泥水らしきものを吐き出した直後、暦の言と共にコヨミ・ユミルが天高く飛翔する。

-シャン-

「……!」

-シュン-

-グシュゥゥ-

『ウォォォォォン!!』

コヨミ・ユミルは、獲物を見失って動きを鈍らせた隼芒霊にミスリル・ブレイドを投げ、ミスリル・ブレイドは隼芒霊の背中部分に突き刺さる。

「ハァァァ!」

-ゴォォォォ-

暦は迷わず隼芒霊に向かって急降下する。

「貫け!!」

-ズゥゥゥゥゥン-

-ドシュゥゥゥ-

「砕け散れ!」

-ドゴォォォン-

-ビキッ-


コヨミ・ユミルは突き刺さったミスリル・ブレイドの尻部分を強く踏み込み、ミスリル・ブレイドの刃は隼芒霊の胸部にある面影を貫き通し、コヨミ・ユミルのヤクザ蹴りの衝撃で面影が砕ける。


『ギャァァァァァァ!!!!』

-ビシビシビシビシシィッ-

-チュドォォォォン-

-ブシャァァァァァ-


隼芒霊は内部から爆発して崩壊し、飛散した泥水が大地に降り注ぐ。

「……」

暦は隼芒霊の泥水に備えて魔導フィールドを展開していたが…。


その泥水は特に爆発などを起こす事なく、大地へと還っていく…。


-ピシィィィィン-


「…目覚めたのね、夢に出てきた白銀の巨人が…」

暦は鯉芒霊達が向かったであろう先から聞こえてくる音に反応し、夢と雫の絵に現れていた場面を思い出しながら呟く。


-バサァッ-

「…あの子を見に行こう、ユミル」

-ドォォォォォン-

暦は決意を新たにしてコヨミ・ユミルに言い、コヨミ・ユミルは声の聞こえる方角を向いて飛翔する。

___________________

一方…

川を遡っていった鯉芒霊達は…


『ウォォォォォン!!』

「このぉぉ!!」

-ドォォォォォォォン-

-ズガァァァァン-

-ズゥゥゥゥゥン-

白銀の騎士の如き鎧を身に纏い、背中部分には灼熱の炎の如く、小さくも細く伸びた翼を持ったユミルが、鯉芒霊を吹き飛ばし、一匹は橋に激突。

もう一匹は川の対岸にある河川敷に激突する。

「………」

「戦うって、どうすれば良いの!?」

「………」

「…大切なもののために…ユミルの手足は…僕の手足であって……あれ…?」

「………」

「跳躍を防ぐって…どうすれば…」

「………」

「ビット兵器…?…分かったよ、兄さん」

勇は兄と話し、右肩に意識を集中させる。

-ギショォン-

-ボオッ-

「…行って!ホークカリバー!奴の…」

-バサバサァ-

ユウ・ユミルの左肩アーマーが少し開き、その中から燃え盛る剣の様な鳥が現れて飛び立つ。

『ウォォォォォン!!』

-ヒュゴォォ-

-バシュゥゥン-
-ズバァァッ-

鯉芒霊の突撃を寸前で交わし、擦れ違い様に左胸鰭をフェザーセイバーで両断し、同時に飛来したホークカリバーが鯉芒霊の右胸鰭を焼き切る。

-ズゥゥゥゥゥン-

『グオォォォォォォン!!!!』

-ドゴォォォォォン-

-ゴォォォォ-

墜落した鯉芒霊は怒り狂った様に叫び、尾鰭を大地に叩きつけ、ユウ・ユミルに向かって跳ね飛ぶ。

「え?…ちょっと待ってよ!?」

勇は咄嗟の事に慌ててフェザーセイバーを鯉芒霊に向ける…。


-バシュゥゥ-

-ビキッ-

『ギャァァァァァァ!!!!!』

-ビシビシビシビシシィッ-

-ブシャァァァァァ-

ユウ・ユミルはフェザーセイバーで鯉芒霊の下顎部分にある面影を打ち砕き、鯉芒霊は崩壊して泥水が飛散する。

-ビシャシャァ-

『グオォォォォォォン!!!』

-バキバキバキィッ-

-ビチィッ-


飛散した泥水はもう一体の鯉芒霊に吸収されていき、もう一体の鯉芒霊は胸鰭が巨大化して翼の様なものになり、控えめだった牙が巨大化して剥き出しになり、背鰭が更に巨大化してパワーアップを果たす。

『ウォォォォォン!!!!』

-ズゥゥゥゥン-

-ズゴォォォォン-

「うぐ!!……ゲホッ!ゲホッ!」

ユウ・ユミルはパワーアップした鯉芒霊の強烈な突撃を受け、後方のビルに激突する。

-グググググググ-

「あが…!…ぃ…!」

鯉芒霊の牙がユウ・ユミルの脇腹に食い込んでいき、勇は脇腹に食い込んでいく牙の感触と内臓を抉られる様な激痛に苦しむ。

「この…!は…離れろぉ…!」

-バシュゥゥン-

-ヒュゴォォ-

-ズゥゥゥゥン-

-ドゴォォォォォン-


ユウ・ユミルに食らいついていた鯉芒霊は、側面から現れた黒いユミルにフェザーセイバーで胴体を切り裂かれ、更にホークカリバーの突撃を受けて風穴を開けられ、ユウ・ユミルに背鰭を両断されて離れる。


『ウォォォォォン!!!』

-ジュク-

-ベキベキベキィッ-

「さ…再生した…!?」

しかし、鯉芒霊は暦によって倒された隼芒霊の遺骸と何者かによって倒された芒霊達の遺骸をも吸収し、瞬く間に傷を治してしまう。

鯉芒霊は更なるパワーアップを果たし、竜の様な形をした「水竜芒霊」に変化する。

『グオォォォォォォン!!』

-ゴォォォォ-

-ズゥゥゥゥゥン-

-ザパァァァァァン-

「うわああああ!!?」

水竜芒霊は泥水の竜巻を巻き起こし、ユウ・ユミルとトモ・ユミルを吹き飛ばす。

『グオォォォォォォン!!!!!』

-ザパァァァァァン-

-ザブゥゥゥゥゥン-

水竜芒霊は泥水の海と化した市街地を自在に泳ぎ回り、ユウ・ユミルとトモ・ユミルの先回りをする。


-ザパァァァァァン-

『グオォォォォォォン!!!!!』

『狼狽えるな!飛べ!』

「…!?」

『…!?』

-ドォォォォォン-

-ザブゥゥゥゥゥン-

一際大きな水柱があがった瞬間、水竜芒霊は天高く跳ね飛んでトドメを差そうとするが、ユウ・ユミルとトモ・ユミルは飛翔して水竜芒霊の攻撃を回避する。


-ヒュゥゥゥン-

-ズドォォン-
-ズドォォン-

同時にコヨミ・ユミルが現れ、水竜芒霊にコンデム・リヴォルヴァーを撃つ。

-ボコォッ-
-ブシャァァァ-

『グオォォォォォォン!!!』

コンデム・リヴォルヴァーの弾が水竜芒霊の装甲を容易く貫通し、貫通した箇所から大量の泥水が流れ出し、水竜芒霊はやせ衰える。

水竜芒霊は瞬く間に傷を再生するが、一回り小さな姿になった上に下顎部分の面影が露出し、市街地を包んでいた泥水の海も消滅してしまう。

『…成る程、そう言うことか』

-バシュゥゥン-

-ドバァァァッ-

『グオォォォォォォン!!!』

智は冷静に言い、衰退した水竜芒霊をフェザーセイバーで切り裂く。

傷口から大量の泥水が流れ落ち、水竜芒霊は更に衰弱して元の鯉芒霊に戻ってしまう。

「兄さん、下顎部分を一気に砕くよ」

-ドォォォォォン-

勇は智に続き、フェザーセイバーを構えて鯉芒霊の下顎部分目掛けて突撃する。

『ウォォォォォン!!』

『避けろ!』

「え!?」

-ブシャァァァ-

-ビシャシャァ-

-チュドォォォォン-

-ドドドドドドォォォン-

鯉芒霊が放った泥水はユウ・ユミルを掠め、地面に降り注いだ泥水は反応を起こして爆発する。


旋回したユウ・ユミルは、鯉芒霊の動きに合わせて近づき…。

「ウォォォォォ!!」

-ゴォォォォ-

-バシュゥゥン-

フェザーセイバーを構えたユウ・ユミルが鯉芒霊の下顎部分目掛けて突撃し、面影を貫く。

-ビキッ-

『ギャァァァァァァ!!!!!』

-ビシビシビシビシシィッ-

-チュドォォォォン-

-ブシャァァァァァ-

面影を砕かれた鯉芒霊は耳障りな断末魔と共に崩壊し、爆発して大量の泥水が飛散する。

前の記事へ 次の記事へ