超創機大戦記事です。

今回は栗坂勢気の短編物語です。

興味があればどうぞ。

______________________

陰日本創世連合新潟支部…地下格納庫にて…

「栗坂勢気、これが君の専用機になる越後陽炎零式だ、受け取りたまえ」

「グローブ?」

黒服に言われ、勢気は「紅蓮に気合」のグローブを受け取る。

-スッ-

「???、これが俺専用機?」

勢気はグローブをはめながら言う。

「身体は既に理解している様だな、そのグローブは君の思念に反応して越後陽炎零式を呼び出す、…君の気合が鍵になって専用機が召喚される仕組みだ」

黒服はクエスチョンマークを浮かべている勢気に言う。

「なんだかよくわかんねえけど…俺の気合いが鍵になるんだな?」

-キュオ-

勢気は拳を握り締めて言う。

「そうだ、早速だが…呼び出してみたまえ」

黒服は勢気に言う。

「…よぉし、出ろぉぉぉ!!!陽炎ぉぉぉ!!!」

-パチン-

勢気は叫び、指を鳴らす。

因みにこのネタが分かる方は何人居るだろうか…。

-シュン-

-ギショォン-

-ズゥン-

「ほう、一発で呼び出せるとはな…大したものだ」

勢気の気声に反応した越後陽炎零式のパーツが勢気を中心に展開し、やがて本体とパーツが合体して越後陽炎零式が現れる。

「キタコレ!!!凄っぇ!!!マジ凄ぇ!!!これが俺専用機かよ!!!」

勢気は感涙にむせび泣いて叫ぶ。

-ピーン-

「…私だ、何…?」

黒服は携帯端末機と意識をリンクし、情報を読み取る。

「…わかった、丁度一機出撃出来る状態だ、直ぐに向かわせよう」

黒服は越後陽炎零式を見て言い、携帯端末機から意識を切り離す。

「栗坂勢気、出撃要請が来たぞ、実戦で慣らしに移る」

「オッシャァァァ!!!キタコレ!!!栗坂勢気と陽炎の初陣だぁぁぁ!!!」

黒服の言に勢気は無駄に熱く叫ぶ。

「…(この純粋な力…このくらいの馬鹿でなければピーキーな陽炎の性能は引き出せんと言うわけか…)」

黒服は勢気が発せられる気迫と越後陽炎零式の力に彼方を見て思案する。

「…あ!!そういや俺は何処に向かえば良いんだ!?」

勢気は今頃気が付いて言う。

「済まないな、目的地には私が運ぼう」

「げ!?斑鳩先生!?」

黒スーツに身を包んだ斑鳩が現れ、勢気は奇声をあげる。

『栗坂、突然の初陣になったが、お前の様な馬鹿はマニュアルを見ていくより実戦で覚える方が向いているだろう、身を以て覚えろ』

『酷ぇ!?何気に母ちゃんと同じ事を言われた!?』

斑鳩先生は勢気にテレパシーを送り、勢気はオーバーリアクションで応える。

『跳ぶぞ!栗坂!』

-パチン-

-ヴゥゥン-

『おおお!?何だコレ!!?』

斑鳩先生が指を鳴らすと、特殊なフィールドが斑鳩先生と越後陽炎零式を包み込み、斑鳩先生と越後陽炎零式が浮き上がって勢気は叫ぶ。

『空間転送!…跳躍!』

-シュン-

斑鳩先生が念じるや、斑鳩先生と勢気、越後陽炎零式は共に跳躍する。

___________________

-ギショォン-

『敵、11次元と3時方向、7時方向より跳躍せり』

『挟み撃ちか…、不味いわね』

『WRF2、ユミル3、魔導兵器1、何れも新型みたい』

『因果の黄昏か魔空間の卵の孵化が近いってのに…!』

『仕方ないわ、端末をばらまいたらあの三人が来る前に撤退しましょ』

『了解』

新恋、琴織泉、敷島芙蓉の三人は互いにテレパスを送りながら作戦を決める。

『着いたぞ栗坂!』

「先手必勝ぉぉぉ!!!」

-ゴォォォ-

『きゃ!?』

-ドゴォォォォォン-

転移するなり、勢気はアクセル全開で突っ込み、頭から山肌にめり込む。

「や…やりやがったな、効いたぜぇぇぇ!!!!!」

「か…勝手に突っ込んで何か暑苦しく言ってる!?」

『いきなり全開で山に激突する馬鹿者が居るか!!』

勢気は泉の来鳴疾風(クルナリ・ハヤテ)に攻撃を回避され(勝手に突っ込んだだけだが…)、熱い口調で言うが、泉は勢気の暑苦しさよりも常識の通用しない馬鹿さに戦慄、斑鳩先生は勢気の馬鹿さ加減に思わずツッコミを入れる。

-ギショォン-

「今度は当てぇぇる!!!!」

-ゴォォォ-

「また突っ込んで来た!?」

『………』

勢気は瞬く間に態勢を整え、再び来鳴疾風に突っ込む。

『泉、その馬鹿ちん…さっさと落としちゃいなさい』

『い…言われなくてもやるわよ、ただ…』

『ただ…?』

『…なんか調子狂うのよ、この馬鹿さ加減…!』

「オラァァァ!!!!!」

-ゴォォォ-

-ドゴォォォォォン-

勢気は再び来鳴疾風に突撃するが、容易く回避されてまた山に突っ込む。

『全く…あの馬鹿者は…うん…?』

斑鳩先生は激突した越後陽炎零式を見て何かに気付く。

-ズゥン-

「オッシャァァァ!!!痛くも痒くも無かったぜぇぇ!!!」

山には小さな円形のクレーターが出来ていたが、越後陽炎零式と勢気には衝撃は伝わっておらず、越後陽炎零式は素早く態勢を立て直す。

「ディフレクト・スフィア!?」

『…ほう、防御と回避を身体で覚えたか、やはりただの馬鹿ではない』

泉は高度な障壁展開をしてみせた勢気に驚き、斑鳩先生は勢気を少し見直す。

「…コイツ、放っておくと危ない!」

-シシシシシシュン-

泉は予感に似たものを感じ、来鳴疾風のハンドガンを放つ。

「殴り落とぉす!!!」

-ガガガァン-
-ヴゥゥン-

初弾は越後陽炎零式の拳でたたき落とされ、続く弾はディフレクト・スフィアで弾かれる。

「潰すぜぇぇぇ!!!」

-ゴォォォ-

「突っ込むだけの馬鹿に…!」

-ドゴォォン-

「ぐあっ!?」

勢気は来鳴疾風に向かって突っ込むが、泉の来鳴疾風は瞬時に勢気の攻撃を回避し、すれ違い様に超電磁銃を放って越後陽炎零式にダメージを与える。

「墜ちろ!」

-ズガァァン-

-シュン-

「!?」

泉はトドメの一撃を放つが、勢気の越後陽炎零式は身を翻して回避する。

「お前が銃なら!俺様はこれだぁぁぁ!!!!」

-ヒュゴォォォッ-

「猛炎の発火能力!?コイツ!馬鹿なふりしてA級超能力者だったのか!?」

勢気の拳から猛炎が噴き出すと同時に越後陽炎零式の拳から猛炎が噴き出し、泉は超能力者との邂逅に驚く。

「熱き一撃ぃ!!バァァァニング!パァァァンチ!!!!」

-ヒュゴォォォォ-

「単純ね!」

勢気のバーニングパンチが放たれたが、来鳴疾風に回避されてしまう。


しかし…

-ギギギギュゥゥゥン-

-ドロドロ-

「…嘘!?掠っただけで…!」

-ドォォォン-

来鳴疾風のハンドガンとシールドが少し掠っただけで溶断され、泉は勢気の力に驚く。

『端末機、ユミルにより間もなく壊滅、そろそろ撤退する』

『泉、端末はもう保たないわ、撤退するよ!』

恋が戦況を報告し、芙蓉は泉にテレパスを送って撤退を促す。

『…!?、わかったわ!』

「あ!?逃がすかぁぁ!!」

泉は直ちに撤退に移り、勢気は追撃態勢に移る。

『待て!』

-ガッキョォォン-

「ぐあ!?」

-ビシッ-

「痛゛っ!?」

『深追いはするな、戻るぞ』

斑鳩先生は召喚したWRFで勢気を強引に引き止め、フィールドを展開して跳躍準備に移る。

-ヴゥゥン-

『うおおおっ!?』

『跳躍!』

-シュン-

斑鳩先生は勢気に有無を言わさずに共に跳躍する。

___________________

お目汚し失礼。