私には、行きつけのガソリンスタンドがある。


その近辺には、ガソリン単価が安いスタンドもたくさんあるのだけれど、私はあえて、その行きつけのガソリンスタンドに行っている。行くようにしている。


そのガソリンスタンドは、私があるきっかけから行くようにしたガソリンスタンド。

小さな古いガソリンスタンド。




2011年3月11日、大震災が起きた。


その時に、ガソリン不足からあちこちのガソリンスタンドで給油制限をし、店先にロープを張ったりしていたのだが。

その店もロープを張ったりしていたのだが。


私は多くの店から給油を断られ、時に嫌み(お得意様でもないのにこんな時にガソリンを入れてくれる店はどこにもないよ)とか言われたりしたのだが、その店だけは、困っている私にガソリンを満タンに入れてくれ、さらに目で合図をし携行タンクにまで満タンのガソリンを入れてくれた唯一の店だったのだ。


「真夏に日陰を作ってくれた木を切るなかれ」


私はこのユダヤのことばが好きだ。


私は受けた恩義はわすれない。



安い店はいろいろあるけど、私はあえて、これからもこの小さな古いガソリンスタンド店からガソリンを入れてもらい続けることだろう。