終末

「終わり」が見えているものについて。

ゲームの終盤や物語の終盤になると、ふいに進行するのをやめたくなることがある。
話の展開が激しくとにかくオチが気になるものは早く最後まで進めたくなるが、話の流れが穏やかでかつ終わりかたの予測のつくものは手をつけるのをやめてしまう。終わってほしくないという気持ちとは少し違う気がする。オチが読めたからもう楽しくないというのも違う気がする。ただ単に、だらだらと引き延ばしたい気持ちはあるが、その理由はよくわからない。

数日後世界が終わりますと言われたらどうなんだろうか。終末が見えているのに進行を止めることはできない。ゆっくりにすることもできない。じゃあ何するか?やりたかったけどやれてなかったことを全部するか?ヨーロッパに旅行に行くとか、映画いっぱい見るとか。するのか?忙しなく……
しないと思う。いつも通り暮らしたい。暮らしたいというか、勝手にそうなると思う。週末は掃除するぞ趣味をするぞと言ってもだらだらと布団の中でTwitterして終わるのと同じだ。終末まで何しようかなー何かしないと勿体ないよなと思ってるうちに明日でおしまいになる。明日で終わりかー、もう何をするにも時間が無いからやらなくていいか……になる。
終わりが見えているゲームもクリアしないし、終わりが見えている本も読了しない。掃除もしないと思うし、昨日取り込んだ洗濯物すらも畳んでないかもしれない。何も終わらせないまま終わるのか。それは終わったと言えるのか?言葉の定義が問われる。
世界が終わるなら、どう終わるのかは知らんけど、地球が木っ端微塵になると仮定したらゲームも本も家も洗濯物も木っ端微塵なので全部僕と一緒に終わるが、じゃあボクだけが病気で終わったら?
洗濯物や掃除は誰かが完了させられるけど、ゲームを途中から再開して完結させた他人は「僕のゲーム」を完結させたわけではないし、本も、栞がはさまっていたとしてもどの行から再開したらいいかわからない。他人が途中から読んで読了させても僕の読書体験が終わったわけではない。僕が終わっても、僕のゲームと読書は途中で止めたところのまま終わらない。

漫画家が……
連載中に亡くなってしまったとき、当然、その漫画は未完結だ。他者が継承してもどんなに頑張ったとしても亡くなった漫画家の漫画が完結したとは言い難いものがあると思うやっぱり。

未完成、未完結って、終わらなかったものだけど、これ以上進行しないから「終わった」と同義ではあるんだろうな。終わってないのに終わっているのは不思議だ。
未完成のものを集めてゴロゴロ転がして置いといた世界を全部閉じて完結させたい。そこはたぶん、面白いと思う。
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