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突発的にヤンデレ


 どうして、と聞かれてとても困った。どうしてって、当たり前じゃないか。妹を本気で好きになる奴なんているのか?
 そんなものドラマや小説の中だけの話だろう。血がつながってるのに、なんでその気になれるんだよ。
 有り得ない。絶対に有り得ないから、だから

「どうして駄目なの? 私はお兄ちゃんが好きだよ」

 可愛らしく小首を傾げて、妹が言った。まだガキのくせに、いつそんな仕草を覚えたんだろう。
 黒目がちな瞳をぎらぎら輝かせて、彼女は俺の髪をそっと撫でる。優しげな触れ方に鳥肌が立った。

「ねぇ、なんで? お兄ちゃんは私のこと好きじゃないの? なんで私じゃ駄目なの?」
「おい、もう…」
「私のこと好きじゃないなら、なんであんなこと言ったの?」

 声のトーンがすっと落ちる。
 瞳の輝きが更に増した気がして、俺は背筋に汗が伝うのをはっきりと感じた。
 こんな時に。いや、こんな時だからこそか? 彼女は恐ろしく美しかった。

「ねえ。なんであんなこと言ったの?」
「あんなことって――」
「結婚してくれるって、言ったよね」

 耳元で、そう囁かれた。
 頭の中で警鐘を鳴らし続ける俺の本能を嘲笑うかのように、妹は柔らかな唇を俺のそれに押し当てた。

 吐き気がした。

「大好き。本当に大好きよ? 食べてしまいたいくらいに好きなの。お兄ちゃんの血も肉も全部私のものにしたいの。私の体の中に、全部閉じ込めてしまいたいの」

 言いながら、妹は縛り付けた俺の両腕にすがりついて涙を零した。泣くくらいならなんでこんな事したんだよ、と思ったが、どうしても言えなかった。
 これ以上泣かせたくはない。どれだけ豹変してしまっても、やはり彼女は俺の妹なんだから。






続かない。



みくし日記でゼミの友人が書いていたヤンデレ掌編に触発されて、それっぽいのを投下。
背景完全無視です。すいません(*´・ω・)
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