どこかに行こうか、と無意識に問いかけたのは、俯いた彼女の顔がとても寂しそうに見えたからだ。
可哀相に――馬鹿げた感想だった。そんな顔をさせている張本人が何を言うかと、我ながら呆れた。
「京子ちゃん、どこでもいいよ。二人でどこかに…」
「二人で?」
桜色の唇から、小さな吐息が漏れた。次いで、柔らかな笑み。
「いいね。遠出しようか? 二人っきりで、電車乗り継いで。行ける所まで」
ふわふわした、まるで夢みたいな話だった。そんな事出来るわけがないと分かっているからこそ、それは余計に優しく、悲しく聞こえた。
「いいよ。護衛は付けずに、どこかに」
「ツっ君」
ぎゅ、と握り締められた右手が温かい。泣きたくなるような体温。そこから伝わってくる愛情。
「京子ちゃん――」
「本当はね、どこでもいいの。一緒に居られるならそれでいいよ」
大好きだよ、と囁かれた瞬間、眼の奥がじんわりと熱くなったような気がした。
いつか本当に、彼女の望むような暮らしが訪れたら。彼女を幸せに出来たらいいのに。
「京子ちゃんは少し優しすぎるね」
静かに呟いた俺の頬に、京子ちゃんはそっと唇を寄せる。
そのまま、触れるだけの口付けを交わした。
−−−−−−−−−
なーんて。なーんて。
先日からツナ京熱が急上昇しています。ツっ君と京子ちゃん…ツっ君と京子ちゃんハァハァ!(やめてください)
実際は、もっと爽やかで甘酸っぱい青春を送ってて欲しいな。
ツナを歪めすぎだという自覚はあるんですが、どうしてもやめられない不思議(^ρ^)