私は憧れた。
感情を感じず行動できるソレに。
命令されたことだけをこなせばいいだけのソレに。
人間らしさなんて要らないと思った。
感情があるから苦しむ。
自己があるから苦しむ。
ならば、いっそう…

本当に感情を抱かずに済むなら、どんなに楽だろう。
本当に自己を持たずにいれば、どんなに楽だろう。
本当に道具であったなら、どんなに楽だろう。

悲しいのは自分が人間らしさを捨てられなかったから…
悲しいのは道具になりきれなかったから…
悲しいのは中途半端だから…

命令されたことだけを決まった処理で間違いも失敗もなく、こなすソレ。
感情は邪魔。自己は邪魔。
私は正しいことだけをしたかった。
求められることだけを何の疑問も持たず、ただ片付けていく…
そんなモノになれたなら…

感情は嫌い…
自己は嫌い…
私はコンピューターになりたかった。
それが私が苦しまない最善の策だと思った。

狂いたかった…
狂いたかった…
人間らしさを捨てて、ただの道具でありたかった…
そして今も憧れる。

もし生まれ変われるなら…今度こそ完全な道具…ただのプログラムになりたい。