立鬱夢です。(←略し方www)
実はカナちゃんのより先に上がってはいました。
…何だか最近疲れ気味で立鬱夢気分です(何)
「迎えにきて。」
心の中でもやもやしていた雑音のような思いは、一度声に出して呟いてしまえば、後はもうなし崩しのようなもの。
途切れ途切れに「迎えにきて」と繰り返す。幸か不幸か、突然降ってきた強い雨音に私の声はかき消される。
誰も迎えにきてはくれないのに。
判ってはいるのだ。判ってはいるのに、解ってはいない。
誰か、いつか、迎えにきてくれるのだと、思わずにいられない。
強いていうなら白馬の王子様を待つお姫様のように。お姫様なんて柄じゃないのにね。
心の中の雑音は止まない。
ぼんやりと足元の一寸先、軒が無くなり、雨が跳ねる地面を見た。
誰も迎えにはきてくれない。
顔を上げれば、真っ暗で真っ黒な空と酷い雨。
迎えにきて。
迎えにきて。
迎えにきて。
誰も、迎えにきては、くれない。
雨の中に一歩踏み出した。
誰も迎えにきてはくれない。
私は一人。
私は独りなのだ。
引きずるように歩く足元で水が重く揺らぐ。
一人なのだと、独りなのだと思いながらも、呟きは止まらない。心の中の雑音は大きくなるばかり。
迎えにきて。
迎えにきて。
迎えにきて。
「迎えに」
足元で揺らぐ水を見ながらの何度目か解らない呟きの途中で誰かの叫び声が聞こえた。
ゆらりと頭を上げた。
誰かが走り寄ってくる。
誰か、が…?
「…トー、リス…?」
「わああああっどうしてこんな中っ!!!」
走り寄ってきたトーリスは、私を自分の傘の中に入れると同時に再び叫んだ。
「トーリス、どうして」
「どうしてって雨が降ってきそうだと思ったから。傘持ってかなかったでしょ。そしたら案の定降ってきて…」
そう言いながら、予備の傘を示した。
「それでトーリス、もしかして」
「うん、迎えにきたよ。」
にっこりとトーリスが笑った。
「迎え、に」
「うん、迎えに。
でも、もう少し早く来てあげられればよかったね。」
ごめんね、と言いながら、トーリスはハンカチで私の髪を拭いてくれる。
「トーリスっ」
「ええっ!?ど、どうしたの?」
濡れた私がぎゅっと抱き着いたのに、濡れることも気にせずにトーリスは優しく抱き締めてくれた。
「…ありが…とう」
「…どういたしまして。」
心の中の雑音が。
(ゆっくりと、落ち着いていく。)