「叔母上の恋人」シリーズ。
金蝉、ようっやく恋人(仮)だと認識します。
でも周りには認識されてるのに、夢主本人は自覚していません(爆)自覚するまでまだ千年ちょいかかります。
これ、「苦労人二郎神」シリーズでも良かったかもしれないですね★
金蝉と二郎神の関係性(互いへの言葉遣い等)が実は良く解りません。
「おや、金蝉童子。どうされたのですか。」
「あぁ、二郎神か。また叔母上へ届け物だ。」
「それはそれはお疲れ様です。」
穏やかに笑う二郎神に伴われ、叔母の元へ向かう。他愛ない雑談を交わしながら進めばすぐに執務室の前へ着いた。
「戻りましたよ、観世音菩薩。金蝉童子も…」
半開きの扉を入り易いよう開きながら、中へ声を掛けた二郎神の言葉が途中で止まる。斜め後ろに立つ俺に、その理由は明白だった。
叔母と口付けを交わすあの者と眼が合った。
ばたりと二郎神が扉を閉めた。
「…二郎神、今のは…」
「…見ました、か…」
「…あぁ。」
俺の返答に、二郎神はガクリと膝をつき頭を垂れた。
「…ああ、何てこと……執務室では……控えるようにと……何度も……何と説明を……誤魔化す……時と場所を選べと……菩薩はこれだから……」
ぶつぶつ呟く二郎神に何と声を掛ければ良いか判らない。勿論、俺もそれなりに衝撃を受けてはいるのだが、この二郎神を前にすると先に此方を心配すべきような気がする。
「二郎神、あの二人はその、ああいう関係だったのか。」
俺の問いに二郎神は勢い良く頭を上げた。
「金蝉童子!どうかどうっか!このことは、内密に!」
「あ、あぁ…」
「正直菩薩はどうでも良いのですが、あの方は」
そのときだった。室内から大きな物音と怒号が聞こえてきた。…この声、ババァじゃないよな。二郎神と二人して扉を見詰めていれば、少ししてゆっくりとそれは開いた。
「お帰りなさいませ、二郎神様。金蝉様もご機嫌麗しく。大変申し訳ありませんが、今片付けますので少々お待ち下さいね。」
チラリと見えた室内は所謂「争った形跡がある」との表現が適した状況で、その中で髪や服を乱した叔母が何やら痛そうに身体を起こすところだった。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません、二郎神様、金蝉様も。」
「…大丈夫です、菩薩のせいだと解っております…」
「……本当に、何時もすみません、二郎神様……」
非常に気不味そうに二郎神から視線をそらした者と眼が合えば、そのままぎこちなく笑まれた。
「お目汚し失礼致しました。」
そう俺に告げると、静かに扉は閉じられた。
(…で、二郎神、あの二人は結局…)
(お察しの通りのご関係です。)
(…叔母上の恋人…。)