黒百合は0話が、一応、最終話なのですが、その最終話の1話前というのを既に書き終えてまして、そこで出すネタを盛り込みました。
そもそと当初、黒百合は逆再生(最終話から始まり、第1話で終わる)にしようとしてたのですが、私の力不足で普通の順序ということになりました。
で、いつまでも進まないから、呪いの子世界線で先に出しちゃうことにしました。てへぺろ。
暫くしてマクゴナガル先生は弱々しく口を開いた。
「何故、何のためにそのような…」
「それは」
涙を拭いながら先生はセシリアを遮った。
「スネイプの、セブルス・スネイプのためですか。」
先程の口調から一転、強く問い掛けた先生に射抜くように見られたセシリアは、柔らかく微笑んで首を横に振った。
「違います。セブルスではなく、私のため。私がそうしようと決めたこと。私が考え、私が選び決めた道です。」
セシリアは少し首を傾げ、遠くを見るような眼をした。
「もしかしたら、初めてかもしれません。自分から、自分がどうしたいのか考え、自分がどうすべきか選び、自分でどうするか決めて、そして行動する。
ずっと私は自分のことですら、自分から考えることをしてこなかった。いつも誰かに道を示してもらって、それを見て漸く考えていた。」
ふとセシリアの視線がテッドに向き、とても柔らかく笑んだ。
「でも、それじゃ駄目なんです。私はもう子どもじゃない。自分から考えられて然るべき大人です。」
セシリアの視線は先生に、戻った。
「だから考えた。他の誰でもない私がどうしたいか。そのために私はどうすればいいか。私の望みのため、私のために。」
「ダンブルドアを殺したのも、自分のためだと?」
「はい。」
「これからも、そうやって生きていくのですか。
誰かを傷付け…自分の手を汚すことをいとわずに。」
「それが必要なことならば、誰かを手にかけてでも。」
言葉とは不釣り合いな穏やかで朗らかな笑み。
僕は漠然と「あぁ、良い顔をしている」と思った 。学生時代から、ずっと心許な気な表情ばかりだったセシリアがあんなに満ち足りた表情をしている。袂を分かつという宣言をされているにも関わらず、その笑みに安堵した。
マクゴナガル先生が勢いよく立ち上がった。
「自分のために、他者を傷付けるような者のことなど知りません。」
先生はセシリアに背を向けて、扉へ向かった。
「お義母さん」
「もう貴女に、母と呼ばれる筋合いもありません!」
「…ごめんなさい………お義母さん…」
セシリアを振り返った先生はまた泣いていた。
「…どうして…セシリア…」
「ごめんなさい…お義母さ…いいえ、ミネルバ先生。
でもこれだけは信じてください。先生の娘にしていただけたこと、先生を母と呼ばせてもらえたこと、私にとって一番の誇りです。後にも先にも、こんなに誇らしいことありませんでした。」
セシリアも、泣きそうな表情だった。
「有難うございました。ミネルバ先生。」