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海に溺れたかった


真っ青な海を見つめ
波音に耳をすませた。

私が生まれるずっと前、
海と陸ができたころから続く細波

繰り返し、繰り返し、永遠に続いていくそれ。


この風景を、音を、
いったいどれだけの人がどれだけの思いで見つめていたのだろう。


ふいに、海に入りたくなった

泣きたいような
苦しみのまま叫びたいような

ぐちゃぐちゃなのに実にシンプルな衝動のまま

海に沈んでいきたくなった


特別、好きっていうわけでもないのに。


海は冷たくて私を拒絶するみたいに波で押してくる

一歩進むたびに、冷たさが
体を鈍くさせる


世間の冷たさに縛られて、麻痺しているみたいだ

そう思った途端、私何やってるんだろうって

これじゃ衝動的に自殺するみたいじゃないかって

一瞬だけ、海に漂う自分にそれもいいかと思ったけれど考え直した。

世界という海に飲み込まれてるのに
また飲み込まれたくはない。


飲み込まれる変わりに、いつか
いつか私が私になれたら
海を渡ってみたい
そうして今度は私が世界を飲み込めるくらいになりたい



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