綺麗な花じゃなくていい
ひと夏で枯れていくような
そんな花になりたい




暴力を受けて育ってきた
それを家族は過去の過ちとして扱い
なかったことにしているけれど
私はなかったことになんかできない

痛かった記憶がある
人間の冷たい目を覚えている
熱湯が肌を焼く感覚も
雪が凍傷させる感覚も
何もかも覚えているのに


母が病気の時、大変だった?
姉が四六時中、面倒見ていた?
ええ、そうですね
そうですけれど
何もするなと蹴飛ばしたのは姉だし
糞尿塗れの皿にご飯を盛りつけたのも姉

それで

あなたは何もしなかった
飯も食わずに文句言った

そう言われたくはない

私、言われたくないって思いながら
母と姉が会話しているのは聞いていた
ただ見下されて貶されるだけの会話を聞かされて
最後は批判、中傷、暴言……
もう何を言ってもいいって
思ってるんだね



相変わらず、それで姉は私に心を開けなんて言うけれど
心なんてもう、どこにもないんだよ