夢の話
誰もいない静かなリビングで
ただぼんやりとテレビを観ていた
見たこともないアナウンサーが
「本日、新たな法律が決定されました
人を殺してみたかった
人を死ぬ瞬間がみたい
そう仰る殺人があまりにも増えたため
自殺願望者を同意の元で殺した場合は罪に問われなくなると言うものであり――」
顔をしかめながら話すのを
その唇の動きを
声を
釘付けになって見ていた
気がついたら
テレビを掴んでいて
今か今かと
どこに どうすれば
誰かに殺してもらえるかを
まるで飢えているかのように
泣きながら待ちわびていて
起きた時には
枕がびっしょりになっていた
眠りながら泣くのは初めてなのに
何故か 初めての気がしなく
歪む視界で呆然と濡れた跡を見続けた私
殺されたいのか
自分で死にたいのか
死ぬ勇気も気力もないくせに
消えたくて仕方ない
夢が現実だったら良いのにって思った
胸の中に脱力感と絶望が渦巻く
宗教を信仰してないけど
自ら死んだ結果
死んでからも苦しむのかと思うと
救いもなにもない 途方のない絶望に覆い被さっている気がする
何もかも 魂さえも消えるなら
初めて幸せを感じれる
そんな気がするのに
生きたくない
けど
逝くのも怖い
何もしたくない
ただ
ひっそりと
消えたい
消えられないなら
眠っていたい
ぬくぬくの布団に包まれて
安心して眠っていたい
永遠に