感情の渦

完全発症以降、私は感情の抑えが効かなくなった自分を侮蔑していた。

もともと私は自分が何か強い感情を抱くことを嫌っている。
だから、たぶんそれまでは、自分が抱いた感情が何かをハッキリ自覚する前に抑え込み意識しないようにしていたのだと思う。
私は感情に囚われず淡々とした自分が好きだった。感情に振り回されない自分が好きだった。
強い感情は自分にとって害にしかならないと本気で思っていた。
いや、ハッキリ言ってしまえば感情は悪だとすら思っていたんだ。
だからこそ、私はそれまで激しく取り乱すこともなく生きてこられた。
激しく傷付き涙を流すことも血を見ることもせずに済んだ。
いつも、飄々としていられたのは偏に、自分が抱いた感情を自覚しなかったからだろう。

ところがだ。昼夜問わず襲う過去の再現嵐のせいか、私は感情を抑えることが出来なくなってしまった。
確かに昔感じた覚えがある感情…
だけど自覚する前に殺したはずの感情…
私は自分の意に反して、過去のそれらをハッキリと自覚してしまった…
しかも、それは過去に限ってだけのことではなかった。

私は途方に暮れた。
行き場を失った感情…どこに向ければいいのか…
自分を責めるしかなく、自分を蔑むしかなく、自分を痛めるしかない感情なんて欲しくはないのに…
私は、それらを抱いた自分を憎悪した。しかも、既に行き場をなくしたそれらが、本来向かうべきであろう相手への不満をも認識してしまって…

自分ではなく他者に向かう怒り…苛立ち。
感じたくなかった。知りたくなかった。認識したくなかった。
そんなもの認識したところで、何も出来やしない…自分が苦しむだけなんだ。
せめて、自分に向かうものだけならマシだったのに…
私は僅かに起動する理性で必死に抵抗した。が、それも虚しく…
膨大な量と化したそれらの前には、ただ力無く平伏すしかなかったんだ…

愛するが故の果て

誰だって触れられたくないものがある。
誰だって気付きたくないものがある。
主人は私を救いたかったのだと言った。
助けたかった…守りたかった…そう思わせてしまうほど、私は歪んでいたのかもしれない。
だから、その気持ちは嬉しい。私なんかに、そう思ってくれたのは嬉しい。だけど…

主人は私の全てを知りたがった。
昔のこと…何故そうなったのか?何故そう思うのか?何故そうしたのか?
話さないと責めるんだ。話すまで許してくれないんだ。いや…話しても…主人が納得できる行動をとっていない私を責め続けるんだ…

私は、どうしたら良かったのだろう?
話さないと怒鳴られる。話しても責められる。
主人は私を救いたいのだと言ったけど…主人がやったことは真逆。
過去を話すということは、思い出すということ…もう一度、経験し…傷付くということなんだ。
勿論、何度もそう説明した。説明したのに…
その責め苦は、主人が自分自身の過ちを知るまで…私が完全発症した後、主人を責め始めるまで続いたんだ…

メンタル)イロイロ…バカ…かな…

不安だ…とてつもなく不安…
じっとしているのが苦痛なくらい不安。
だから迷ってる…
まだ本調子ではない体を引きずってでも、外に行くべきか?
それとも信じて待つべきか?

働くことに不安はある。
ブランクがありすぎるし、年齢も年齢だ。
しかも、私は化粧が大嫌いだときている。勿論、腕前はド下手だ。
まだまだ喋り言葉に難はあるし…「良い子」ちゃんの発動を抑えるのは難しい。
営業トークは久しく使っておらず…外に行こうとすること自体、身の破滅なんじゃないかと考えたりもする。

もっとも…面接に行ったところで、こんな世の中だ。
私なんかより優秀な人間が沢山余ってるのだから、そちらが優先されるだろうけどね…
それはそれで…まあ傷つくよ普通に。
私が無能なことは知っているけど、ハッキリは知りたくない。

今は就職戦争中…
私に勝ちうる可能性は無く術も無い。
負け戦だとわかっていて、わざわざ劣等感と屈辱感を刺激されにいく必要がどこにあるのか?とも考える。
私はマゾではないからね…
貶しめられるくらいなら死んだ方がマシだ。
もうコリゴリなんだよ…
私以外の人間が私を蔑むのは…

それでも尚、迷う私は…バカで…愚か者だ…
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