私は親から欲しい物を買ってもらったりした経験が少ない。
しかし、家には「少年少女児童文学集(低学年向き)」が全巻近くあった。
きっと親心だったのだろう。
そして、丁度いいことに私は本が大好きな子だった。

小さい頃の私は特に物欲が強い子というわけではなかった。
だけど父親は出稼ぎ、母親とは、ほぼ会話無しの生活を送っていたため、本やラジオから聴こえる声が私の親代わりでもあった。
そのためか自分好みの物が近くにあると物凄く安心するのだ。
それは幼児期を経て、父が家に戻ってからも続いた。

幼稚園児になった私にとって、家は針のムシロだった。
だけど私には物があった。
自分の部屋でラジオを聴きつつ、本を読んだり、一人静かにコツコツ積み木を組み立てたり、字を書いたり、簡単な計算をして遊んだりする時が一番の幸せ。至福の時。

私は家の中と外では全く違う印象の子だったんだよ。
外では誰とでも気さくで折り目正しい、明るく活発な…お転婆娘だったからね(笑)
(※外の人の評価です。因みに礼儀作法は徹底的に叩き込まれてました。コレは感謝しています。)
だから、私が家で殆ど喋らないなんて…物に依存しているなんて…誰も知らなかったんだと思うよ。